今日はハロウィン。あなたは魔女の元を訪れる。
余裕たっぷりの大人のお姉さんな魔女だが、あの夜の話をすると顔を真っ赤にして――。

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あら、いらっしゃい。

今日はハロウィンよ。
そんな日に魔女の家を訪れるなんて――。

ふふ、何をされたいのかしら？

それとも、何かをしに来たの？

トリックオアトリート？

あいにく、お菓子は持っていないの。
イラズラ、する？
可愛いぼうや。

え、お鍋？

きゃあ！
焦げてる！

だめだめ！
一週間も煮込んだのに！

がんばれーがんばれー。
高い薬草も使ったんだから、何とかなれー。

熱い熱いの飛んでいけー！

ふぅ……。
危なかった。

何よ、その目は。

そうよ。
私は何百年も生きる魔女。
崇め讃えなさい。

私をバカにするなんて。
素敵な魔法、かけてあげましょうか？

私を愛してしまうような。

え、もう愛してる？
よ、よくそんな恥ずかしいことが言えるわね。

二度も言わなくていいから！

で？　何をしに来たの？

あ、これ、私のペンダント？

わぁ！　ありがとう！
失くしたと思ってたの！

どこにあったのかしら！

教えない？

どうして？
別にいいじゃない。

あなたの家？

あ。
あの夜……。

赤くなんてなってないわよ！
照れてなんかいないって！

申し訳ありませんでした。
これ以上は勘弁してください。

もう、もうっ！
本当に何しに来たのよ！

これを渡しに来ただけ？

そ、そう。
悪かったわね。

……。

もう、行くの？

ふぅん。
街のお祭り、ね。

私は行かないわ。

本物の魔女が行ったら大騒ぎになるじゃない。

はぁ……。
あなた、何も分かってないわね。

魔女はいつの時代も嫌われ者。
それは変わりないの。

あなたがバカなだけ。
魔女の私が、その、す、好きだなんて。

やっぱり行くの？

お土産？
そんなものいらないわ。

あ、あなたがいい。

ここにいてほしいの！

だってだって、街に行ったら仮装したりするんでしょう？
あなたのことだから、周りの視線を釘づけにしてしまうわ。
そして、あなたがちょっと気をよくしてしまうのも目に浮かぶ。

そんなの、私、嫌よ。

あなたは私だけのもの。
それが、いいの。

笑わないでよ！

へぇ、それでも行くんだ。

ねぇ、あんまり私に寂しい思いをさせたらダメよ。

あなた、忘れてなぁい？
目の前にいる女が悪い魔女だってこと。

私、何でもできるのよ？

あなたから大切なものを奪うことも、
私以外の全てを忘れさせることも、
一生、ここに閉じ込めることも。

今ここでかけてあげましょうか？
甘くて蕩けそうな魔法。
深いところに堕ちていく、そんな魔法。

どうする？
可愛いぼうや。

わっ、頭撫でるなんて。
子ども扱いはよして。

さっきの言葉は本当よ。
だから――。

は？
街のお祭りにはいかない？

どうしてそんなウソを……。

確かに、あなたがトリックオアトリートと言ったとき、私はお菓子を持っていないと言ったわ。

へぇ、私をからかうため、ね。

――っ！
こんな質の悪いイタズラ許されない！

イジワル！　鬼！　
バーカバーカ！

……許さない。

ふふ、ふふふふ……。

ねぇ、ぼうや。
まだ夜は長いわ。

存分に可愛がってあげる。
私をからかったことを後悔するくらいに、ね？

え、ベッドに行く？
それは、まだ早いんじゃ……。

ほ、ほら、紅茶とか用意してるわよ。

待って、心の準備が。

ダメだってー！

・台本（ゆるボイ！）
ハロウィンの夜、初心な魔女っ娘お姉さんはあなたを独占したい。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シノト