男の子ロボ(喋る側):男の子型ロボット。純粋無垢な男の子だが、素晴らしい悲鳴を上げる。

マスター(聞く側1):男の子型ロボットのマスターさん。男の子ロボを亡くなった息子代わりに育てていたが、ある事をきっかけに亡くなった息子の事を吹っ切る為に男の子ロボを捨てる。

廃棄工場の男性(聞く側2):男の子ロボを廃棄処分する。

※効果音、SE等はお好みでお付けください。

「2050年1月28日午後6時。マスターの帰宅を確認。当機MRT22、スリープモードを解除いたします」

(機械のようなシステムボイス風に喋る男の子型ロボット。スリープモードが解除されるとマスターの方を向き、人間のように喋り始める)

「マスター！お帰りなさい！うん！今日も僕、いい子にしてたよ！えへへ、撫でてくれて嬉しい！僕、マスターの家に購入されて幸せ！あ、マスター！ご飯作るの手伝うよ！僕、いい子でしょ！うん！これからもマスターの役に立てるように、僕がんばるね！あ、ご飯食べたら一緒にお風呂入ろうよ！えへへ、楽しみだなぁ……」

(マスターと男の子ロボの幸せな日々。しかし……長くは続かなかった……)

「……2056年1月28日午後6時。MRT22再起動いたします。……あ、あれ……ここは……どこ？マスターは……？」

(男の子ロボが再起動したのはマスターの家ではなく、ロボット廃棄工場だった。男の子ロボの前には作業服を着た一人の男性が立っている)

「え……ここはロボット廃棄場……？ぼ、僕はどうしてここに？……え、マスターが僕を捨てた……？う、嘘だ！嘘だ嘘だ嘘だぁ！」

(男の子ロボは混乱する。そんな男の子ロボを鉄パイプで叩き、黙らせる)

「ｯ！？……い、痛い……や、やめてください……分かりました……言う事を聞きます……だから、叩くのをやめてください……。分かりました。あなたに着いていきます……」

(男性は男の子ロボの連行する。道中、バラバラになったロボットの残骸が地面に転がっていた)

「……地面に転がってるの……これ、全部僕と同じロボット……？……酷い……バラバラだ……あ、は、はい。黙って着いていきます。ごめんなさい」

(しばらく歩いて着いたのは、廃棄工場施設内のとある装置が置かれた部屋だった)

「こ、これは……？この椅子に座ればいいんですか……？で、でも……は、はいっ！？座ります……だから叩かないでください……」

(男の子ロボは椅子に座る。身体中を拘束具で固定され、身動きがとれなくなってしまった)

「い、一体なにをする気なんですか……？……え？」

(男の子ロボの視界に映ったのは、巨大なチェーンソーだった。金属音を鳴らしながらチェーンソーの刃が男の子ロボに迫る)

「や、やめてください！！た、助けて！助けてよ！」

(男の子ロボは叫ぶが、男性に鉄パイプで顔を殴られる)

「ガッ！？……頭部に強い衝撃。内部の器機が破損しました。……い、痛い……やめて……ください……」

(男の子ロボは泣きそうな声で助けを求める。しかし、誰も助けてはくれなかった。そして、チェーンソーが男の子ロボのお腹に到達した。ガリガリと音を鳴らしながらチェーンソーが男の子ロボのお腹を抉る)

「痛い！痛い痛い痛い痛い痛い！あああああああああああああ！！！！！腹部に損傷がああああああああ！！！！助けて！助けて！助けてぇ！」

(男の子ロボは叫ぶ。それを黙らせる為に再び男性が男の子ロボを殴った)

「がはっ！……あぁ……マスター……帰りたい……帰りたい……帰ってマスターを迎えてご飯一緒に作って一緒にお風呂入ってそれからそれからそれからららららららららららららシステムに重大な損傷発生直ちに修理センターにご連絡ください電話ばんごごごごごごごピーピーピー」

(何度も叩かれ、お腹をえぐられたショックか、男の子ロボのAIはショートを起こしてまともに喋れなくなってしまった。そして……)

「ピーピーピー……」

(ブツリ、と男の子ロボは、事切れるように項垂れた)


おしまい

・台本（ゆるボイ！）
廃棄工場と男の子ロボット
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
SSAA