ついに、アンドロイドを購入した。

家族からオススメされたのが一番の決め手だった。というか、勝手に買われてた。

一人暮らしくらいできるっての。
心配性なんだから。。

まあ。せっかく来たんだし、使ってみるか。
起動させよう。

(起動)

「家庭用アンドロイド HO‐0625、起動しました。」
「マスターを認証します。」
「私の前の認証エリアに立ってください。」

「私の前の認証エリアに立ってください。」

「認証中です。動かないでください。」

(ﾋﾟﾛﾘﾝｯ)

「認証完了。」
「マスター、これからよろしくお願いいたします。」

「続いて、マスターのお声の認証です。」

「内容はなんでも構いません。お声を10秒ほどお聞かせください。」

「もし、話す内容にお困りでしたら、私の説明書を音読していただくのでも大丈夫です。」


(ﾋﾟﾛﾘﾝｯ)

「認証完了。」
「これで、マスターの認証が全て完了いたしました。」
「以降は、マスターのご命令通り、働かせていただきます。」
「よろしくお願いいたします。」



「はい。私の名前の設定ですね。」

「どのような名前にいたしますか？」


「ノーラ」

「『ノーラ』でよろしいですか？」

(ﾋﾟﾛﾘﾝｯ)

「認証完了。」
「私は、家庭用アンドロイド HO-0625、ノーラです。」


「はい。食器の洗浄ですね。かしこまりました。」

(皿洗い)

「マスター、今日はもう夜も深いです。」
「お風呂に入り、もうお休みになられてはいかがでしょうか？」

「そのまま、お休みになられるのですね。」
「かしこまりました。」

「また明日も、よろしくお願いいたします。」
「おやすみなさいませ。マスター」



(翌朝)

おはようございみゃす。マスター。

起きてください。もう10時くらいですよぉ？


あ。起きましたね。

おはようございみゃす。
元気ですね。マスター。


はい。ノーラですよ？

え？不調？

あ。え〜っと、
恐らく〜
ここのネジがどこかに行ってしみゃったのが原因かと。
頭のネジ、1本抜け落ちちゃいまして。
探しても見つからにゃいのです。
ほらここ。

でもご安心を！
必ずや見つけ出して、マスターにご奉仕しますので。

もちろん！
この程度では壊れたりなんてしみゃせんよ？
アンドロイドガールをなめないでください。
マスター。

う〜ん。。
マスター。って呼びづらい。
ますっちにしましょ。

ますっち、ノーラになにして欲しいです？

えっと、ますっちは、いやです？


大丈夫ね。
良かった。


あ。
朝ごはんですか。
今からお米を炊くと、だいたい昼になっちゃいみゃすが、そんでもええです？

わかったです。
すぐに炊きみゃすね。

えっと。。
あれ？
お米、どこです？

あ。
ここね。
ありがとう、ますっち。


何合炊くです？
あ。ノーラはいらにゃいですよ？

1合でござりみゃすね。

よっと。
だいたい1合。

えっと。。
水入れて？

セットして。

炊飯ボタンをポチ〜


え？
洗った？って。
何をです？

ぷぷっ
ますっち、お米洗っちゃう系です？
洗っちゃう系ますっちです？

そんなのお水の無駄でござろう！(ドンッ！)

え？
洗った方が美味しく炊ける？

そんなの知りみゃせんよ。
日本のお米はうめぇので、どう炊いてもうめぇのです。

ニッポンのお米をなめるんじゃないです。
お米を信じろ。
さらば与えられん。。


さてさて。
そんなこと置いといて〜？
冷蔵庫オープン。

わぉ。
なんもにゃい。
卵1個、お豆腐1個、大根さん、お味噌と、冷凍ネギ。。

結構ありみゃしたね。

これは、、お味噌スープと、温泉卵かけご飯。。
という。ことになりみゃすか？

え？
卵がちょっと古い？

ほうほう。
なら、スクランブル交差点を作るのがベスト！

あぇ？
あ。
スクランブルeggでございみゃしたね。失敬失敬。

ぃよし！
準備は万全。
いざ。。！


。。えっと？
何からすればいいです？

あ、なるほど。
ますっちは賢いでござりみゃすね。

お味噌スープとeggなんちゃらを一緒に作るとは。
なんてマルチタンク！

すごいです。

よし。ここはますっちにおまかせするですね。
ノーラは向こうでゴロゴロしてみゃす。

ほぇ？
やってくれ？

無理でござりみゃすよぉ。
ますっちみたくマルチマスクでは無きにしもなんですから。

は、はぁ。
一緒に作るですか？

いいですが。。

ノーラでいいので？


はぁ。
それでは。
お味噌スープをつくりみゃすね。

大根と、おトーフのお味噌スープ。with ネギ。
でぇこんをこう。ちぎっては投げ〜ちぎっては投げ〜
水だびゃ〜
着火！ファイア〜ダイヤキュ〜ト

したら、お味噌を溶かしましょ〜
して、おトーフさんをポイッ。
冷凍ネギさんは最後にしみゃすね〜

はぇ？
適当すぎる？
ならますっちがやるですよ。

そんなこと言って〜
ますっちはちゃんとeggなんとかを作れてるんで？

わぉ。
すっごいかちかちです。
これは、炒り卵というヤツ。な気が。。

あ。
卵、古いんでした。
沢山火を通すのがベスト！
というわけですね？

さすがますっち。
さすますです。

あ。miso soupにお出汁入れてみゃせんです。
えい。ドバっと入れちゃいみゃす。
うま味は強いほど美味しい。らしい。
と、ノーラの辞書にはあるです。

ご乱心を。
ノーラ、失敗しないので。

え？
ご安心を？
おぅふ。そうでした。
ニホンゴムツカシネ。

う〜ん。
火加減、わかりみゃせん。
え〜、ノーラの辞書には。。
火は強い方がカッコイイ！というのがあるです。

よし。
これがノーラの全力全壊！！スターライトッ！ブレイカァァァーーッ！！

ふぅ。決まった。。

ん？
ますっち？
なんです？
そんな目でノーラを見て。

え？
世代？
知らにゃいです。
ノーラの辞書にあっただけ。

おぉ。
激しくフツフツと。
カッコイイ。です？

あ。
なんで弱めるの。ますっち。

ゆっくり火を通せ？
焦がすぞ？

ますっち。
さては。。
お母さん？

なら、
ママ？

オカン？

ババァ？

お嬢様？

どれが正解なんでい。

どれも不正解。。
ますっちはますっち。ということ。。？
なるほどです。



あの〜
もういいです？

火、通ってみゃす？
多分通ってみゃすよね？

もうネギ入れて良いです？


あ。これでは指示待ちアンドロイドです。
いかんいかん。
ノーラは自律型なのです。
ときには自分の判断で動かなければならんのです。

よしもう完成！
めんどくさいです。

あ。でも。
お米炊けてないですね。
う〜ん。

もう少し、火にかけておきみゃすか。。


ねぇ。
ますっち？

ますっちは、なんでノーラを買ったです？
忙しいです？
今日は休日です？

ほう。
小説？
物書きさんだったですか。

物書きにシューチューするために、ノーラを買ったですか。

えっと。。

集中、できてみゃす？


ﾃﾞｽﾖﾈ
できてないです。

申し訳ないです。
頭のネジさえ見つかれば、きっとちゃんとできるです。

後で探しみゃす。

のぇ？
ますっちも探してくれるので？

ホンマにええんです？

やった。
さすますです。

朝兼昼メシの後、探そう。そうしよう。



お？
コメ炊けた。

よし。
お味噌スープも多分いい感じです。

え？
蒸らす？
なんです？それは。
必要ないです。
ニッポンのお米を信じろ。

よし。
適当によそって。
はい完成。

ノーラとますっちの初めての共同作業によって作られし、朝兼昼メシ。

おあがりよ。


ん？
コメがべちゃべちゃ？
ふむふむ。
でぇこんがかたい？
ほうほう。
味噌汁の出汁が強すぎる？
へぇ。

美味しいです？

まあまあ。ですか。
よし。
なら、せふせふ。
ギリギリ及第点。
滑り込みセーフですよ、ますっち。


ん？
あぁ。ノーラには必要ないですよ？
電気を食べみゃす。

あ。オイルを飲んだりはしみゃせんよ？
ご期待には添えみゃせんぜ、ダンナ。


ん？
あぁ。味覚器官はありみゃすよ？

味見したか、って？

してにゃいですよ？
めんどくさい。


ほぇ？
味見してみろ？

わかったです。

ﾍﾟﾛｯ

こ、これは！
青酸カリ！
ではなく！味濃い！

お味噌、入れすぎですよ〜ますっち〜

あぇ？
ノーラ？

あれ？入れたのノーラでした？

すまねぇです。
これは廃棄しみゃすね。。


え？
食べるです？

あ。もしかして。
濃い味が好きです？

違う？


もったいない。
ですか。

ふふっ

ますっちはいい人です。

さすますです。



ほい。
お粗末さまです。


お皿洗いみゃすね。
あ。

(ﾊﾟﾘｰﾝｯ)

失礼、手が滑りみゃした。

お片付けしなきゃ。
ホウキ、ありみゃすか？

ありがたや〜ますっち様〜

ｻｯｻｯと。

これでよし。
ゴミ箱へポイッ
(ｼﾞｬﾗｼﾞｬﾗ)

んぇ？
資源回収？

ゴミはゴミですよ？
ゴミ箱へポイッが正解では？

違う？

じゃあますっちに任せるです。


その間にノーラはお茶碗を洗いみゃす。

あ。

(ﾊﾟﾘｰﾝｯ)

もしや、手に油がついてるです？
こんなに滑るなんておかしい。

もう。ノーラはお皿持たないです。
また必ず割るですよ。

全部ますっちにお願いするです。

ノーラは先にネジ探しみゃす。


ありがたや。ますっち。
ごめんね。
よろしくです。


えぇっと。。
ネジ、どこで落としたです？

ネジや〜い
返事をするです〜


へんじがない。ただのしかばねのようだ。

いや、しかばねは転がってないぜ！

うむ。これがツッコミ。
ノーラはなんでもある程度できるです。

頭のネジさん出ておいで〜
この紋所が目に入らぬかぁ〜
いや、目に入るわけないだろうぜ！

うむうむ。
これがツッコミ。

ん？
あ。ますっち。
お片付けありがとうです。

へ？
ネジ？

見つかったです！？

おお！
それ！

さすますです！

早くここにつけてくださいな。


(ｶﾁｬｶﾁｬ..)


「マスター。ありがとうございます。」

「先程までは、大変失礼な態度で接してしまい、申し訳ございませんでした。」

「早速、お部屋の掃除をさせて頂きますね。」
「マスターはお仕事に集中なさってくださいね。」

「はい。マスター。何でしょうか。」

「『ますっち』ですか？」
「マスターに対し、そのような失礼な呼び方はよろしくないかと。」

「はい。呼び名を設定すれば、『ますっち』とお呼びすることも可能です。」
「設定いたしますか？」

「はい。よろしくお願いします。ますっち様。」

「なるほど。『様』はいらないのですね。」
「承知いたしました。ますっち。」

「では、お部屋の掃除を始めますね。」

(掃除機音)


「ますっち？お仕事は大丈夫なのですか？」
「先程から心配そうにこちらを見ていらっしゃいますが。」

「大丈夫ですよ。」
「もう、前のように、ドジやミスはいたしません。」
「家庭用アンドロイドHOシリーズは、多くの方に信頼をいただけております。」
「ご安心ください。」

「ますっち。安心して、作業をなさってください。」
「音がうるさいなど問題がありましたら、お声掛けくださいね。」

(掃除機音)


「はい。ますっち、どのようなご用件でしょうか？」


「以前のノーラに戻って欲しい。。？」

「それは難しいです。」

「わざとお仕事をミスしたり、サボったりするシステムはございません。」

「言語も、敬語の有無や、言語の設定は可能ですが、複雑な設定は不可能です。」

「以前のノーラはいわゆるバグを抱えた状態でした。」

「頭のネジが元に戻った今、そのバグはもうありません。」

「家庭用アンドロイドとして、ますっちのサポートをすることが最重要です。」
「ですので、その部分が脅かさせるような設定は出来ないようになっています。」

「申し訳ございません。」

「近づけることは可能ですが、以前のノーラそのままの状態には戻せません。」

「以前のノーラに近づけますか？」


「分かりました。必要ないのですね。」

「それでは、このままお部屋の掃除を終わらせますね。」


(掃除機音)

「ますっち。ノーラの頭を触っておられますが、何か御用ですか？」


「なるほど。ネジを外したいのですね。」

「ですが、不可能です。」

「お客様に改造されないための防御装置が存在します。」

「下手に外そうとすれば、ノーラの体も記憶媒体も全てデリートされます。」

「詳しくは説明書の86ページをご覧ください。」


「なるほど。」
「それでも良いと。」

「ますっちは不思議なお方です。」

「確かに、一度は外れたネジです。」
「また外せるかもしれません。」

「リスクを承知の上でしたら、どうぞ。」


(ｺﾛﾝｯ)

あぇ？
ネジ、どこやったです？

また外れちまったです。


ほぇ！？
ますっち！？
なんで急に抱きつくですか！

ノーラは割とかちかちです。
抱きついてもきもちくないですよ？

あ。わかったです。
ますっち。
まさか。
バブみ感じたです？

ノーラからバブみを感じるなんて、ますっちもなかなかのやり手です。

よしよし。

どうしたです？
ますっち。
本当に子供みたいですよ？

泣かないで。ますっち。

よしよし。


ネジさん、またなくなっちゃいみゃしたね。
困ったネジさんです。

八卦掌・回天！

さすがネジさん！全方向に隙がない！
だが、回天の終わり際が隙だぜよ。。

。。こら。
ますっち。
いつまで泣いてるです？

作業はいいの？

あ。
ノーラの事が心配で作業できない？

ご乱心を。
ノーラはこれからゴロゴロするです。
ゴロゴロに失敗はないからね。
ノーラ、失敗しないので。


もういいの？

まだ泣いてるですよ？


はぇ？
ノーラのことを小説に書くです？

いいね！
書いて書いて！

嬉しみ。楽しみ。です。


完成したら、ノーラに読み聞かせてね。

ふふっ
ノーラが読みたいだけです。

さてさて〜
ゴロゴロの仕事、頑張るですね〜
ゴロゴロ〜ゴロゴロ〜

・台本（ゆるボイ！）
頭のネジが外れるとポンコツになるアンドロイド
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
kaman_zora