元カノに弱みを握られているあなたは、既に別の人と付き合っている身にもかかわらず、
定期的に呼び出されては耳かきをされてしまっていた。

おっ、来た来た～。
すごいね、10分前集合だ。
あの頃ですら、いつも1、2分前に来てたのに。

……はは、な～に～？ そんな顔して。
わかったわかった、じゃ、始めちゃおっか。
はい、膝枕おいで。

(膝枕の体勢になり耳かき開始)

ふふっ。
やっぱり、このやり慣れたお耳が一番いいな～。

ね、そう思わない？
……ん？ だから、なんだかんだで、今でも私の耳かきが最高でしょ？ ってこと。

……え～、本当かな？
未だに呼んだらこうして来てくれるのに、ねぇ？

……はいはい。君は来たくて来てる訳じゃないですねー。
私が例の写真を使って脅したからで～す。
私のせい、私のせい。

ていうかさ、あの子にはどのぐらいしてもらってるの？ 耳かき。
……え！？ してないの？
そんな……生粋の耳かきフェチの君のことだから、それこそ毎日のようにお願いしてると思ってたのに。

……へぇ～。断られちゃったのねぇ。
まあ、本人が手先が不器用だからって言ってるなら、無理強いはできないよねぇ。
耳かきって、ちょっと間違えただけでも危ないし。
でも、いいのかなぁ？

(耳元で囁く)
このまま耳かきし続けてたら、君のこと、奪えちゃいそうだな～って気がするよ。
どうしようかな～。いっそ……。

(耳から離れて耳かき再開)
なんて、嘘嘘。私にそんな気なんてさらさらありません。
私が面白いと思っているのは、板挟みになって苦しむ君を見ていることだもん。

そう、だから、こんな悪い女に惑わされちゃダメだよ？
君にはもう、心に決めた人がいるんだもの。
たとえ……
(息を吹きかける)
ふ～っ……。

こんなことをされちゃったとしても、ね？

はい、こっちは終わりっと。
ほら、反対側向けて。

(反対側の耳を向け、耳かき再開)
ん～……いつまでって言われると、別に考えている訳じゃないんだけど。
まあ、少なくともまだやめてあげるつもりはないよ。さっきも言ったけど、面白いし。
せいぜいあの子にバレないといいねぇ？

ほらほら、怒らないの。好きなとこ掻いてあげるから。

どうだろう、実はもうバレちゃってたりして。
だってさー、今日って……元々二人の予定が入ってたのを、他の日にずらしてもらったんでしょ？

あはは、なんで知ってるんだろうねー？
教えてほしいでしょ？ もちろん教えないけどね。

ていうか、そんなことより、君のほうでしょ！ 大事なのは。
恋人よりも他の女との予定を優先なんてしちゃったら、それはもういよいよ……クズ、じゃない？

ふふ、いつまでそうやって、被害者ポジでいられるんだろうね。
わかるよ？ 君にとってはそれが最後の砦なんだって。
だから私は、思ってても言わないでおいてあげる。『本当は私の耳かきが忘れられないんでしょ？』とはね。
あ、言っちゃった。こりゃうっかり～♪

でもさぁ～、実際バレちゃって『あいつに弱みを握られてて……』って言ったとして、あの子、なんて言うと思う？
私だったら『なんで誰にも相談しなかったの？』って言うかな～。

実際私が脅して呼び出してる訳で、その証拠だって残ってるじゃん？
私を警察に突き出せば、脅迫罪？ とかで捕まるんじゃない？ 多分。
少なくとも、あっさり言いなりになっているようじゃ、ちょっとねぇ。

……あはっ、何も言えなくなっちゃった？
耳かき中にするにはちょっと難しい話だったかな？
……ねぇ、そしたらさ、実際に確かめてみるのが早いよね。
（遠くへ呼びかけるように）
はい、出てきていいよー。

……あはは！ 冗談冗談～。
今、すっごいビクッてしてた！
ほら、頭戻して。本当にいないから大丈夫だって～。そんなに効くだなんて思わなかったからさー。
はい、これはせめてものお詫び。
(息を吹きかける)
ふ～っ……。

よし。もう頭上げていいよー。

いやー、今日も楽しかった。
まだまだ味がしそうでいいねぇ～、君って。

また、しようね。
あの子がしてくれない、み・み・か・き♪

・台本（ゆるボイ！）
元カノに逆らえないあなたは耳かきに耐える
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
くるっくー