姉は弟を想っていた。

弟もまた姉を想っていた。

それは、純粋な姉弟愛の話。

わあぁぁ〜
弟くんだぁぁ〜
おっかえりぃ〜！
わたしの部屋にようこそぉ〜！！

な、なにぉぉ〜！？
お姉ちゃん、お酒臭くなんかないよぉ〜だ！！
ぜんっぜん酔ってないんだからぁ！

(ｸﾞｲｯ)
んあ゛ぁぁああ〜〜〜！
やっぱ日本酒サイコー！
飲みやすくっておいしいんだぁ〜

んぁれ？
そういえば！
弟くん、もう二十歳じゃない！？
飲めるじゃぁ〜ん
飲もう飲もう！
お姉ちゃんと飲もうよぉ〜ねぇねぇ〜お〜と〜う〜と〜く〜ん

んえぇ！！？
飲めないの！？

そんなことないでしょぉ？
お父さん、ザルなんだからさぁ〜
絶っっ対！飲めるよぉ〜！
ウソついたなぁ〜！

そんな弟くんには〜
グリグリの刑〜！
(ｸﾞﾘｸﾞﾘ)

おわっ！
そんな怒んないでよぉ〜！
痛かったなら謝るからさぁ〜
ごめんね！
お詫びに、一緒に飲んであげるから！
ささっどうぞどうぞ〜
(ﾄｸﾄｸﾄｸ...)
弟くんのおちょこ、あってよかったぁ〜

はぁいかんぱ〜い！！
(ｸﾞｲｯ)
んあ゛ぁぁあああ〜〜
うめぇ〜
いっくらでもいけちゃうね、こりゃあ

ほら弟くんも！
飲んだ飲んだ！
それグイッと！

お！いい飲みっぷりぃ！！
どうどう？
大吟醸だよぉ〜！
超うまいっしょ〜？

。。あれ。
弟くん、そんなに顔、白かったっけ？

わぁ！？
ちょっ！
弟くん！？
弟くん！！
(ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ)


トイレ行っちゃった。。


どうしよう。
まさか本当に飲めないなんて。。
わたしのせい、だよね。。


酔い、さめちゃったなぁ。。


反省しなきゃ。
家族とはいえ、こんなんじゃアルハラみたいなもんだよね。
ﾊｧ
せっかく一緒に飲めるって思ったのに。。
こんなことなら、度数の低いお酒、飲んでもらえばよかった。。

うかれすぎちゃったかなぁ。。


あ。弟くん。おかえり。
ごめんね。
飲めないって言ってたのに。
いきなり度数の高いお酒飲ませちゃって。

え？
日本酒、おいしかった？
ほ、本当に！？

よかったぁ。
わたしのことは嫌いになっても、日本酒のことは嫌いにならないで欲しかったから。。

次もし飲むときは、少しずつちょびちょびっと飲もうね。
今はもうアルコールの香りがダメだと思うし。
わたしに近づかない方がいいよ。

え。ちょっ！
お、弟くん！？
わ、わわ！わたしに寄りかかって。。！？
どうしたの！？

眠い、って。。
お酒、全然抜けてないじゃない！
わたし、お酒臭いから離れた方がいいよ！

ほら！寝るならそっちで寝て。

いやだ、って。。
かわいい。。
あ違う、嫌だじゃないの！
わたしに寄りかかってると、気分悪くなるよ。

ちょっと！いやだ、って――
あ、ちょっ！抱きつかないでよ！
酔っ払いすぎだから！
ほんと一旦落ち着いて。
ね？
お姉ちゃんがトントンしてあげるから。
そっちのお布団で寝よ？

もう。。
今日はどうしてそんなに甘えんぼさんなの〜？
わかった。わかったから。
わたしも添い寝してあげるから！
ちゃんとしたところで寝ようね？

うん。って。。
ほんとかわいいんだから。。

ほら。こっち。
あぁもう。
フラフラじゃない。。

ほら。ここにごろ〜んってして？

はいはい。わたしも入るから。
そっち詰めて。


おやすみ。弟くん。
トン、トン...
トン、トン...
いいこ、いいこ...
とーんとん、とーんとん...

あらら。
もう寝ちゃった。。

ふふっ
かわいい寝顔。。
こんなに無防備。。

お姉ちゃんが守ってあげたいな。。


...弟くん、甘えてくれて。嬉しかったな。
まぁお酒ありきなんだけど。
でも、あんなに甘えてくれたのなんて、
小学の時以来かも。。

わたし、君のお姉ちゃんできてるかな。
いつも、適当なお姉ちゃんで、ごめんね。
お姉ちゃん、弟くんがいないと、なんにもできないや。
ごめんね。

弟くんが、自分がしっかりしなきゃ、って頑張ってる姿、みてたよ。
ごめんね。。

弟くん、お酒あんまり飲めないのに、わたしのために頑張って飲んでくれて、ありがとう。
ごめんね。。。

こんなお姉ちゃんで。
ごめんね。弟くん。。

わたし、弟くんのこと、守ってあげる資格なんて、ないよね。いつも助けてもらってばっかりだもんね。。


ごめんね。


！
地震！？
すごい揺れ！

あ！
弟くん！危ない！

(ﾊﾞﾀﾝｯ)


。。。あ。
起きた？
弟くん。。

おはよう。
よく寝れたかな。
弟くんに怪我がなくてよかった。。


いっつつ。。。
背中をちょっと打っちゃって。
あんまり動けないの。
ごめんね。
弟くん、わたしの背中に乗ってる棚。どけるの手伝ってくれる？
さすがに重くって。
ほとんど身動きが取れないの。

ありがとう。

せーの。

ぐぅぅ〜〜！！
あいててててててて...


。。ふぅ。
本当にありがとう。弟くん。

また、助けられちゃった。
また、守ってもらっちゃった。
わたし、お姉ちゃん失格だね。。
ごめんね。弟くん。


え。
棚から、守ってくれた？
それは、弟くんが危ないって思って。
それだけで。。

あ。
ありがとう、なんて。
言わないでよ。
いつも助けてくれるお礼をしただけだよ。。

え、、！
いつも、見ていてくれて、ありがとう。って。
ち、違うの！
わたしは！
わたしなんか！
弟くんが頑張ってても、ただみてただけ！
わたしなんか。
お姉ちゃんらしいことなんて一つもできてない。

弟くんに頼りっきりで。
弟くんに迷惑かけてばっかりで。
弟くんに嫌われても仕方ないくらいで。

弟くんがいなかったら、わたし！
わたしは！なんにもできないよ！

え。。
それは、僕も、同じ。って。。
どういう――

わ、わたしがいなかったら、なんにも、できない？

そんなこと。無いでしょ？
わたしがいなくたって弟くんは――

え。。
わたしがみてたことが、弟くんの頑張る力になったの。。？
どうして。。

お姉ちゃんに、認めてもらいたい。。？
いい弟でいたい。。？

(涙)
もう！
弟くん！
(ぎゅっ)
弟くんはいい子すぎるよ！！
弟くんはいい弟だよ！！
お姉ちゃんの自慢の弟！
お姉ちゃんの大好きな弟だよ。

ごめんね。
こんなお姉ちゃんで。
ありがとう。
こんなお姉ちゃんを認めてくれて。

ありがとう。。！
ぎゅっ
大好きよ。。！

・台本（ゆるボイ！）
姉弟の想い
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
kaman_zora