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最近同期と部下の挙動がおかしい
written by さざなみ
  • 片思い
  • ラブコメ
  • 3人用台本
公開日2023年06月01日 23:12 更新日2023年06月01日 23:22
文字数
6528文字(約 21分46秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
3 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
第六十九回、角田会開催です! 乾杯!

20201209
本編
角田(かどた) 男性推奨
植村(うえむら) 女性推奨
山崎(やまざき) 男性推奨

角田:角田(かどた)と申します。部長をやってます。最近同期の植村さんと部下の山崎くんの挙動がおかしくて、少し心配です。どうやら二人でよく飲みに行っているらしく、植村さんに、君の部署に山崎くんを引き抜くの? と冗談交じりでで聞いたところ、
植村:あらぁ、角田くん、何を言ってるのかしら? そんなことよりも営業部からの根回しの件はどうなったの? うちの企画部のメンツは首をながーーーーーーーーーーーくしてお待ち申し上げているんだけれど?
角田:と圧をかけられ、山崎くんにそれとなく、仲いいね、と聞いてみると、
山崎:え? そう見えますか? 普通ですよ、普通。大丈夫です、角田さんが心配するような関係じゃないですからー!
角田:と元気よく言われました。心配するような関係ってなに!? えっ、何!? 逆に気になる! めっちゃ気になる!!! ということで、
植村:コースにしちゃったけれど、大丈夫だった?
山崎:いえ、むしろすみません、いつも予約をお願いしてしまって。
植村:いいのいいの。私、グルメサイトでお店を見るのも予約するのも好きだから。
角田:(ついて来てしまいました。後ろの席に座れてよかったぁああ!!! 店員さん配置神~~~!!! これはさすがにマナー違反というか、ご法度というか、品性すら問われる話かとも思いましたが、どうしても、どーーーーーしても気になりまして。すみません、言い訳です)
山崎:植村さん、飲み物どうしますか?
角田:(って言うか、このお店、なあに!? すごいよ、コースが一万二千円からだよ!? 僕、部長で独身だけれど、ポーンって簡単にこんなお店来られないよ?! なんなの、君たちブルジョアなの!? 株でもやってるの! 僕にも稼ぎ方教えて!?)
植村:という訳で、飲み物も前菜もそろったところで、始めますか。
山崎:はい。
角田:(え、え、何、何この空気、すごく重たい。何、何が始まるの。やっぱり植村さんによる、山崎くんへの別部署ヘッドハンティング!?)
植村:第六十九回、角田会開催です! 乾杯!
山崎:かんぱーい!
角田:(えええええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?!!? え、何?! え、なになになになになに?!?! え、今、角田会って言った?! 角田会って言ったよね!?!? 僕のいないところで、僕の知らないところで角田会、六十八回も開かれてたの!? これまでの六十八回って数も結構なものだよ!? こんなこと六十八回もやってきたの?!)
植村:栄えある六十九回目ということで、本日はちょっと奮発してしまいました……!
角田:(栄えある六十九回目って何?! むしろあと一回待って、キリのいい七十回目にとっておいたほうが良かったんじゃないの?!)
山崎:69ってなんだか、太陰太極図に似てて、テンション上がりますよね!
角田:(そっちいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい?!?!?)
植村:そうなの~~~~~!!!! 陰陽マーク、テンション上がる~~~!!!
角田:(どこの陰陽師ご一行様?!?!!)
山崎:普段は「ここ、大丈夫っすか」っていう居酒屋ですもんね。
植村:そういうところって美味しくてついね~!
山崎:わかります! 扉開けた途端、ホコリっぽかったりする店が妙に美味しいおばんざいを出してくれるとテンション上がります!
植村:わかるわー!
角田:(えええええ……、僕も……僕も誘ってよぅ……。そうしたら美味しいところいっぱい一緒に食べ歩けるよぅ……)
山崎:それにしても今日のコースすごいですよね!
植村:ねー! シャトーブリアンって私、牛の部位だってことを初めて知ったの! ずっと地域の名前だと思ってた!
山崎:わかります~! ブルターニュみたいな!
植村:そうそう!
角田:(いやいやいやいや、それにしたって、シャトーブリアンの握り、シャトーブリアンの刺身、シャトーブリアンのユッケ、シャトーブリアンのしゃぶしゃぶ、シャトーブリアンのミルフィーユ、シャトーブリアンのすき焼き、シャトーブリアンの釜飯ってどういうこと!? 君たちが頼んだコース、どういうこと!? すごくない!? そろそろシャトーブリアンがゲシュタルト崩壊するよ?!)
山崎:どうしましょう……しゃぶしゃぶもすき焼きも鍋ごと出てくるんでしょうか……。
角田:(山崎くん、勘違いが初々しくてかわいいね!! いいね!!! いいねボタン連打しちゃう! 大丈夫だよ! こういうお高いお店のコースはね、大体、一人分が小皿に三口くらいずつしか出てこないからね! 安心してね!)
植村:きっとそうだよ! 大丈夫! 私いっぱい食べられるから!
角田:(植村さああああああああああああああああああああああああああああんんんんんんんんんんんん!!!)
植村:それでは、聞かせてもらうじゃないの。今週の角田くんを。
角田:(今週の、僕!?)
山崎:かしこまりました。
角田:(え、なになになになに。え、ご飯食べようよぅ。こんなに美味しいご飯のコースなんだよ? 僕の話なんてどうでもいいからご飯食べようよぅ……)
山崎:先日、角田さんが在宅ワークだった時、チームミーティングが終わった直後、どうやら飼っていらっしゃる猫ちゃんが膝元にいらしたようでして。
角田:(え、あのとき僕なにかしたっけ?!)
植村:続けて。
角田:(続けなくていいからね!?)
山崎:マイクミュートを忘れていらっしゃったらしく、角田さんが、
角田:なぁに、みーちゃん、お眠なの? 僕のお膝で寝るの? 今日はぽかぽかでいいお天気だもんね、うんうん、お昼寝しようね、いいなぁ、僕もお昼寝したいなぁ、でも定時まであと、五時間あるから頑張るねっ。
山崎:と、まどろむ猫ちゃんの声の合間に話し掛けていらっしゃいまして。
角田:(やめてえええええええええええええ!!!!!!!! え、やめて、何この会! なにこの角田会! え、恥ずかしい、うそでしょ!? こんな報告会をこの子達、今まで六十八回もやってきたの!? 後生だからやめてえええ!!!)
植村:え……。
角田:(ほらあ! 引いてるじゃない!!!! 植村さん引いちゃってるじゃないの!!!!)
植村:尊い!!!
角田:(えええええええええええええ!!!!!!!!)
植村:さながら天使じゃない!!!
山崎:そうなんですよ!
植村:地上に迷い込んだ一人と一匹の天使たちじゃない!!!
山崎:そうなんですよ!!!!
角田:(なにこの人たち!?!?)
植村:私も角田くんの膝で眠りたい!
角田:(やめて!!!)
植村:因みにその通話ってどうやって終えたの?
山崎:打ち合わせしたい内容は全部できましたし、終了時刻だったので、メンバーみんな一人ずつそっ閉じです。
植村:そっ閉じされる角田くん!
角田:(そっ閉じされる僕!!)
植村:かーわーいーいー!
山崎:でしょーーー?????
角田:(何この人たち、サイコパスなの?)
植村:ええ……私も立ち会いたかったー。
角田:(やめてー!!!)
植村:えー、次、角田くんの在宅ワークの日っていつー?
角田:(山崎くん、空気読んで!!!)
山崎:来週の水曜日と金曜日みたいですよ!
植村:ありがと! 水曜日にミーティング入れる!
角田:(ここは悪魔たちの会合なの!?!?)
山崎:植村さんは、この一週間、角田さんで何かありましたか?
植村:ふふっ、私はねぇ……。
角田:(やだ……この人達の会話怖い……)
植村:角田くんの香水を突き止めました!
山崎:おおおお!!!!
角田:(どういうこと!?)
山崎:して、お名前は……!
植村:ゲランのシャンゼリゼ!
山崎:シャンゼリゼ!! おしゃれ!
角田:(怖いよおおおおぅぅぅぅ……正解だよおおおぅぅぅ……)
植村:この、ゲランで出しているシャンゼリゼは、
山崎:おおー!
植村:嗅いでみる?
山崎:はい!
角田:(まさかの持ち歩いてるパティーン……)
山崎:おお! 角田さんだ!
角田:(やめて!)
植村:そうなの! とっても角田くんなの!
角田:(恐れ多い……! やめて!)
植村:この優しい香りはミモザの匂いらしいんだけれど、パリでのミモザは、日本で言うところの桜の花みたいなものらしくてね、シャンゼリゼ通りにミモザの花がいっぱい咲いてるんですって!
山崎:角田さんそのものですね!
角田:(どういうこと!?)
植村:そうなの!
角田:(どういうこと!?!?)
山崎:それにしても植村さん。
植村:なぁに、山崎くん?
山崎:香水を突き止めるだなんて、まさか、植村さん……会社帰りの角田さんをストー……。
角田:(ま、まさか植村さんに限ってそんな……)
植村:そ、そんな! ストーカー行為なんてするはずないでしょ! わ、私はただ……。
山崎:ただ……?
角田:……。
植村:デパートの化粧品メーカーさんの売り場を一軒一軒訪ねて、香水を一つ一つ嗅がせて貰っただけ!
0:間。
角田:(ええええ……)
0:間
角田:(えええええええ……!)
山崎:ですよねー!
角田:(えー! えー!! 嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ植村さん! 嘘って言ってお願い! まだ後をつけられてた方がマシだよぅ! 忙しい君のどこにそんな時間があったの!?!?!?)
山崎:さすが植村さんすごい!
植村:でしょー!?
山崎:やる事が違う!
角田:(ある意味ね!)
植村:でしょー? いい、山崎くん。いかな大好きな相手と言えど、ストーカー行為はご法度!
山崎:はい!
植村:我々は! 全てのストーカー行為を! 決して許さない!
山崎:許さない!
植村:ストーカー行為、ダメ、絶対!
山崎:ダメ、絶対!
角田:(なんの標語!?)
植村:よしっ!
山崎:よしっ!(植村と同時に)
角田:(なんの儀式!?!?)
植村:お恥ずかしながら私、今まで香水に興味がなかったんだけれど、
角田:(そうなんだ……)
植村:香水って、いいね……。
角田:(ん?)
植村:大好きな人と、同じ匂いというか……、
角田:(んんんん????)
植村:好きな人に包まれてるみたいで、こうふ……、
角田:(すいまっせーーーんんんん!!!!! この人ですーーー!!!! お客様の中に警察の方はいらっしゃいませんかーーー!!!!!)
山崎:わかります!!!
角田:(君の全肯定は何故いつも全力なのよ!)
植村:……あれ? シャンゼリゼの匂いがする……。
山崎:マジすか!?!?
角田:(怖い怖い怖い怖い!!)
植村:角田くんが近くに……。
山崎:おお! これがシャトーブリアンのすき焼きですか!!!
植村:なるほど、取り皿で頂けるのね……。
山崎:鍋ごとじゃなくてよかったですね!
角田:(店員さん、グッジョブ!)
山崎:……植村さん、そんなに角田さんが好きなら結婚しちゃえばいいじゃないですか。
植村:そうなんだけれど……。
角田:(ぎくっ)
植村:角田くん、部長でしょ? 私、同期なのに、まだチームリーダーだし……。気が引けちゃうというか……。
山崎:えー、植村さんの年期でチームリーダーならむしろ、出世早い方だって、統括部長が言ってましたよ?
植村:そうなのかもだけれどね……。入社してまだ数年目のころ、一度角田くんに告白したことがあってね……。
山崎:おお!!
角田:(まさか……! あの話を……!)
植村:そうしたら、角田くん、
角田:(やめてやめてやめてやめて!!)
角田:【若き頃】ありがとう。植村さんの気持ち、とっても嬉しいよ。でも僕と同じレベルになれたら考えてあげなくもないかな。
植村:って……!
山崎:え……。
角田:(ごめんなさーーーーーーーーーーいいいいいいい!!! ほんっと! 申し訳ございませんでしたああああああああ!!! もうホント、あの頃の僕、どうかしてたの!!!!!! 他の同期よりも、ちょこーーーーっと!! ちょこーーーっとだけ自分が仕事できるって思い込んでたの!!!! 恥ずかしい!!! 当時の僕を地中深く埋めたい!!!!)
山崎:かっ……。
角田:(ああああ、ほら、山崎くん、言葉を失っちゃってるよおおおおお!!!!! ごめんね!!! 君の直属の上司の若輩者の頃、本当に黒歴史でごめんね!!!!! 異動の受付いつでも大丈夫だからね!!!! 人事にはすごくすごく手厚く言っておくからね!!!!!)
山崎:かっこいい!!!!!!!
植村:でしょーーー???????
角田:(なんでーーーーー!?!?!?!?!?)
山崎:若き頃の角田さん、めちゃくちゃかっこいいですね!!!
植村:でしょーーー?????
角田:(何この空間……)
山崎:それにしても、今の角の取れた角田さんからは想像できませんね……。昔は少しだけ尖ってたんですね!
植村:角田くんなだけにね!
0:二人笑う。
角田:(何この空間!!!)
山崎:「考えてあげる」じゃなくて、「考えてあげなくもない」ってのがまたいいですね!
角田:(やめて!)
植村:そうなの!! 可能性の低さがまたたまらないのよね!!!
角田:(やめて! それ以上僕の黒歴史を深掘りしないで!!)
植村:実際、角田くんは当時から仕事もできたし、出世頭だったからね……。全然嫌味に聞こえないのよねぇ。
角田:(やぁだぁあああ……今の僕は過去の僕と仲良くなれそうにないよぅ……)
山崎:それで、そのままずっと。
植村:そう、ずっと……。もうこんなおばさんになっちゃった……。この年齢になっちゃうと恋とかもうこじらせすぎて面倒なのよね。
0:間
植村:はっ、これ、セクハラか!
山崎:あ、えっ!?
植村:ごめん、ごめんね、忘れて! うわー自分に引いたー! 会社の後輩にする話じゃなかったわ!
山崎:あ、いえ!
角田:……。
山崎:……。
0:沈黙。
山崎:す、すみません、俺、お手洗い行ってきますね……! 飲みすぎちゃったかな! あ、あはははは。
植村:お肉がおいしいとお酒も進むもんね、行ってらっしゃい。
山崎:行ってきます。
0:山崎、退席。
植村:やっぱりシャンゼリゼの匂いがすると思うんだけれどなぁ……。
角田:(気のせい、気のせいだよ、植村さん! ほーら、そのまま前を向いていようね! だ、だめ、後ろ向くの良くない! 良くないよおお!!!!)
植村:あ。
角田:あ。
0:目が合う二人。沈黙。
角田:こ、こんばんは……。
植村:こんばんは。
角田:い、いい夜だね。
植村:奇遇ね。よくこちらのお店に?
角田:いや、まったく! 今日! 初めて! たまたま!
植村:お一人で?
角田:そ、そう! いやぁ、急にいいお肉が食べたくなっちゃってね……! う、植村さんは?
植村:私は、同僚と一緒に。
角田:同僚と……。
0:沈黙。
植村:あの、何か?
角田:あ、え、あ、いや、その……。ら、来週の水曜日さ、
植村:お仕事の話なら就業中にお願いできる? 今、プライベートの時間だから。
角田:(ええええええええええ!!!!! 君がそれいう?! それ言っちゃう!?!?!? 今まで散々僕の話してたじゃん!!)
角田:あ、あああ、うん、ごめんね、そうだよね。
0:沈黙。
角田:あ、あのさ……。
植村:なに?
角田:その、新入社員だった頃のこと、ごめん。
植村:なんの話?
角田:なんのっ、……!? えええええ……。いや、その、ずっと、……その……す、
植村:なに?
角田:す……。すき焼き、どうだった?
0:間
植村:はい?
角田:その、すき焼き、どうだった? シャトーブリアンのすき焼き、僕が頼んだコースにはなかったんだ。
植村:え、……お、おいしかったけど……?
角田:ああああああああああ……。
植村:え、なに。なんの儀式?
角田:なんでもない……。
山崎:わあ! 角田さんじゃないですか! めちゃくちゃ奇遇ですね!
植村:おかえりなさい。
山崎:ただいまです。
角田:夫婦みたいでじぇらしぃ……。
植村:は?
角田:なんでもないです。
山崎:せっかくなら角田さんも一緒に食べません?
角田:いや、でも僕は二人とは違うコースにしちゃったし……。
山崎:ならシェア! シェアしましょ! 植村さんのお隣の席の荷物、俺の席の隣で預かるので、ほらほら、植村さんのお隣座ってください!
角田:お邪魔します。
植村:いらっしゃいませ。
角田:……なにこのにじみ出るお客様感……。
植村:だからさっきから何。
角田:ふ、二人でこんないい店に食べに来るなんて、な、仲がいいんだね。
植村:なに、セクハラ? やめて? 山崎くん、訴えて大丈夫だからね。
山崎:やだなぁ、角田さん。だから言ってるじゃないですか。角田さんが心配してるような関係じゃないんだって。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
最近同期と部下の挙動がおかしい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
さざなみ
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※投げ銭システム(課金・無課金限らず)やPVを稼ぐことで収益のある配信方法での上演につきましても同様です。
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