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深海に誘われて…… ヤンデレ人魚姫の理想郷
written by 泣きんぎょ
  • ヤンデレ
  • 人外 / モンスター
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
4355文字(約 14分31秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
人魚姫
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
 夕暮れ、海辺で人間の男とお話をしに現れる人魚。
 彼女とは次第に仲良くなっていき、ある日

「今日は少しだけ泳いでみませんか? 大丈夫、私が先導しますから、ね?」

 といって沖へ誘い出す。
 それが、悪夢のような理想郷への招待だとも知らずに……
本編
「~~~~♪~~~~♪」

 適当に音程を付けて歌のようにハミング(自信がない場合は飛ばして次から
 それから気付いたように

「あ、お疲れさま。やっときてくださったんですね? ここでこうして待っていれば来てくださるって信じてました」

 楽しそうに

「今日はどうなさったんですか?少し、遅かったですけど……へぇ、お仲間さんが仕事で怪我をしちゃったんですか~、そうですか。それで遅れたわけですね? ふふ、相変わらずお優しいんですね?」

「あの日もそうでしたよね~。うっかり陸に打ち上げられちゃって、身動きが取れなくなってしまってる私をあなたは何も言うことなく手当てをして海に戻してくれたんです……あの時のことを思い出すと、今でも心がポカポカしてきちゃいます」

「小さな頃お母様にも言われていたから、陸の人に見つかっちゃいけないってずっと思ってたんです。陸の人間は自分たちと違う部分のある私たち人魚を受け入れてくれることはないから、気持ち悪いといって酷い目に遭うって」

「……そうですね。もしくは珍しいからといって解剖されるかもしれない、見世物にされるかもしれないとも母は言っていました。そのどれにも当てはまらないのですから、母の言うこともいい加減なものですね?」

「ふふ、そうですね~。多分、あなたの言う通りだと思います。人間みんながあなたのように優しいのではなくあなたが優しかったから私は無事だったんです。だからこうして、お友達として秘密の交流会をしているわけです。私がここに居ること、他の人間の方には内緒ですよ?」

「指切りしましょ? 人間さんは約束事をするときにはそうするのでしょう? あなたからそのお話を聞いて私もやってみたかったのです、ふふ」

嬉しそうに

「さぁ、指を差し出して? 約束です……えっと、指切りげんまん嘘ついたらハリセンボンの~ます、と。実はここに来る道中に捕まえてきたのですよ?ハリセンボン。嘘を吐いたらこれを食べてもらいますからね?」

 楽しそうに優しげに

「それにしても人間さんはどうして、ハリセンボンを飲ませるなどというのでしょうね?不思議です。あなたはその意味が分かりますか? 私は……ん~、別に食べられない部分を避ければいいだけなので普通にこれくらい食べられるとは思うのですけどね~……踊り食い、ということなのでしょうか?不思議ですね?ふふっ」

 楽し気に笑うようにして
 静かな波の音
 少し真剣な口調で

「……こうしてお話をするのは何回目でしょうね? 覚えていますか?」

「私は、覚えています。あなたは私の知らない素敵なことを沢山教えてくれて……私みたいに人の足のない人魚にも分け隔てなく接してくれて……時間が過ぎるのが惜しいと思ったことが何度もあるんです」

「このまま……あなたとお話の出来る、月が輝く時間のままで止まってしまえばいいのに、と」

「……あなたは、そう思ったことはありませんか? 私は毎日です。毎日……もう少しお話していたいなぁ、一緒に居たいなぁ、帰りたくないなぁ……って」

「子供の頃、おばあちゃんの家に行った時みたいな感覚ですね……楽しくて、楽しくて、優しさに満ち溢れていて……ずっとこの時が続いて欲しいと思う」

 しみじみと感傷的に

「あなたは、どうですか? 同じ気持ちで居てくれたら……その、嬉しいなぁって思うんですけど……えへへ」

 後半から少し自信なさげに
 それから少し気落ちした声で

「……そうですか、良かったです。一緒に居たい、と思ってくださるんですね……でも、後半は、ちょっと聞きたくなかったです」

 少し溜めてから
 感傷的に言われたことを口にするように

「もうここに来ない方がいい」

 少し間を開けて
 少し悲し気に

「理屈では分かっているんです。人と違う、人魚の私がここに居ることであなたは望まぬ立場に立たされるかもしれない。ここは、私とあなただけの秘密の場所ですけど……他に誰も来ないという保証はないですから、気まぐれに誰かが来たら大変なことになる、と……心配も分かります……私のことを案じての言葉だというのも、分かります。ありがとう」

「でも、そんなあなただからこそ……私はあなたに会いに行くのを止めたくない」

「ふふっ、すごいわがままですよね? ごめんなさい。でも、好きなんです」

「あなたと居られるこの時間が」

 満足げに優しく言って
 それから優しい声で

「でも、だから私も……この時間は今日で終わりにしようと思って来たんです。もう、この場所で会うのは終わりにしましょう」

「とても名残惜しいですけど……このような関係、私たち自身に良くないものですからね」

 少し溜めてるように間を空けて

「お別れを告げに来たんです」

「もう、ここで会うのはおしまいです」

 波の音

「今まで、ありがとう。私に色々なことを教えてくれて」

「ありがとう……私の、友達になってくれて」

「今日でこの関係はおしまいです。明日からは……もう友達ではありません。危険な密会、でしたものね? 人と人魚、ですものね? それが自然な形というもの」

「あなたも、私と会うために夜遅くまでこうしてずっと起きていて危ない目になりそうなことが何度かありましたものね? 聞いていたので知っています。ごめんなさい、私のために……明日からは自分の生活に専念してくださって大丈夫ですよ?」

 耳元で

「ありがとう……大好き」

 離れて

「今日のこの時間が終わったら……もう、友達ということは忘れてください。人と人魚がお友達で居られる時間は、もう終わったんですから」

 少し悲し気に

「今まで本当にありがとう……ただ、そうですね。最後に、お友達としての最後のお願いを」

 少し間を開けてから
 躊躇いがちに

「今日は少しだけ泳いでみませんか? 大丈夫、私が先導しますから、ね?」

 少し間を開けて

「ふふ、ありがとうございます。では少し……デートと行きましょう。最初で最後の、海デートと洒落込みましょう。ふふふ」

 
 間を開けて場面転換

 静かな波の音

「見てください、綺麗なものでしょう? あなたが陸のことを教えてくれたみたいに、私も海のことをあなたに教えたかったんです」

「良いものだと思いませんか? 海面に映った満月の光、満天の星空……周りには何もなくって、ただ波の音だけが聞こえる……まるで二人だけで海と空を貸し切ったみたいですね?」

「これ、人魚の特権なんですよ? いつでも好きな時に海面に顔を出して空を見上げて……あなたにお裾分けです♪」

「人は、船を使って海に来ることは出来るでしょう。空を見上げればこれと同じ空を見ることも出来るでしょうね……でも、それを気軽に、自然のままの状態で見ることが出来るのは私たちだけなんです。魚たちには月を見て物思いにふけるなんてことはありませんからね」

「私が人間だったら……きっと、こんなことにはならなかったんでしょうね。人であれば、あなたと何を気にすることもなく一緒に居られた……これからも気兼ねなくお友達で居られた」

「でも、人魚だからあなたに会えた。この光景を一緒にあなたと見ることが出来た……そのことに悔いはないんです」

「あなたは人間、私は人魚……だから、一緒には居られない」

 少し間を開けて

「…………本来なら」

 ちょっとだけ暗い声で
 それから普通の声で

「っと、ごめんなさい。今のは何でもありません、気にしないでください。最後だと思うとどうしても、ね?私も、名残惜しいですし、別れたくありませんから、ふふっ」

「……そう、友達で居られる、最後の時間ですから……」
 
 少し感傷的に言い、
 それから気付いたように

「……あぁ、そういえば少し前にどこに行くのかと聞かれましたね? 言ってなかったので言いましょう」

「ここが目的地です。お疲れ様♪もう泳がなくても大丈夫ですよ? だって……」

耳元で

「あとは私が連れていきますから」

 優しい声で言って
 ボコボコと水中に引きずり込まれる音

間を開けて

「あら?早いお目覚めですね? もう少し眠っていても良かったのに」

「もう上に戻る必要なんてないんですから、ふふっ♪」

 楽しそうに

「ここがどこか、ですか? ここは私のお家です。そうですね、俗に言う人魚のお城、といったところでしょうか? 実は私、人魚王朝の姫に連なる血筋なんですよ? といっても、もう亡国ですけど」

「ええ、少し前に滅びました。そして、ここはあなたのお部屋です」

「私にとって一番の宝物のようなあなたですから、住まう部屋はここが相応しいと思って。お気に召しませんか?」

「確かに、宝物庫ですから邪魔な金銀財宝や水晶の類がごろごろしていて落ち着かないとは思いますけれど……ここに来る前に豪勢な飾りくらいに見えるようには私が片付けたのですけど……やっぱり、落ち着きませんか?」

 あくまでも優し気に聞く感じで

「……はい? あそこの骨は何か、ですか? あぁ、あれは……先代たちの宝物の慣れの果てですね。人魚は気に入った男性を海中に引きずり込んで飼い殺す……そんな習慣が昔にはありましたから」

「……?どうされましたか?怯えた顔をして? 昔の話ですよ、今はありません。あれらだって先代の人魚たちに申し訳ないから処分していないだけで、特に意味があるわけではありませんから」

「ただの骨です」

「死体は別の場所にありますから」

 相手がゆっくり理解するくらいの時間を与えて
 さも普通の口調で

「私が大好きな殿方を伴侶としてお迎えしたいといったら、皆反対なさるんですもの。その習慣は廃れて久しい、もうやってはいけないことですぞ、な~んて言って、ふぅ」

 呆れて息を吐く感じで

「伴侶として迎えるためだって言ってるのに……分からずやなんだから」

「私の手で殺しちゃった。み~んな私の結婚に反対するんですもの、当たり前よね?」

「だから、死体が見たければこの部屋の外には沢山ありますよ? 何なら、一緒に人魚たちの死体観察に行く?」

「私としては面白いものは何もないけど、人間のあなたから見たら楽しいことがあるかもしれないものね?」

「その後は……そうそう! あなたに聞いてからずっとやりたいと思っていたことがあったの!」

「結婚式をしましょう! 私とあなた、二人だけの結婚式! あなたはタキシード、そして私はウェディングドレスを着て、永遠の愛を口づけと共に誓い合うの!」

 感極まったように

「あぁ……なんて素敵な光景なんでしょう♪ 手伝ってくれそうな者や、参列してくれるものをすべて私の手で殺してしまったから苦労をかけるかもしれないけれど……一緒にゆっくり結婚式の準備をしていきましょ?」

「ダーリン♡」

 思いっきり甘えるように口にして
 暴れる相手を見るように

「あぁ、駄目よ。出ていこうったって。ここ、水深何メートルだと思っているの? 人魚の守りがなければ、ここを出た瞬間、水圧でペチャンコよ?」

「だから、ね? 仲良くやっていきましょ?」

「居なくなった人魚たち、私たちで頑張って産み直さなきゃ♡」

 耳元で甘えるように

「頑張ってね? パ・パ♡」
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
深海に誘われて…… ヤンデレ人魚姫の理想郷
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
泣きんぎょ
ライター情報
 ASMR、シチュボ台本を主に書いています。
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