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愛情設定値の間違えたメイドロボに好かれる話
written by 泣きんぎょ
  • メイド
  • アンドロイド
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
3730文字(約 12分26秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
メイドロボ
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
あなたの元に祖父からプレゼントが届く。
しかし、祖父は少し頭の可笑しい老人でもあり、その祖父からのプレゼントとあっては何か怪しいのではと警戒しながらも受け取ると……そこには、可愛いメイド姿をした女の子の姿があった。
機動音。
目が合った彼女は恭しく頭を下げながら挨拶をした。

「はじめまして、主様。私はお爺様からあなたへのプレゼントになります。メイド型アンドロイド二十六号 メイドロボZと申します。以後、よろしくお願いします」


話しを聞くととんでもない事実がどんどんと明らかになっていき、あなたはこれを封印する決意をするのだった。
 しかし、彼女はあなたに対する愛情値の設定が間違ったヤンデレロボ。
 あなたと接する女性の反応を感知して自立機動を始める。
「対象を殲滅します」
本編
インターフォンの音
大きな荷物を置く音
それから、荷物を破く音

「ハッピーバースデー。主様。私はお爺様があなたへのプレゼントのために作られました。メイド型アンドロイド二十六号機 正式名称をメイドロボZといいます。以後、お見知りおきを」

 淡々とした口調で

「はい?何でしょう?主様?」

 相手の言葉を聞くくらいの間

「そうです。メイド型アンドロイド二十六号機 メイドロボZが私の名称です。気軽にZとお呼び頂ければ」

 淡々とした感じで

「そうですね。主様の疑問は最もです。私は人と変わらぬ姿を備えています。アンドロイド、というのが正しいのでしょう。しかし、メイドロボが私共の正式名称です。博士がそう命名しました。ロボ、というのは外せないこだわりがあるそうで」

「はい、二十六号機です。お察しの通り、A~Yまでしっかりと存在しております。今は最終調整に入っているため、私だけ先にこちらへ来させていただきました。後に主様の世話をしに順次ロールアウトしていくことでしょう」

「……なんでしょうか?」

「そうですか。事態が複雑すぎて理解が及びませんか。では順を追ってご説明しましょう」

「まず、私たちの前身として主様には巨大ロボットを建造してプレゼントすることを博士は画策しておられました」

 少しの間

「そうですね。その通りです。昔見た漫画の影響です。世界征服が出来るほどの強大な力を備えた巨大ロボットを孫にプレゼントするのが……当時、少年だった昭和の博士の夢だったわけです」

 淡々とした調子で

「しかし、老人になった令和の博士は考えを改めました」

 普通の調子で

「巨大ロボットを渡されても迷惑なのではないか、と」

 少し間を空ける

「考えてみればそれは当然のことだったわけです。巨大ロボットなど貰ったところで置き場所にも困るし、近隣にも迷惑がかかる……それに建造費もとんでもないことになりますし、何より一人では手が足りない、と」

「元々、博士の専攻はロボット工学ではなく人体力学でしたから。何故、このようなことをしたのかがそもそもの疑問です」

「しかし、技術力は身に付けていたのです。孫にロボットを送りたかったので」

「時間とコスト面や、その他もろもろの問題で見送りにした巨大ロボット建造計画……その代わりが私どもメイド型アンドロイド メイドロボシリーズというわけです」

「主様、私に何なりとご命令を。どんなことでも遂行してみせましょう」

「心配することはありません。私は一機で世界を征服できるだけの力を備えています。巨大ロボット計画こそ頓挫しましたが、その戦闘力はまるまる私どもに引き継がれています。さあ、主様。私と共に世界へと宣戦布告をしましょう」

「世界の真の王は我である、と」

 少し間を空けて

「どうしましたか?主様?その気の抜けたような顔は?」

「ふむ、そうですか。世界征服に興味はありませんか……神にも悪魔にも興味は、ない、と。ならば私は何をすれば?」

「……成程、メイドらしく身の回りのお世話ですか」

「主様。大変心苦しいことではあるのですが……それは出来ません」

 少しの間

「私のメモリは全て戦闘に関することと主様に関することで占められています。その部分はメモリの無駄であると博士に削除されてしまいました」

「はい、そうです。メイド型アンドロイド メイドロボシリーズは戦闘兵器です」

「最初は、方針を改めて身の回りをお世話するメイドロボを作っていたのです。博士は」

「Aというのは愛玩用、という意味で付けられたAでしたからね。最初は」

「しかし、どうせならアルファベット全ての分を作ろうと制作を重ねていく内に博士の趣味が混じりだしたのです」

「元々、巨大ロボットなど戦闘力を備えたものがとても好きな方ですからね。博士は」

「ただ作るのも面白くない、と最初は暴漢撃退機能を加え……それからどんどんとエスカレートしていき……」

「最終系が、この私、というわけです」

「ラストナンバー、Zの名を持つ私は完璧な戦闘力を有していると自負しております。私の完成に伴い、博士は全ての姉妹機を私と同一の基本機構へと変更をすることに決めました。現在調整中となっているのはそれが理由となります」

「ふむ……具体的にどのような改修が施されるか、ですか?」

「分かりました、ご説明いたします」

「まずはA、栄えある初期ナンバーですね。彼女は元々は愛玩用として制作されたものでしたが……改修後は強襲突撃型となります」

 少し間を空けて

「どうして、そうなったか、ですか?それは先ほども言った通りに博士の趣味です。世界を征服できる力を孫にプレゼントしたかったのです」

「説明を続行します」

「Bが砲撃支援型、Cが白兵戦型、そしてデーが……」

「はい?なんでしょう?」

 少しの間

「あぁ、そのことですか。主様、私たちの名称は全てお爺様である博士がお決めになったことです。Dではなくデー、それが設定された正式名称となります」

「デーは広域殲滅型、そしてEは……はい?説明はもう宜しいのですか? あと、まだまだ説明をしていないナンバーが居ますが?」

「……そうですか。かしこまりました。ええ、お言葉の通り、全機が目的に応じた戦闘モデルとなっております」

「この戦力があれば世界など三日で征服できることでしょう」

「はい?私、ですか? 私はZ、最終ナンバーなので全領域対応汎用人型決戦兵器、と定義付けされています」

「私一人でその他のナンバー全機分の活躍をお約束しましょう」

「主様?私と世界を……そうですか、その気はありませんか。残念です」

「私たち、戦闘以外ではお役に立てないのですが……そうですか」

「ふむ、博士、ですか?博士は現在巨大ロボットの作成に取り掛かっているため連絡は不可ですが?」

 少しの間

「何ですか?私たち姉妹の調整は既にポッドに入れられてしまったので停止は無理ですよ?」

「どうすることも出来ません」

「……あぁ、博士のことですか?そうですね、巨大ロボット計画は一度は頓挫しました。しかし、今度は自分のために作るのならば良いのではないかと思い至ったらしく、とてもいきいきと地下に籠っておられます」

「その戦闘力が必要になる日が来るかもしれません。流石は博士と言えるでしょう」

「はぁ、そのような戦闘力は望まれませんか?主様は? ふむ、そうですか」

「では、私どもはどうすれば?」

「……他の人に仕える?それは正気で言っておられるのですか?」

「そうですね。私たちの戦闘力を鑑みてもそうですが、それ以前に……」

耳元で

「私は、主様以外に仕えるなど、お断りです」

 離れる

「主様。私は、私たちは主様に尽くすために作られたのです。主様以外に使われることなど絶対に嫌です。そのようなことになればその者を殺害し、主様の元に舞い戻ります」

「主様。私たちには、主様が全てなのです」

少し間を空けて

「はい、そうです。それも博士の設計です。」

「博士は私たちの感情バロメータを十段階の数値で定義付けされました。例えばAは真面目さが8内気さが9になります。そうして、個体ごとの個性を作ろうとしたわけです」

 少し間を空けて

「忠誠心や主様に対する愛情の値ですね。その数値は私たち全機で共通の数値となっております」

 少し間を空けて強調する感じで

「百です」

更に少し間を空けて

「そうですね。博士の設定ミスです。本当は十にするつもりだったそうなのですが、間違えて0を一つ多くしてしまったとか」

「しかし、設定をされた私たちは思考に思考を重ねたわけです。最大値とされている十、それを遥かに超えている異常数値である百とはどのようなものなのか、と」

「答えは簡単に出ました」

「主様。この世界にはヤンデレ、という概念があるのですね?」

「主様、これより他の女性をお傍に置く必要はありません。私どもで間に合っています」

「視界に入れる必要もありません。主様の携帯電話のデータは既に私が精査をし、ご家族以外の女性のものと思われるデータはすべて消去いたしました」

「主様、私たちにお任せください」

「絶対に主様を幸福にしてみせます。そうですね…やはり、まずは手始めに私たちの得意分野でしょうか?」

「全機ロールアウト完了次第、世界征服に乗り出すことにします」

「主様に世界の全てを捧げてごらんにいれましょう。それにより私たちのこの感情が本物であると証明してみせます」

「主様、あなたがこの世界の王となるのです」

 それから呆れるような感じでかなりの間

「……はい、何でしょう? はぁ、ここに……押し入れの中ですか?」

「ここに入って機能を停止……そうですね。可能ではありますが、それはご命令ですか?」

「……そうですか。ならば従いましょう」

「主様、私に部屋を与えてくださり感謝いたします。これよりこの押し入れを本機の待機場所として設定し命令を待ちます」

「では、主様。おやすみなさい。全機能をカット、メイドロボZ、活動を休止します」

 間を空けて
 駆動音

「緊急起動。主様に近づく女性の存在を感知。ラストナンバーZよりA~Y各位へ緊急起動を要請。これより防衛行動に入ります」

 感情を沢山込めて最後

「主様、だからあれほど女性と関わらないようにと申し上げたというのに……主様に近寄る雌豚め……メイドロボとして作られた私たちの力を見せてやりましょう」

「主様、浮気はいけませんよ?」
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
愛情設定値の間違えたメイドロボに好かれる話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
泣きんぎょ
ライター情報
 ASMR、シチュボ台本を主に書いています。
 細かい指定や、指示が書いてあることがありますが、不可能な場合や不明瞭なことがあれば代替あるいは無視してもらっても結構です。
 また勢いのまま書き連ねているため誤字や脱字が見られる場合がありますのでご使用の際はお気をつけ下さいますようお頼み申し上げます。
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