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オークとケガ人
written by 華ノ眼 葉
  • ファンタジー
  • 人外 / モンスター
公開日2021年07月31日 19:56 更新日2021年07月31日 19:56
文字数
1156文字(約 3分52秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
心優しいオーク
視聴者役柄
ケガをして倒れていた人間
場所
オークの住む小屋
あらすじ
毒を持つ植物によって気を失ったあなた(聞き手)が目を覚ますと、隣には一体のオークが。
あなたの治療をしてくれたオークは、不器用ながらも精一杯あなたを癒そうと手を尽くす。
本編
……ん、起きたか。
待て、無理に起き上がろうとするな。足の骨にヒビが入っている。いちおう固定はしておいたが…

お前は、毒を受けて倒れていたんだ。おまけに気を失ってどこかから転げ落ちてきたようで…傷が浅かったのは幸いだったな。
解毒作用のある薬草を使ってある程度和らげることはできたが、まだ完全じゃない。それにそのケガだ。良くて半月くらいか…それまで、ここにいてもらうからな。

…ああ、暗いか。ちょっと待ってろ、蝋燭を持ってくる。
これでどうだ、わたしの顔も良く見えるか?
……驚くと思っていたよ。その様子じゃ、オークを実際に見るのは初めてだな。
これが、人間の恐れるオークの顔だ。怖いか…?

そうか。珍しい人間もいるのだな。普通なら、わたしを見れば青くなって逃げ出してしまうものだが。
お前のような変わり者がいるなんて、父さんも知らなかっただろう。後で教えてあげなくては。
ん? 父さんなら、裏手に墓が建っている。まあ、それなりに長生きだったよ。

…なぜお前が謝るんだ? お前は何も悪くないだろう。
父さんは……わたしの誇りだ。男手ひとつで、わたしをここまで育ててくれたのだから。
薬草の知識や、大ケガを負ったときの対処を父さんに教えてもらわなかったら、わたしはお前を助けることもできなかった。
だから謝罪ではなく、感謝してくれ。
うん、それでいい。

そうだ、腹は減っていないか?
あまり豪勢なものは作れないが…ああ、喉が渇いているだろう、水を取ってくる。
首だけ上げてくれ、飲ませてやる。
ん…わたしの手が気になるか。いいぞ、好きなだけ見るといい。ここにはお前の楽しめそうなものが何もないからな、わたしの手でよければ気を紛らわせてくれ。
よしよし、ろくな治療もできなくてすまないな……。

あっ、こ、これは、そのだな……すまない、わたしが眠るとき、父さんによくしてもらったから…お前も落ち着くかなと思って、つい。
め、迷惑だったろう。頭を撫でるなんて、わたしがしたところで…。

落ち着くのか?
そう、か……わかった。よしよし、お前は丈夫なやつだな。早く元気になって、お前の村まで帰れるようにしないとな。みんなが心配しているはずだ。

起きたばかりで眠れないか?
どうしよう…しっかり寝ないと、体力を回復できないのだがな。
じゃあ、こうしよう。ちょっと手を出してくれ。
お前の手を、わたしの両手で包みこんで…ぎゅっ。
痛くはないか? やっぱり、力加減がよく分からなくて…。

これも、父さんがよくやってくれたんだ。父さんに手を握ってもらうと、あたたかくなってすぐに眠ることができた。
もしかすると、こうしてやればお前もよく眠れるかなと思って。
…さっそく、目がとろんとしてきたな。よしよし、たくさん寝て、早く治そうな。

……眠ってしまった、か。確か、父さんはこの後、手に…。
よ、よし。それで癒えるなら、やってみせよう。
(キス)…おやすみ、いい夢を。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
オークとケガ人
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
華ノ眼 葉
ライター情報
不定期的に台本を上げます。よろしくお願いします。
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