今日で、僕もいよいよ二十歳。
大人の仲間入りだ。
まだ実感も何もないけれど。

僕には義理の姉がいる。
よく僕をからかってくるが、とてもいい姉だと思っている。

好きか嫌いかで言えば、好きだ。

正直、いまだに、家族というよりも、一人の女性として、意識してしまう。
向こうはそうではなさそうだけど。。

僕の、姉に対するこの「好き」は、本当に家族愛によるものなのだろうか。。

誕生日おめでと！

あんたももうハタチかぁ〜
めでたいね〜

こうしてみると、、
なんか随分とデカくなったねぇ

身長とか。

あそことか。

うわっ
ちょっと
そんなにキレないでよ〜
別にどことは言ってないでしょ〜？

あ！
ねぇねぇ
あんたもさ〜、これで、オトナになったわけじゃん？

もう立派なオ・ト・ナ

だから、ね。

わかるよね。

オトナになって、いっちばん楽しいコト、しない？
ふふっ

ちょっとだけ、待っててね。。








はい、カンパーイ！
(ｺﾞｸｺﾞｸ)
ぷはぁ〜！
やっぱハタチになったらお酒っしょ〜

せっかくのハタチだから〜
お姉ちゃん奮発しちゃったぁ〜
ほれ！純米大吟醸だ！
へへっ

ほらほら！
ハタチ一発目！
グイッといけぇ〜

おぉ〜
いい飲みっぷり！
あんたもわたしと同じくイケるクチか〜？

どうだ！
うまい酒の味は！

ふふっ
そうだろ〜そうだろ〜
おいしいだろ〜
お姉ちゃんに感謝するんだぞぉ〜？

。。あ、うん。
そんな素直に、ありがとう、なんて言われると、ちょっと照れるね...あはは〜

さ、さぁ！次の酒だぞぉ〜
今度はお姉ちゃんと乾杯しよう！

カンパーイ！
(ｺﾞｸｺﾞｸ)

くぅぅ〜！
うまい！
たまらん！

あんたも――
あ、あれ？
なんか、あんた、顔、赤くない！？

もう酔っちゃったんだ。。
そっか。
あんた、意外と弱いんだ...

ちょっと待ってて。
水持ってくるから。

あ、ちょっ、ちょっと！
抱きついてこないでよ。

あんた、酔っぱらいすぎだって。
早く離れて。

へ！？
あ、ちょっと！
顔、近いって。。

は！？
す、好きとか！何言ってんの！
酔いすぎだってば！
水持ってくるから！
大人しく――

ひゃ！？
息、耳にかけないで。
そこ、弱いの。

だ、ダメだって。
好きって。
やめて。
囁かないで。

んんっ
もう。やめて、ってば。
そんな。いじわる、しないで。

早く。
離してよ。
わたし。
もう。
限界だって。。

だ、だから！
耳元で好きとか、言わないで。
は、恥ずかしいって。


もうやめてってば！
(ﾄﾞﾝｯ)

はぁはぁ
もう。あんた、酔いすぎ！
そこで反省してなさい！



はい。
お水。
ちゃんと飲むんだよ？

あんた。
妙に素直ね。。

さっきまでの、変なキャラは、なんだったのよ。
わたしをからかって。。
ドキドキしちゃったじゃない。。

は、はぁ？
さっきのキャラと今の自分どっちが好き、って。。

あんた、やっぱ悪酔いしてるな〜？

え？
答え？
そりゃ〜
義理とはいえ弟だし。

どっちも。別に？
好きじゃないし。

好きになるわけないじゃん。


な、なによ。
こっち見つめて。
何か言いたいことでもあるの。

か、家族のこと、好きになるわけ、ないじゃない。
そんなの当たり前でしょ？


あのねぇ。
たしかにわたしたちは義理の姉弟だけど！
家族は家族よ！
好きになんて な り ま せ ん 〜！


いや
別に嫌いなんて言ってないでしょ？

なっ！？
じゃあ好きじゃん、って、そういうことじゃないでしょう！？
なんであんたの基準は、好きか嫌いかしかないのよ！
家族なんだから、そういうのじゃないでしょ？


あ。
さ、さっきのは！
わたしも、酔ってた、だけだし。
顔だけ、すぐに赤くなるの！

あ〜もう！しつこい！
それだけだっての！

あんたこそ、酔っぱらって顔が赤くなってたじゃない！


。。え？
全然酔ってなんかいない、って。
それじゃあ、さっきのは――

きゃっ！
ちょ、ちょっと！
あんた！
急に覆いかぶさってこないでよ！
早くどきなさい。

す、好きとか言ってないで――

れ、連呼すんな！

やめてって。

そんな、真っ直ぐこっち見て、好きとか。。
言わないでよ。

この、酔っぱらい！
離れろ！

あ、え、ちょっと！
また。
顔、近いの。やめて。。

な、なんでって。。！
それは！
その。。


か！？
かわいいとか言うな！
姉をからかうのも、いい加減に――

(ﾁｭｯ)

へ？
い、今！
あんた！頬に！
き、キス、した。。？



やめてよ。

本気でもないくせに。

そんなこと、しないでよ。

あんた、やっぱり酔ってるよ。
普段なら、こんなこと絶対しない。

あんたは酔ってるだけ。
酔った勢いでふざけてるだけよ。

分かってる。


分かってるのに。


こんなので好きになっちゃ、だめなのに。。

あんたのこと、好きになっちゃう。。

さっきから、胸がドキドキして苦しいの。
あんたの顔、恥ずかしくて見れない。
あんたにキスされた頬が火照って、熱いの。

こんなの、はじめて。


でも。
この気持ちは、きっと、お酒のせい。
わたしの本心なんかじゃ、ない。
弟に欲情なんて、絶対におかしいから。
そんなの、あっちゃいけないから。

だから。
これは。
お酒のせい。

ﾁｭｯ

好き。

あんたのこと。
大好き。

あんたの唇、わたしにちょうだい。。？


ほんとにいいの？

ありがと


きて？


んむっ

ﾁｭｯ


気持ちいい。。

どうしよう。
気持ちいいよ。

唇どうしのキスが、こんなに気持ちいいなんて。
わたし、知らなかった。


あの。

その。

今の、
ファーストキス、だったの。
えへへ...

わたしのはじめて
あんたに捧げちゃった。。


。。え。

あんたも
今の、ファーストキスだったの。。？


あんた、本当に、わたしのことが、好きなんだ。。

嬉しい。。


わたし。
あんたと、幸せになりたい。


だめ、かな。。？


そっか
嬉しいんだ。

よかった。。
わたしたち、両想い、なんだよね。


いいのかな。

こんなに嬉しいの。

本当にいいのかな。
こんなに幸せで。

わたしばっかり幸せになってない。。？
ちゃんと、あんたも、幸せ？

そっか。
幸せなんだ。。
ふふふっ


あ。
えっと。。
お酒、飲もう？

あの。
ほら！
純米大吟醸。だし。
おいしいよ？

。。えっと。

ほら。飲もうよ。

あの。

さっきから、黙ってるけど。。

何か、言ってよ。


。。え。
お酒のせいに、したくない。。？

だ、だめよ。
これは、お酒のせい、なんだから。
こんなこと、お酒がなかったら、おかしいんだから。
あっちゃいけないんだから。

だから。。
飲まなきゃ。


嫌だ、って。
どうして。。

ほ、本気で好きだから。。？


で、でも―！

んむっ


あ
ちょっ

んっ



はぁ
はぁ

いきなり、キスなんて――

す、好きじゃないの？ って。
キスの後に聞くなんて。

そんなの、ずるいよ。。

わたしだって。
あんたのこと、大好き。

大好きに決まってるじゃない。


違う。
お酒のせいなんかじゃない。
アルコールなんて、もうとっくに抜けちゃってる。

好き。

心の底から、愛してるよ。
ﾁｭｯ


ねぇ。
今日、
久々に、一緒に寝ない。。？


うん。
後で、ね。

わたし、部屋で待ってるから。
もっといいコト、しようね。
わたしのはじめて、あげるから。

待ってるね。

・台本（ゆるボイ！）
はじめてはお義姉ちゃんと
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
kaman_zora