疲れ果て、意識がもうろうとするあなたは癒され処と書かれたお店を発見する。
疲労による判断能力低下とちょっとの興味本位で入ってしまったあなたは
何故か汗臭い空間に出迎えられる
そこでは、元気のない人を強制的に元気にさせる魔法（物理）のような時間が待っていた。

キィッと扉を開ける音

「いらっしゃ～い！癒され処へようこそ！」

　近づいてくる足音

「うっわ～、お兄さん、疲労困憊な顔してるねぇ……動きも何だか怪しいし、疲れ切ってそう」

　荷物を置く音

「でも、安心して！ここに来たからには私が絶対に元気にしてあげるから！出るまでにお兄さんやる気マックス間違いなし！」

　セールスポイントらしく力強く言い切るように最後
　
「では、行ってみよ～！ほら、着替えて着替えて！」

　時間経過を表すように少しの無音
　それから終わって集まってくる感じで

「さて、生も根も尽き果て顔からも精気が失われているそこのあなた！こういう時にはどうすればいいか、あなたには分かっていますか？」

反応を待つ感じで少しの間

「ふむふむ、休めばいい？寝るのが一番？　ふっふっふ、これがまた違うんだな～、この癒され処はね、その新たな疲労回復法を用いたまったく新しい癒され処なのよ……それでは、まず柔軟体操！スタート！」

指パッチン

「ふっふ～、説明だけするのは時間の無駄だから同時進行でいくわね？えっとぉ、新たな疲労回復法……ここまでは話したわね？ならその回復法とは何か？ずばり教えてあげましょう……それはね」

　柔軟を手伝おうような感じで密着して耳元で

「気合よ」

離れる

「昔の人は根性論で頑張ってた、体調が悪くても気合でどうにかしろとそんな時代があったわ。今はそういうのは可笑しい、頑張り過ぎはよくないってそういう風潮ではあるけど……私、思ったのよね。大多数の人が言ってたんなら、それはまったくの間違いではなくどこか通ずるところがあったんじゃないかって」

　身体を伸ばすようにギュっギュッという感じの音

「それで、実際に研究をしてみて私なりの答えを導き出したのよ。疲労が溜まれば身体は疲れてくるわ、けれど、運動による心地よい疲労で覆れば気分は上回る。ストレスの発散にもなるし、適度な運動は脳を活性化させる作用もあるもの。だから、これ、というわけ」

「ゆっくりしていってね？絶対にあなたの心の疲労を取り除き、私が元気にしてあげるから」

　それから走る感じの音　
　ハァハァという運動の息遣い

「ほらほら頑張って～！あなたの限界はまだここではないわ～！まだ足も動く、身体も動く！仕事で如何に精神的にボロボロで、身体が疲れたと思ってもあなたの身体はこんなにも動く！」

　走る音を早めて

「まだまだまだまだ～！例え疲れ果てても、気力がなくても、あなたは生きているじゃない？生きて、そして動いている！まだ頑張れる証拠よ！あなたがまだ日々の疲れに負けていない証拠！胸を張りなさい！」

　更に走る音を早めて

「ほらほらほらほら～！私も一緒に走ってるから！最後までしっかり頑張りましょ？ここまでやってればもう気付いたでしょ？いかに限界だと思っても、もう無理だと思っても身体はまだ動く……まだ動いて、あなたに生きる実感を与えてくれている！」

　少し音を遅くして、それでもまだ走る音を続けて

「ふぅ、中々疲れてきたようね？でも、安心して、ここまで走ってこれたじゃない？あなたはまだ大丈夫。あなたはまだ前に進んでいける……ねぇ？こうして走ってるとさ、どんなに限界だと思ってても、どんなにつらい悩みがあって苦しいって思ってても……こうして身体は疲れて、生きてるんだって教えてくれる。こんな時だっていうのに、こうやって走れて息を切らして普通に疲れを感じるのよ？そう考えると、自分の悩みなんてちっぽけなものに思えてこない？　今までの自分の辛さなんて生理現象に負ける程度のものなんだってね」

　少し走る音を続けて……それからゆっくりと遅くして音を止めて
　息を乱す音

「お疲れ～、いい走りっぷりだったよ？　ほら？あなた、まだ動けるじゃない？　疲れや悩みなんて所詮そんな程度よ、そこまで重く考えないで頑張っていきましょ？」

　ポンポンと肩を叩く音
　それから介抱するように耳の近くで

「大丈夫、あなたはよく頑張ってる……よく頑張ってた。私が今、それを見たもの。自分に自信を無くさずに誇りを持って生きていきましょ？つらい時や疲れたときは、私がこうしていつでも励ましてあげるから、ね？」

　ガサガサとタオルで拭く音

「いつでも癒されに来なさい？　私はいつだって待ってるから」

　耳元で

「頑張るあなたの姿、素敵よ♡」

　とっておきの甘やかしボイスで↑

・台本（ゆるボイ！）
癒され処　頑張ったあなたをもっと頑張らせる元気お姉さん
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
泣きんぎょ