- ヤンデレ
- 人外 / モンスター
公開日2021年06月05日 18:00
更新日2021年06月05日 18:00
文字数
5300文字(約 17分40秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
鬼っ娘
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
本編
小粒の物を幾つもぶつける音
「いたっ、いたたたたたっ!ぅう、や~め~て~く~だ~さ~い~!うぅぅ」
走る音
必死な声で
「あっ!そこの方!お願いですっ!わたしを匿って欲しいのです!入れてください~!皆!皆がわたしに豆をぶつけてくるのです~!」
「はわわわっ、ああ、ありがとうございます!ありがとうございますです!お邪魔しますです!」
駆けこむ音
それから足早に扉を閉める音
それから疲れたような息遣いで
「はぁ、はぁ、はぁ……た、助かりましたです~!み、み~んな、この時期になるとわたしに豆をぶつけてきて……うぅぅ、鬼は外、鬼は外ってぇ……なんですか~、そんなに鬼が中に入ったらいけませんか~、うぅ」
愚痴るように
「あ、ごめんなさいです……あなたは、わたしのことを中に入れてくれた優しい人間さんですものね!こんなこと言っちゃいけませんですね!」
「申し訳ありませんのです、聞き苦しいことをお耳に入れてしまって……さっきのことは忘れてくださいです。あなたは、いい人ですから!」
「このお礼は必ずします!一生かかってでも恩返しますですので!期待して待っててくださいです!こう見えて、わたし、義理堅い鬼ですので!受けた恩は絶対にわすれませんですよ~? えへへ……まぁ、恨みの方も一生わすれないのですけどね」
後半はぼそりと言うように疲れた感じで早口で
それから少し間を開けておずおずと
「あの、それでですね……迷惑ついでにお願いがあるのですけど……」
もじもじとしてる感じが分かるように恥じらうように
それから意を決して
「もう少し!ここに置いて欲しいのです!その……まだ、みんなわたしに豆をぶつけてきますですし……痛いのは、嫌ですし……」
最後は悲しそうに
「もちろんタダでとは言いません!家事洗濯炊事!何でもしますですよっ!お世話になるのですから!何でもお言いつけくださいです!わたし、一生懸命やりますですので!」
やる気を漲らせた感じではっきりと言いきって
またおずおずと
「駄目……でしょうか?」
相手が答えるくらいの間
それから嬉しそうに
「わはっ!ありがとうございま~すっ!精いっぱい、ご奉仕させていただきますですっ!」
ポンと手を叩く音
それから歩く音
「えと、まずは何から致しましょうか?わたし、こう見えて一通りの花嫁修業はお母様に仕込まれていますですので何でも出来ますですよ~? 火の起こし方が絶妙に上手だとお褒めの言葉だって預かりましたですし~」
楽しそうな調子で
それから何かを聞かれたかのような調子で
「はい?わたしのこの口調、ですか?どこか、変でしたでしょうか? いつもこの喋り方で話してますですよ?」
不思議そうに
それから納得するかのように
「はえ~、そうだったのですか……人間さんはこのような喋り方の人はいらっしゃらないのですか~。驚きましたです!鬼の世界では誰も気にしてなかったのですよ~、この口調だってお母様と似たようなものなのですよ?」
誰かの物真似をするように
「『あなた?それじゃ駄目ですますのことよ?そんなことで意中の殿方と結ばれることが出来ると思っているのでますか?』と、このような具合で……本当に小さな頃はお母様の口調がまるごと移ったような感じでしたのですが、えと、一種の反抗期?と言う奴ですねっ!意図的に変えてやったのです!お母様弐号になるなんてごめんでしたのです」
楽しそうな調子で
世間話をするように
「旦那様はそういったことはなかったのですか?お父様やお母様に特に意味のないこだわりを押し通したりしたりとか!幼い頃はありがちなことだと思いますのですが~?」
少し間を開けて
不思議そうに
「はい?この呼び方、ですか?何か可笑しかったですか?」
ここであざといくらいに可愛らしく首を傾げる感じで言って
次へ
「だって、旦那様は助けを求めるわたしを家に招き入れてくれた家主様ではございませんですか?それは、旦那様ですよ~。その家の家長には敬意を払うのが当然ということなのです」
家長 読み かちょう
「……ふぇ?家長ではない、ですか?お父様もお母様もお住まいでいらっしゃる、のですか?」
不思議そうに
それから少し間を開けて
「そうだったのですか……では、その……わたしは本当にここに居てもよいのでしょうか? 後からお父様かお母様がやってきて、やっぱり家に入れたのは取り消しだ、鬼は外だと……豆を、ぶつけてこられたりなどされないでしょうか?」
不安そうな感じで聞いて
それから徐々に嬉しそうに
「ぇ?その、時は、旦那様がわたしを守ってくださるの、ですか?」
相手の言葉をかみ砕いて理解するかのように間をおいて
心の底から嬉しそうに
「わ、あわわわっ、ありがとうございますですっ!やっぱり、旦那様はわたしが見込んだ通りの優しいお方ですっ!あなたのような人に助けて貰えてわたしは幸せなのですっ!」
「あ、家長ではないので……この呼び方は、可笑しいでしょうか?」
「うぅぅ、でも、もう何度もお呼びしてしまってますですし……旦那様でよろしいですか? わたしは、あの、出来れば旦那様とお呼びしたいな~と思っていますのですが……何だか、お嫁に貰われたみたいで心がポカポカなりますですし」
自信なさげに不安げに
それから嬉しそうに
「わぁっ、ありがとうございますっ!それではこれからも旦那様とお呼びしますですねっ!」
そして普通の調子で
「それで、わたしは何をすれば?……あっ、もうお昼が近いのでおさんどんからにいたしましょうですっ! お台所はどこですか?」
歩く音
それから感心したふうに
「ほうほう、ここがこの家のお台所なのですか」
ジロジロと見渡すくらいの間をおいてから不思議そうに
「……えと、かまどはどこにあるのでしょうか?」
続けて不思議そうに
「見たところによると、火を起こす場所もありませんですし……薪の類も見当たりませんし、釜も……ないのですよ?」
「これでどうやってご飯を作っていますのですか?」
それから相手の言葉を聞く感じで
「ほうほう……あいえっち、と申しますですか?それは、どのような絡繰りのことで?」
「ふむふむ……ここを捻ったら、この板の上が熱くなりますのですか?」
「ふふっ、旦那様~?もしかしてわたしのことからかっているのですか?わたしが如何に人間さんの世界に疎い鬼娘でもそんな荒唐無稽なことがこの世にあるわけが……っ、あつっ!あついのですっ!手を置いていたところが火に炙られたかのように熱くなってきたのですっ!」
それから自分の手に息を吹きかけるような感じで
「ふ~っ、ふ~っ……うぅ、危ないところだったのです。人間社会、怖いことがたくさんありますのです……これは覚えていくのが大変そうなのです」
意気消沈とした感じで
「うぅぅ、おさんどんは今はまだちょっと無理そうなのです……申し訳ありませんですが、他のことをやることにしますです」
申し訳なさそうな感じで言って
少し明るく
「えと、ではお洗濯をするとしますですっ!洗濯物はどこですか? 案内してくださいです」
足音
それからまた不思議そうに
「……えっと、旦那様?この大きな箱はなんなのでしょう?それに……洗濯板が見当たりませんのですが?」
よく分かってなさそうな感じで
「せんたっき?……はぁ、この箱の中に洗濯物を入れると洗ってくれるのです? 手もないのにどうしてそのようなことが出来るのですか?」
ペチペチと軽くたたく音
「誰か入っていますのですか? 小型の小豆洗いでも詰め込んでいますのです?もしも~し?」
叩く音
「はて?反応がありませんですが?これでどうやって洗うというですか?」
更に叩く音
「あっ……何やら破滅的な音がしましたですが……大丈夫なのでしょうかです?」
気まずさを表現するかのように間を開けて
取り繕うように明るい感じで
「あはは……よ~し、では他のことをしますです!旦那様、わたしになんなりとお申し付けをして欲しいのですますが……はぇ?何もしなくてよい、ですか?戦力外?」
最後の部分は不思議そうな感じで
それから悲しそうに
「うぅ……面目ないのです……まさかちょっと見ない間に人間さんの世界はこんなに進歩していただなんて思ってなかったのです……お役に立てなくて申し訳ないのです……ごめんなさいです、旦那様」
涙ながらに謝罪をするような感じで
それからおずおずと
「では、わたしは、どうすればいいのでしょうかです? このまま何もしないだなんて鬼娘の名折れなのですが……」
相手の反応を待つくらいの間を開けて
次
「はい、わかりましたのです。大人しく待っていますです……」
少し開けて
「わわっ、旦那様旦那様!大変なのです!火事です!火事なのです~!」
慌てた感じで
「えいっ!えいっ!このっ、消えるのですっ!」
少しだけ空けて
「はっ、旦那様っ!そこは危ないのです!窓際から離れて……て~いっ!」
硬いものを打つ音
「ふ~……鬼に金棒とはこのことなのです。窓から入ってきたボールを撃ち返してやったのですよ、ふふ~ん」
得意げに
それからすぐ何かに気付いた感じで
「あ、旦那様、そこに立っていられるとマズいのです。水難の相が……わわっ、鉄砲水なのです!川もないのに床から鉄砲水が噴き出してきたのですっ!何なのですっ!?と、とりあえず塞がないとっ! え?すいどうきょくがいしゃ、に電話?なんなのです?それは?」
それから間を開けて
疲れたように
「ふぅ~、一段落なのです……大変な目に遭いましたですね?旦那様」
「わたしが居てよかったです。わたしの妖力を用いれば多少の予知は効きますですので、頼ってくださいです。これから色んな不幸が起こるはずですから」
「……はい?それは、起こりますですよ。だって、旦那様は福を招き入れずに鬼を招き入れてしまったですから……これから一年、福は来ません」
「はい?旦那様はそのことをご承知の上で鬼を招き入れたのではありませんのですか?」
「古来より、何故豆まきが行われるのか?その理由はもちろんご存じですますよね?……あ、お母様の口調が出てきてしまいましたです。やり直しやり直し、聞かなかったことにしてくださいです」
「こほん、古来より豆まきとは病魔や厄災など悪いことを退けて福運を招き入れるために行うためのものでしたのです。鬼とは、そういった形の無いものの擬人化のようなものでしたのです。よくありますですよね?昔の人がよく分からないものをよく分からないなりに解釈しようとして物の怪や神の類とされて畏れ敬われることが。鬼もその一つなのですよ~」
「つまり、旦那様は鬼であるわたしを招き入れたことであらゆる災害や不幸をも許容して招き入れてしまったことになるのです~、いやはや、これからが大変ですね?旦那様?そのことをご承知の上でわたしをお救いして下さるのですものっ!わたし、旦那様に惚れてしまいましたですっ!」
少し間を開けて
「はぇ?そんなことは知らなかった、ですか? そうだったのですか~……どうりで優しい人間さんだと思ったのです……では、わたしをこれから追い出されるのですか? 外の人たちと同じように……豆をぶつけて、いじめてくるのですか?」
悲しそうに
それからあっけらかんと
「ふふっ、でも駄目ですっ!わたし、旦那様に惚れてしまったですから!これからは一途に尽くしていくと決めたのです!今日この日のために花嫁修業も幾日も積んできたのですからっ!知ってますか?鬼は、とっても執着心が強いのです。恨みは忘れない、助けてくれた恩も忘れない……惚れ込んだら一筋っ、なのです!」
「あ、そういえば昔からこうやって花嫁や花婿をこの日に探しに来てたから豆をぶつけられるようになった~ってお話もお母様から聞いたことがあったような気が……どうしてなのでしょうです。わたしたちは一人を好きになったら決して離さない一途な心の持ち主なのに……人間さんは浮気をして、束縛は沢山だといって出ていこうとして……みんなみんな、最初は優しいのに酷いことをやり出すのです……わたしたちは決して大切なお方に酷い真似はいたしませんけどね?大好きなことを精いっぱい伝えて……大切な人に悪いことを吹き込む悪者は金棒で懲らしめて……精いっぱい分かってもらうのですよ、ふふ。人間さんって一途な生き物を見るといじめたくなる生き物なのですかね~?」
耳元に近寄りながら言って
「ただ、そうですね。そんなにわたしを追い出したいのなら、今日、この節分の日のうちにわたしに豆をぶつけて追い払えば間に合うのです。『鬼は外、福は内』と唱えて……そうすればたちどころに先ほどのような不幸も立ち消えて平凡な日々が戻ってくるのです」
それから甘く囁き
「で・もぉ……えへへ」
普通に耳元で
「旦那様ぁ♡わたしは抵抗しますですよ?追い出されないようにご奉仕するのです、気に入られるようにたくさんたくさん愛の気持ちを伝えるのです。絶対に今日を乗り越えてみせるのです」
離れて
「ふふふ~、この家に豆が存在しないことはすでに確認を済ませましたのです!旦那様はこれから一歩も外に出さないのですっ!鬼の嫁入り、絶対に認めてもらうのですよ~!」
また耳元で
「旦那様ぁ♡ 不束者ですがよろしくお願いしますです」
前半部分は甘く誘惑する感じで、後半部分可愛らしく言って終了
「いたっ、いたたたたたっ!ぅう、や~め~て~く~だ~さ~い~!うぅぅ」
走る音
必死な声で
「あっ!そこの方!お願いですっ!わたしを匿って欲しいのです!入れてください~!皆!皆がわたしに豆をぶつけてくるのです~!」
「はわわわっ、ああ、ありがとうございます!ありがとうございますです!お邪魔しますです!」
駆けこむ音
それから足早に扉を閉める音
それから疲れたような息遣いで
「はぁ、はぁ、はぁ……た、助かりましたです~!み、み~んな、この時期になるとわたしに豆をぶつけてきて……うぅぅ、鬼は外、鬼は外ってぇ……なんですか~、そんなに鬼が中に入ったらいけませんか~、うぅ」
愚痴るように
「あ、ごめんなさいです……あなたは、わたしのことを中に入れてくれた優しい人間さんですものね!こんなこと言っちゃいけませんですね!」
「申し訳ありませんのです、聞き苦しいことをお耳に入れてしまって……さっきのことは忘れてくださいです。あなたは、いい人ですから!」
「このお礼は必ずします!一生かかってでも恩返しますですので!期待して待っててくださいです!こう見えて、わたし、義理堅い鬼ですので!受けた恩は絶対にわすれませんですよ~? えへへ……まぁ、恨みの方も一生わすれないのですけどね」
後半はぼそりと言うように疲れた感じで早口で
それから少し間を開けておずおずと
「あの、それでですね……迷惑ついでにお願いがあるのですけど……」
もじもじとしてる感じが分かるように恥じらうように
それから意を決して
「もう少し!ここに置いて欲しいのです!その……まだ、みんなわたしに豆をぶつけてきますですし……痛いのは、嫌ですし……」
最後は悲しそうに
「もちろんタダでとは言いません!家事洗濯炊事!何でもしますですよっ!お世話になるのですから!何でもお言いつけくださいです!わたし、一生懸命やりますですので!」
やる気を漲らせた感じではっきりと言いきって
またおずおずと
「駄目……でしょうか?」
相手が答えるくらいの間
それから嬉しそうに
「わはっ!ありがとうございま~すっ!精いっぱい、ご奉仕させていただきますですっ!」
ポンと手を叩く音
それから歩く音
「えと、まずは何から致しましょうか?わたし、こう見えて一通りの花嫁修業はお母様に仕込まれていますですので何でも出来ますですよ~? 火の起こし方が絶妙に上手だとお褒めの言葉だって預かりましたですし~」
楽しそうな調子で
それから何かを聞かれたかのような調子で
「はい?わたしのこの口調、ですか?どこか、変でしたでしょうか? いつもこの喋り方で話してますですよ?」
不思議そうに
それから納得するかのように
「はえ~、そうだったのですか……人間さんはこのような喋り方の人はいらっしゃらないのですか~。驚きましたです!鬼の世界では誰も気にしてなかったのですよ~、この口調だってお母様と似たようなものなのですよ?」
誰かの物真似をするように
「『あなた?それじゃ駄目ですますのことよ?そんなことで意中の殿方と結ばれることが出来ると思っているのでますか?』と、このような具合で……本当に小さな頃はお母様の口調がまるごと移ったような感じでしたのですが、えと、一種の反抗期?と言う奴ですねっ!意図的に変えてやったのです!お母様弐号になるなんてごめんでしたのです」
楽しそうな調子で
世間話をするように
「旦那様はそういったことはなかったのですか?お父様やお母様に特に意味のないこだわりを押し通したりしたりとか!幼い頃はありがちなことだと思いますのですが~?」
少し間を開けて
不思議そうに
「はい?この呼び方、ですか?何か可笑しかったですか?」
ここであざといくらいに可愛らしく首を傾げる感じで言って
次へ
「だって、旦那様は助けを求めるわたしを家に招き入れてくれた家主様ではございませんですか?それは、旦那様ですよ~。その家の家長には敬意を払うのが当然ということなのです」
家長 読み かちょう
「……ふぇ?家長ではない、ですか?お父様もお母様もお住まいでいらっしゃる、のですか?」
不思議そうに
それから少し間を開けて
「そうだったのですか……では、その……わたしは本当にここに居てもよいのでしょうか? 後からお父様かお母様がやってきて、やっぱり家に入れたのは取り消しだ、鬼は外だと……豆を、ぶつけてこられたりなどされないでしょうか?」
不安そうな感じで聞いて
それから徐々に嬉しそうに
「ぇ?その、時は、旦那様がわたしを守ってくださるの、ですか?」
相手の言葉をかみ砕いて理解するかのように間をおいて
心の底から嬉しそうに
「わ、あわわわっ、ありがとうございますですっ!やっぱり、旦那様はわたしが見込んだ通りの優しいお方ですっ!あなたのような人に助けて貰えてわたしは幸せなのですっ!」
「あ、家長ではないので……この呼び方は、可笑しいでしょうか?」
「うぅぅ、でも、もう何度もお呼びしてしまってますですし……旦那様でよろしいですか? わたしは、あの、出来れば旦那様とお呼びしたいな~と思っていますのですが……何だか、お嫁に貰われたみたいで心がポカポカなりますですし」
自信なさげに不安げに
それから嬉しそうに
「わぁっ、ありがとうございますっ!それではこれからも旦那様とお呼びしますですねっ!」
そして普通の調子で
「それで、わたしは何をすれば?……あっ、もうお昼が近いのでおさんどんからにいたしましょうですっ! お台所はどこですか?」
歩く音
それから感心したふうに
「ほうほう、ここがこの家のお台所なのですか」
ジロジロと見渡すくらいの間をおいてから不思議そうに
「……えと、かまどはどこにあるのでしょうか?」
続けて不思議そうに
「見たところによると、火を起こす場所もありませんですし……薪の類も見当たりませんし、釜も……ないのですよ?」
「これでどうやってご飯を作っていますのですか?」
それから相手の言葉を聞く感じで
「ほうほう……あいえっち、と申しますですか?それは、どのような絡繰りのことで?」
「ふむふむ……ここを捻ったら、この板の上が熱くなりますのですか?」
「ふふっ、旦那様~?もしかしてわたしのことからかっているのですか?わたしが如何に人間さんの世界に疎い鬼娘でもそんな荒唐無稽なことがこの世にあるわけが……っ、あつっ!あついのですっ!手を置いていたところが火に炙られたかのように熱くなってきたのですっ!」
それから自分の手に息を吹きかけるような感じで
「ふ~っ、ふ~っ……うぅ、危ないところだったのです。人間社会、怖いことがたくさんありますのです……これは覚えていくのが大変そうなのです」
意気消沈とした感じで
「うぅぅ、おさんどんは今はまだちょっと無理そうなのです……申し訳ありませんですが、他のことをやることにしますです」
申し訳なさそうな感じで言って
少し明るく
「えと、ではお洗濯をするとしますですっ!洗濯物はどこですか? 案内してくださいです」
足音
それからまた不思議そうに
「……えっと、旦那様?この大きな箱はなんなのでしょう?それに……洗濯板が見当たりませんのですが?」
よく分かってなさそうな感じで
「せんたっき?……はぁ、この箱の中に洗濯物を入れると洗ってくれるのです? 手もないのにどうしてそのようなことが出来るのですか?」
ペチペチと軽くたたく音
「誰か入っていますのですか? 小型の小豆洗いでも詰め込んでいますのです?もしも~し?」
叩く音
「はて?反応がありませんですが?これでどうやって洗うというですか?」
更に叩く音
「あっ……何やら破滅的な音がしましたですが……大丈夫なのでしょうかです?」
気まずさを表現するかのように間を開けて
取り繕うように明るい感じで
「あはは……よ~し、では他のことをしますです!旦那様、わたしになんなりとお申し付けをして欲しいのですますが……はぇ?何もしなくてよい、ですか?戦力外?」
最後の部分は不思議そうな感じで
それから悲しそうに
「うぅ……面目ないのです……まさかちょっと見ない間に人間さんの世界はこんなに進歩していただなんて思ってなかったのです……お役に立てなくて申し訳ないのです……ごめんなさいです、旦那様」
涙ながらに謝罪をするような感じで
それからおずおずと
「では、わたしは、どうすればいいのでしょうかです? このまま何もしないだなんて鬼娘の名折れなのですが……」
相手の反応を待つくらいの間を開けて
次
「はい、わかりましたのです。大人しく待っていますです……」
少し開けて
「わわっ、旦那様旦那様!大変なのです!火事です!火事なのです~!」
慌てた感じで
「えいっ!えいっ!このっ、消えるのですっ!」
少しだけ空けて
「はっ、旦那様っ!そこは危ないのです!窓際から離れて……て~いっ!」
硬いものを打つ音
「ふ~……鬼に金棒とはこのことなのです。窓から入ってきたボールを撃ち返してやったのですよ、ふふ~ん」
得意げに
それからすぐ何かに気付いた感じで
「あ、旦那様、そこに立っていられるとマズいのです。水難の相が……わわっ、鉄砲水なのです!川もないのに床から鉄砲水が噴き出してきたのですっ!何なのですっ!?と、とりあえず塞がないとっ! え?すいどうきょくがいしゃ、に電話?なんなのです?それは?」
それから間を開けて
疲れたように
「ふぅ~、一段落なのです……大変な目に遭いましたですね?旦那様」
「わたしが居てよかったです。わたしの妖力を用いれば多少の予知は効きますですので、頼ってくださいです。これから色んな不幸が起こるはずですから」
「……はい?それは、起こりますですよ。だって、旦那様は福を招き入れずに鬼を招き入れてしまったですから……これから一年、福は来ません」
「はい?旦那様はそのことをご承知の上で鬼を招き入れたのではありませんのですか?」
「古来より、何故豆まきが行われるのか?その理由はもちろんご存じですますよね?……あ、お母様の口調が出てきてしまいましたです。やり直しやり直し、聞かなかったことにしてくださいです」
「こほん、古来より豆まきとは病魔や厄災など悪いことを退けて福運を招き入れるために行うためのものでしたのです。鬼とは、そういった形の無いものの擬人化のようなものでしたのです。よくありますですよね?昔の人がよく分からないものをよく分からないなりに解釈しようとして物の怪や神の類とされて畏れ敬われることが。鬼もその一つなのですよ~」
「つまり、旦那様は鬼であるわたしを招き入れたことであらゆる災害や不幸をも許容して招き入れてしまったことになるのです~、いやはや、これからが大変ですね?旦那様?そのことをご承知の上でわたしをお救いして下さるのですものっ!わたし、旦那様に惚れてしまいましたですっ!」
少し間を開けて
「はぇ?そんなことは知らなかった、ですか? そうだったのですか~……どうりで優しい人間さんだと思ったのです……では、わたしをこれから追い出されるのですか? 外の人たちと同じように……豆をぶつけて、いじめてくるのですか?」
悲しそうに
それからあっけらかんと
「ふふっ、でも駄目ですっ!わたし、旦那様に惚れてしまったですから!これからは一途に尽くしていくと決めたのです!今日この日のために花嫁修業も幾日も積んできたのですからっ!知ってますか?鬼は、とっても執着心が強いのです。恨みは忘れない、助けてくれた恩も忘れない……惚れ込んだら一筋っ、なのです!」
「あ、そういえば昔からこうやって花嫁や花婿をこの日に探しに来てたから豆をぶつけられるようになった~ってお話もお母様から聞いたことがあったような気が……どうしてなのでしょうです。わたしたちは一人を好きになったら決して離さない一途な心の持ち主なのに……人間さんは浮気をして、束縛は沢山だといって出ていこうとして……みんなみんな、最初は優しいのに酷いことをやり出すのです……わたしたちは決して大切なお方に酷い真似はいたしませんけどね?大好きなことを精いっぱい伝えて……大切な人に悪いことを吹き込む悪者は金棒で懲らしめて……精いっぱい分かってもらうのですよ、ふふ。人間さんって一途な生き物を見るといじめたくなる生き物なのですかね~?」
耳元に近寄りながら言って
「ただ、そうですね。そんなにわたしを追い出したいのなら、今日、この節分の日のうちにわたしに豆をぶつけて追い払えば間に合うのです。『鬼は外、福は内』と唱えて……そうすればたちどころに先ほどのような不幸も立ち消えて平凡な日々が戻ってくるのです」
それから甘く囁き
「で・もぉ……えへへ」
普通に耳元で
「旦那様ぁ♡わたしは抵抗しますですよ?追い出されないようにご奉仕するのです、気に入られるようにたくさんたくさん愛の気持ちを伝えるのです。絶対に今日を乗り越えてみせるのです」
離れて
「ふふふ~、この家に豆が存在しないことはすでに確認を済ませましたのです!旦那様はこれから一歩も外に出さないのですっ!鬼の嫁入り、絶対に認めてもらうのですよ~!」
また耳元で
「旦那様ぁ♡ 不束者ですがよろしくお願いしますです」
前半部分は甘く誘惑する感じで、後半部分可愛らしく言って終了
クレジット
ライター情報
ASMR、シチュボ台本を主に書いています。
細かい指定や、指示が書いてあることがありますが、不可能な場合や不明瞭なことがあれば代替あるいは無視してもらっても結構です。
また勢いのまま書き連ねているため誤字や脱字が見られる場合がありますのでご使用の際はお気をつけ下さいますようお頼み申し上げます。
細かい指定や、指示が書いてあることがありますが、不可能な場合や不明瞭なことがあれば代替あるいは無視してもらっても結構です。
また勢いのまま書き連ねているため誤字や脱字が見られる場合がありますのでご使用の際はお気をつけ下さいますようお頼み申し上げます。
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