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勇者の運命から逃れるためにまた魔王に頼んで耳かきしてもらった。
written by ヒナタ
  • 耳かき
  • ファンタジー
  • 年上
  • 人外 / モンスター
  • ツンデレ
  • 続編
公開日2024年07月12日 23:35 更新日2024年07月12日 23:35
文字数
2454文字(約 8分11秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
魔王(女)
視聴者役柄
勇者
場所
魔王城 魔王の部屋
あらすじ
とある異世界では、すっかり魔王に懐いた勇者と、なんだかんだでそんな勇者を受け入れた魔王との、歪な生活が繰り広げられていた。
勇者に刻まれた、魔族と対峙する運命を決定付ける術式。魔王は古文書からその解除方法を見つける。
体内に術式を刻む必要があると分かった勇者は、「耳かきで刻んで欲しい」と魔王に頼んできて……?

※この台本は「勇者だけど魔王に頼んで耳かきしてもらった。」の続編となります。
本編
(布が擦れる音)

んぅ……もう朝かぁ……?ふわぁぁぁ……。むぅ、どうも朝は弱いなぁ……。

……あぁ、勇者ぁ。起きてたのか。丁度いい、そこのカップにミルクを入れてくれ……。

(カップにミルクを注ぐ音)

ありがとう……。んっ、んっ、んっ……ぷはぁっ!!あぁ、やはり朝はこれに限る。どうも我はこれがないと満足に起きられんらしい。

……全く、慣れというのは恐ろしいものだな…。ああいや、ミルクの事もあるが。どちらかと言えば貴様の方だ、勇者よ。

まさか、貴様を倒す為に今まで費やしていた時間を、貴様を救う為に使うようになろうとは……昔の我に言っても信じないだろうな。

……む?ああ、そういえば貴様に詳細は伝えていなかったか。

いいか?この世界には一つの理がある。「女神によって選ばれた存在である勇者と、世界を混沌に陥れる存在である魔王。その二つの存在はいずれ対峙し、どちらかが滅びる運命にある」……。そんな馬鹿げた話さ。

ククッ、冗談だと思うか?我もそう思って調べてみたのだ。そうしたら……ハハハッ、どうやら女神とやらは本当に我らの頃が嫌いらしい。

教えてやろう。女神によって勇者に選ばれた貴様には、勇者としての力と共に、ある術式を奴に刻まれているのだ……。「魔の者を滅し、人類を救う事が至上の快楽へと変換される」効果の付与された術式がな。全く、凶悪な術を考えたものだ…。これではどちらが魔王か分からないではないか。

しかも厄介なのが、快楽と結びついている点だ。強い快楽は人を依存させる。どれだけ貴様が我慢しようと思っても、いずれ抗えなくなり我を殺そうとする……はず、なんだがな…。

どういうわけか、もうひと月も魔族を殺していないはずなのに、貴様に何か異変が起こっているような様子が感じられんのだが……何か、心あたりはないだろうか?

「そんな事よりも魔王様の耳かきの方がずっと心地良い」……っ!?

な、何を言い出すのだこのたわけがっ!?わ、我は今真面目な話をだな……!

し、真剣に我の耳かきが好き……?何なら我の事が好き、だとっ……!?

こ、このっ……!な、何故貴様はそう……っ!!ああくそっ、我がこういう事が苦手なのは貴様も知る所だろうにっ……。

「可愛い」っ、だってぇ……っ!?も、も、も……

(扉を勢いよく開ける音)

もう、やめてくれえぇぇぇっ!?


(扉をゆっくりと閉める音)

す、すまない……。つい、取り乱してしまった……。

で、でだ…。話を戻すと、まあ、良いのか悪いのか分からんが…。貴様に奴の術式が満足に機能していない今こそ好機…!と、いう訳で……

(机の上に本を置く音)

ふふん、さっきの時間で魔王城の大図書館に赴き、古文書を持ってきたのだ。

(ページをペラペラと捲る音)

それで、これの……ここっ、372頁の11行目を見てくれ。

そう。「神ノ力ニ付随セシ術式ノ解除」と書かれたこの部分に、その術式がつらつらと……まあ、ざっと10頁分程書き綴られているな…しかもそれと似た術式がもう一個……。

…どうやら、この2つの術式を体内に刻み、そしてそれぞれに魔力を送ってやれば…術式が起動し、女神の刻んだ術式の効果が無効化される……らしい。

……いや、我も分かってはいるのだ。こんなもの、どう考えても怪しすぎる……。がしかし、これぐらいしか手立てがないというのもまた事実なのだ。

……それで、勇者よ。貴様はどうしたい?この術式を、使うか、否か。…まあ急に言われても困るだろうし、ゆっくり考えて――

――おぉう、早いな…「使う」、と……。全く、前も思ったが、貴様には恐怖心がないのか…?

ん?ああ。この術式は体内に刻むもの、だな……。つ、つまり……?

「耳かきで刻んでもらう事ができる」………っ!?!?

き、貴様っ!?何一つ欲求が抑えられておらんではないか!?何が「女神の術式は効いていません」だっ!!

「これは元から」だとぉっ……!?ぐ、ぐぬぬっ……こ、この、たわけがっ……!!

……ああもう、こうなればヤケだっ!!今すぐ我のベットに寝ろっ!!耳かきで術式を刻んでやるっ!!

「膝枕がいいです」っ!?

(ベットに乱暴に飛び乗る音)

ほらっ!!さあ来いっ!!

(髪の毛と布が擦れる音)

よし!!もう良いな!?始めるぞっ!!!

(術式を刻む……という名の耳かき開始)



………ああ、落ち着いた…。はぁ、我は何をやっているんだろうな……。

そもそも、360°全ての箇所に術式を刻むなんて並外れた事、そうそうしないというのに…。それを、刻める範囲の狭い耳の穴にするなんて……。

くっ、そろそろ手前側のスペースがなくなってきた…。勇者、ここからは奥を中心にやる事となるが……。「問題ない」、か。貴様らしいな、全く。

では、いくぞ。



……ここを、刻めば……よし!一つ目の術式を刻み終わったぞ。では、術式を起動しなければだな。

(耳ふー)

ああ、貴様もよく知る魔力を纏った息だ。これで片方は終わった訳だが……違和感等はないか?

(髪の毛と布が擦れる音)

……ククッ、態度だけで、もう片方もやれと催促してくるとは…。全く、このたわけが。

(反対側の耳かき開始)



……そ、そう言えば……その、あの…わ、我の事が、好きだというのは……。

い、いや、本心からきた言葉だというのは我でも分かるのだが……その、好きというのは……どういう意味で――

――や、やはり恋愛的な意味、なのか……!そ、そうかそうか……。ふふふ……。

わ、我が嬉しそうだとっ!?そ、そんな事は……ない、とは、言えないが……。

全く、貴様のせいで我までおかしくなってしまったではないか……。これは、責任をとってもらわないと……か?

……クハハッ!!ようやく貴様の方が照れたなっ!!散々我を揶揄った罰だ、甘んじて受け入れよ!

そ、それにだ。も、もしかしたら、本心からの言葉かも……知れないぞ?



……んっ、これで、完成だ……!よし、後は息を吹きかけてやれば……っ!

(耳ふー)

お、おおっ!?式が、光り輝いて……っ!?


お、収まった……?っ、勇者!大丈夫かっ!?何か体に異変はっ――

――ね、寝ている……。め、女神の術式は……っ!?

き、消えているっ!!勇者に感じられたあの異物感が、綺麗さっぱり無くなっている……!成功、したんだな……!


……にしても、既視感のある光景だな……まあ、あの時とは違う点が、今は一つあるのだがな。

……ククッ、勇者、寝ているお前に一つ教えておいてやろう……魔王というのは、目の前にいる無防備な獲物を見逃す程、甘くはないんだ。

もう、我慢なんてしないぞ……!だから……キチンと責任は、取ってもらうぞ?勇者……いや、たわけが。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
勇者の運命から逃れるためにまた魔王に頼んで耳かきしてもらった。
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
ヒナタ
ライター情報
耳かき好きなただの一般人。台本はpixivにも並行して投稿中。
投稿した台本のミスはご愛嬌、ということでお願いします。
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