高校生になって2年目の春。
ついに僕に彼女ができた。
1年の頃からずっと気になっていて、話していくうちにどんどん好きになっていって、僕から告白したんだ。

夢のような時間。

楽しい毎日が始まったはずだった。

今日、この瞬間を迎えるまでは。。

(ｶﾞﾁｬ)

あ、後輩くん！
やっと来てくれた！
突然呼び出したりしてごめんね？

あのね。後輩くん。
今日呼び出したのはね。
その。
ほら。
いつも私達のためによく働いてくれてるから。
恩返ししてあげたいなって思って。

それでね。
私にも出来ることを考えてみたんだけど。

耳かき、とか。
どうかな？

後輩くん、耳かきボイスが好きって、前に言ってたから。
だから、耳かきで癒してあげられないかなって。
そう思ったの。


その。。

どう、かな。。？

ほんと！？
「嬉しい」？

よかったぁ。。！

じゃあ早速やってあげるね！

はい！
ここ。

ん？
何って膝枕だよ？
耳かきといったら、やっぱり膝枕だもんね。

ほら
早く来て？


(ごろん)
はい。いらっしゃい。後輩くん。

それじゃあ、やっていくね。

(耳かき)

後輩くん、結構、耳綺麗だね。
ちゃんと掃除できてえらいね。
でも、やりがいがない、かも。なんて。
あはは...

まあいいや。
適当にカキカキしちゃうね。



。。ねぇ。後輩くん。

噂で聞いたんだけど、
彼女ができたって、本当？

やっぱり本当だったんだね。
さすが後輩くんだね！

ねぇねぇ
彼女さんから好きって言われたの？

え〜教えてよ〜
気になるじゃん。


へぇ。
後輩くんから告白したんだ。
男前だね〜

それでそれで？
返事はどんな風だったの？

ふーん。
私もずっと前から好きでした。ね。
良かったじゃん。

それで？
ずっとって言ってるけど、その子とは いつ知り合ったの？

え？
高校に入ってから？
1年ちょっとしか経ってないじゃない！
ずっとって言うにはちょっと短い気がするね。
うふふっ


あ。そうそう。
後輩くんに聞いて欲しいことがあったんだった。

私ね、後輩くんのことが大好き。
愛してる。

ふふふっ
違うよ〜
本気だよ？

だからね。後輩くんを。。

『その女から奪うことにしたの。』

はい。捕まえた♡
うふふっ

ねぇ。後輩くん。
今、勝手に動いたら、どうなると思う？

このまま、
鼓膜を貫いちゃう、かも。
うふふふふっ

もう逃げられないね、後輩くん。


だーめ。

私が満足するまで、絶対に逃がしてあげない。
私のこと、愛してくれるまで、逃がさない。
その女を捨てて、私のことだけを求めるまで、絶対に。
絶対に逃がさない。


。。え？
「なんで」？

そんなの決まってるじゃない。
私が、後輩くんのことを誰よりもずっと愛してるからだよ。

あんな女なんかより、ずっと。
ずっとずっと！
後輩くんを愛してる！

だから！
私たち二人のために！
大した愛情も抱いてないあの女から、後輩くんを救うために こうしてるの！

ふふふっ
こうして、ゆっくり、二人の愛を育むの。
とっても素敵だと思わない？
ねぇ！
そう思うよねぇ！？
あっはははっ
嬉しいなぁ
後輩くんが私のものになるなんて
本当に幸せ。。


。。え？
私とは付き合えない？

何言ってるの、後輩くん。
後輩くんに選択肢はないんだよ？

私を愛するしかないの。
そんなことも分からないの？

(耳かき止)
へぇ。。
あの女がそんなにいいんだ。

なら、私もちょっと おはなし してみたいなぁ。

あ、そうだ。
この、後輩くんのスマホから、電話、してみるね。

ねぇ。動くなって言ってるよね？
耳、聞こえなくしちゃうよ？

あぁ。
私が本気じゃないなんて思ってるのかな？
それじゃあ、一回貫いちゃおっか。

ふふふっ
大丈夫。
たとえ片耳が聞こえなくなっても、私があなたの耳の代わりになってあげるから。

じゃあ、いくよ？

。。え？
どうして謝るの？
勝手に動いたのは後輩くんの意思でしょう？
悪いって思うならやらなきゃ良いだけでしょう？

でも、後輩くんは勝手に動いた。
つまり、片耳が聞こえなくなってもいいって思ったってことだよね？

ならなんでそんなに必死になって謝ってるの？
分からないよ。後輩くん。


ふーん。
魔が差したの？
もう。後輩くんってば悪い子ね。
めっ！だよ？
うふふっ
次は無いからね。

よし。それじゃあ、電話してみようかな。

ん？
なぁに？後輩くん。

「やめて」？
どうして？
後輩くんがそんなに好きだっていう女の子だもん。
どんな女の子か、直接確かめたいの。
どんな声で、性格で、後輩くんのどこが好きか、詳しく聞きたいなぁ。
あと、私の後輩くんに手を出した理由もちゃんと聞かなきゃ。
あとあと、私の後輩くんのために別れるように言わなきゃだし。
あと――

え？
「その子は巻き込まないで」？

そんな、巻き込むなんて言い方しなくてもいいじゃん。
おはなし するだけなんだから。
後輩くんが気に病むことじゃないよ。
安心して？
すぐに終わらせるからね。


え！？
今、なんて言ったの！？
後輩くん！今。
「先輩のこと愛してる」って。
そう言ったの！？

嬉しい。。
嬉しいよ後輩くん！
お礼に耳かきの続き、してあげるね！
動くと危ないから、じっとしててね！

(耳かき)

うふふふっ
嬉しいなぁ。

あ、ねぇねぇ
新婚旅行はどこにする？
やっぱり沖縄かなぁ
あ、ハワイもいいかも！
後輩くんはどう思う？

ねぇ答えてよ〜

早く〜


『答えないの？』


あ〜北海道かぁ〜
そこもいいよねぇ
ふふふっ
夢が広がるね、後輩くん！

ん？なぁに？

『またその女の話？』

違うの？
じゃあ何の話？

え〜
耳かきはもういいの？
ダメだよ〜
ちゃんとお礼させて？
まだ逆の耳も残ってるんだから。

よし。
綺麗になった〜
初めから綺麗だったけどね。

仕上げに。。

ふーー

これでよしっと。

はぁい
逆向いて〜？
はいごろ〜ん


それじゃあ、いくね？

(耳かき)

ふふふっ
こうしていると、まるで夫婦みたい。

あなた。

なんて。
ふふふっ
恥ずかしいね。

でも、いつまでも 後輩くん じゃ味気ないし。。
頑張って あなた って呼んでみるね！


ん？
なぁに？あなた。ふふっ

え？
スマホ、返して欲しい？
どうして？
私たち愛し合ってるんだから。
二人でひとつなんだから。
情報はちゃんと共有しなきゃ。

あなた。ダメだよ？
ロック画面のパスワードは頻繁に変えなきゃ。
(耳かき止)
こうやって、解除できちゃうんだからね。

後で設定し直そうね。
私とあなただけが知るパスワードをね。

あ、そうだ。
私以外の女の子の連絡先、必要ないから消しておくね。

あ、ちょっと！
動くと危ないって言ったでしょう？
今は耳かき中断してたから良かったけど。

もう。やんちゃさんなんだから。
気をつけてね。


え？
連絡先？
消したよ？

なんでって、
だって必要ないもん。
消して当然だよね？

なんでそんなに怒ってるの？
あなたには私がいるよね？
私さえいれば、ほかに女なんて要らないよね。
なのに、どうして。。


。。まさか。

まさか、あなた。

ウソをついたの。。？

私のことを愛してるって言ったよね！！？
あの女を捨てて私のことだけを求めるようになったはずだよねぇ！！？

ねぇ！！

答えてよ！！

ウソをついたの！！？


そう。。。ついてないのね。

ねぇ。
あなた。
私のこと、本当に愛してるんだよね。

だったら。
目を見てよ！！
このウソつき！！！

(片耳奥に強い衝撃。と同時に無音)
(溢れる血)


。。許さない。

絶対に、許さない。

まず、あなたのお友達から消していく。

次に、あなたの家族を消す。

そして最後に、あなたの大好きなカノジョを潰す。

あなたは何も出来ないよ。私が拘束するから。

あなたは、ただ見てるだけ。

あなたの周りに、私しかいなくなるまで。

あなたが私しか頼れなくなるまで。
私に依存するようになるまで。

消し続けるね。


あなたが悪いんだよ？

今、片耳が聞こえなくなったことも、今後、周りの人が消されていくことも。
全部、あなたが私を愛してくれないのが悪いの。

謝っても無駄だよ？
たとえ泣き叫んでも、発狂しても。
絶対にやめない。

あなたはウソをつく人。

だから、こうしなきゃダメなの。
確実に私に依存させなきゃダメなの。
私たちの幸せのためなの。
わかってね。


ふふふっ
だーめ。

殺されて、自分だけラクになろうなんて、そんなの許さない。
心から私を愛してくれるまで。
あなたの目の前で、あなた以外を消していくよ。
あなたの大好きなカノジョを最後にしたのは、罰。
ウソをついて、私の想いを蔑（ないがし）ろにしたあなたへの罰。

カノジョが、あなたにとって、一番の支えだよね？
その希望が消えたとき、確実に絶望に叩き落とされるの。
そして、晴れてあなたは私だけのものになる。
ずっと二人で愛し合っていけるの。
なんて幸せなの。。

本当に楽しみね。
あなた。

ずっとずっと。
愛してるよ。
ﾁｭｯ

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレ先輩の耳かき拘束
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
kaman_zora