ここは深い森の奥。

精霊たちの住処。

精霊たちには属性があり、その属性が失われる時、精霊は消える。

ここにも、今にも消えそうな火の精霊がいた。

あら？
そこにいるのは、火の精霊さん？

隠れてないで出ておいで？


あらら。
随分と火が弱ってしまっているみたいだけれど。。
何かあったの？
お姉さんに話してみて？


ふーん。
水の精霊に囲まれて、水を浴びせられて、そんなに弱々しくなっちゃったのね。。
ひどい。。

ねぇ。
だったら。
こっちにおいで。
私の家には暖炉があるから。
そこできっと回復できるわ。

距離もそんなに離れていないから。
安心して？

さぁ。おいで？


え？
私？
見ての通り、通りすがりのエルフのお姉さんよ？
精霊ちゃん達とお話したり、助けたりするのが大好きなの。

。。どうしたの？

怖いの？

そうよね。。
取り囲まれて、酷いいじめを受けて。
誰も信じられないわよね。

ごめんね。
別に無理に来なくてもいいの。

火の精霊さんが、ここで一人でずっと震えてるのを、私は見ていられなかっただけだから。
ただの自己満足なの。

私は好きでやっているだけだから。


。。え。
来てくれるの？

ありがとう。
勇気を出して、来てくれて。
本当にかわいいわ。

こっちよ。

移動中は私の腕の中にいらっしゃい。
きっと風よけくらいにはなれるから。

そんなに弱っていたら、少しの風も危ないもの。
私が守ってあげるね。


うふふっ
そんな素直になっちゃって。
かわいい子ね。


一緒に行こうね〜
ふふふっ


(歩く)

あなた、お友達の精霊はどれくらいいる？

そう。
3匹なのね。

やっぱり。。

100年前と比べて、最近は、精霊がめっきり減っちゃったの。
いろんな精霊さんに話を聞いたけど、理由が分からないの。
毎年、ちっちゃい、かわいい、精霊ちゃんがたくさん生まれているのに。
いつの間にか減ってしまっているらしいの。

もしかしたら、さっきみたいな、いじめで。。？


ごめんね。
ちょっと、怖い話だったよね。
原因は、私も調べてるから、安心して？
すぐに分かるわ。


はい。着いたよ。

(ｶﾞﾁｬ)

(ﾊﾞﾀﾝ)

すぐに暖炉をつけようね。


あ。
薪がないわ。
持ってくるから、ちょっと待っててね。。



おまたせ。

はい。
「バインド」


ふふっ
動けないよね？

拘束魔法の「バインド」よ。


この杖に貯めたマナが尽きるまで、あなたは決して動くことは出来ないの。
ふふふっ


あぁ。。
そんな怖がっちゃって。。
本当にかわいい。。

もっと。
いじめたくなっちゃう。

ｽｩｰ

ふー


あぁ。。
嫌だよね。
消えちゃうかもしれないね。
苦しいね。
怖いよね。


本当にいい反応。
惚れ惚れしちゃう。。


ふー


かわいい。。

助けて欲しい？
早く暖炉をつけて欲しい？
いじめないで欲しい？

だ〜め。

そんなかわいい反応してくれる子。
本当に久しぶりなんだもの。

ずっと息をかけ続けていたいわ。


ふー


え？
エルフのお姉さん？

あぁ。。
そんな嘘、まだ信じてるの？
本当に純粋でかわいい子ね。。
汚したくなっちゃう。

私ね。
魔女なのよ？

エルフの格好はね、魔法で作ったものなの。

わかる？
あなたは、私に騙されちゃったの。


ふふふっ
そんな泣きそうな顔するなんて。。

あなた、最高よ。
本当にかわいい。
大好きよ。

ちゃんと複製体を作らなきゃね。

「コピー」

これでよし。
あとはあなたをいじめるだけ。


ふー


あぁ。
消えちゃう、消えちゃう。

もうすぐ消えちゃうね。
死んじゃうね。

もっと頑張って。
あなたならできるわ。

杖のマナが無くなるまで。
あと5日くらい、きっと耐えられるよね。


ふー


もうこんなに弱っちゃって。。
もっと頑張ってる姿を私に見せて。。？
あなたなら大丈夫よ。
きっとできるわ。


。。え？

やめて？

私。
だめって、さっき言ったよね？
そんなことも分からなくなっちゃったの？


ふふっ
もしかして。
同情してもらえると思ったの？

本当にかわいいことするね。
大好きよ。


じゃあ、一つ、私のことを教えてあげるね。

私ね。
純粋でかわいい精霊ちゃんたちのこと、大好きなの。

生まれたての、ちっちゃい、かわいい、純粋な、精霊ちゃんたち。。
たっくさん連れて来るの。

それでね？
純粋だから、簡単に洗脳できちゃうの。

ふふふっ

精霊ちゃんたちとのお風呂が私の最近の楽しみなの。
ちっちゃくて、かわいい子たちに囲まれて。
私は満たされるの。



狂ってる？

あらら。
そんな口をきくようになっちゃったのね。


ふー


そう。
そうやって泣きそうな顔をしていればいいのよ。

とっても、かわいいわ。


何度も言わせないで？
あなたが耐えればいいだけよ？
私はただ、ずっと、ずっと、ふーってするだけ。

消えちゃうか、消えちゃわないか、ギリギリの風量でね。

だって。
あなたが頑張ってる姿を見たいもの。
必死に頑張って、耐えてるあなたが、本当にかわいいんだもの。
仕方ないわよね。


ふー


えらいね。
ちゃんと頑張ってる。
かわいい。
もっと、もっと、頑張ってね。


ふー


あ。
消えちゃった。。

あ〜あ。つまんないの。


まぁ。
複製体がいるけどね。


「リバイブ」


おかえり。
火の妖精ちゃん。

「バインド」


はい。
残念。

もう動けないね。


ふふっ

本当にかわいい顔してくれるね。。


次は、お水をちょっとずつかけてあげるね。

(ﾎﾟﾀｯ)

あぁ。。
まだ一滴だけなのに。。
もうそんな反応。。

水の精霊たちにいじめられたトラウマが蘇っちゃったの？

ふふふっ
そんなに怯えちゃって。。
かわいい。


ほら。
もう一滴。
垂れちゃうよ？


あぁ。。
こんなに嫌がってくれる。。
絶対に動けないのに。。
頑張って動こうとして。。

すっごくかわいい。。
大好きよ。

(ﾎﾟﾀｯ)


わぁ。。
すごい叫び声。

そんなに嫌なの？

これ。

(ﾎﾟﾀｯ)


ふふふふっ
いい鳴き声。

こういうのも悪くないわ。。


でも。


ふー


こっちの方が、かわいくて好きよ。

なんだか。
すっかり弱々しくなっちゃったね。


また。
作り直そうかな。


ふーーーーー


はい。
消えた。と。


「リバイブ」

「バインド」



さて。

続きを始めようね。


ふー

・台本（ゆるボイ！）
弱った火の精霊に耳ふーは致命傷
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
kaman_zora