- ファンタジー
- 吸血鬼
公開日2022年09月13日 22:27
更新日2022年09月13日 22:27
文字数
1277文字(約 4分16秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
闇夜に生きるヴァンパイア
視聴者役柄
無欲な人間
場所
深夜の自宅
あらすじ
草木も眠る丑三つ時、窓の外から突然声がした。
声の主は部屋に上がりこむと「恩返しがしたい」と言い出す。
声の主は部屋に上がりこむと「恩返しがしたい」と言い出す。
本編
(窓ガラス越しの曇った声)
おーい、開けてくれないかー。おーい……
(窓を開ける音)
やあこんばんは、夜分遅くに窓から失礼する。それじゃ、お邪魔するよっ、と……
ほら、いつまでもそこに突っ立ってると、部屋の中に入れないだろ。どいてくれないか。
どうも。さてと、まずは先日のことについて感謝させてもらおう。
何って、先日のことは先日のことさ。覚えていないのかい? 本当に?
……コウモリだよ。道端でぐったりしていたやつを、わざわざ気にかけてくれたろ。
思い出したかい、それはよかった。私の言いたかったのはそのことだよ。
その節はどうもありがとう。これまで数え切れないほどたくさんの人を見てきたが、きみのようなタイプは実に珍しい。
今夜はその礼をするために、きみのところまでやって来たというわけだ。オーケー?
……よし。飲み込みがいいようで何よりだね。
さあ、それでは早速きみの願いを聞かせてもらおう。可能な限りは叶えてあげるよ。
…………それもそうか。いきなり願いを言え、なんて突拍子のないことだ。
きみが困ってしまうのも仕方ないな、うん。しかし、速やかに返事をもらいたいんだ。
こっちの都合を押しつけるようで悪いが、あまり恩返しに時間をかけられないんだよ。
私はそう、夜に生きているから、夜明け前にはここを去らねばならない。すまないね。
(深刻そうに)
……実を言うと、日光を浴びると、体が灰になって消えてしまう体質……なんだ。
ああ、だから…………ん? なんだ、きみ、今気づいたのか。
コウモリに深い関わりがあり、日光に弱いとなれば……思いつくのはひとつ。
そうさ! 何をかくそう、私はあの誰もが恐れるヴァンパイアなのさ!
というか、それなら今まで私を何だと思ってたんだい?
まさかと思うが、コウモリが人間に化けられるとかメルヘンなこと考えてないだろうね。
(鼻で笑う)なかなかユニークな発想じゃないか。しかし残念、ハズレだよ。
そんな『鶴の恩返し』の猿真似みたいなセンスのないやり方、私ならやらないね。
きみがあの時助けたのは、かわいい私のしもべ……飼いコウモリさ。
飼い主ならその礼くらいキッチリしておかなければ、そうだろう?
すまない、話が少々脱線したね。では改めて問おう、きみの望むものはなんだい?
…………きみなぁ、貪欲なのはいけないことだが、無欲すぎるのも問題だぞ。
本当に、ほんっとうに何もないか? 絞り出せばひとつくらい……ない?
遠慮している様子もないし、本当に何も思いつかないって感じだ…………
困ったな。叶えるのが難しいことを願われるのは予想していたが、まさか願いそのものがないとは思いもしなかった。
よく見れば部屋も質素だし、きみは生まれつきそういう性格なのかもしれないね。
むう……そういうことなら仕方あるまい。私だって、無理強いは好きじゃないさ。
今夜はこのまま帰らせてもらうよ。あくまで今夜は、ね。
ああ。何度でもここに来る。こう見えて私はけっこうムキになるタイプでね。
こうなれば何が何でも願いを聞き出して、それを叶えてやろう。
楽しみだよ、実に楽しみだ。若い人間と話すだけでも新鮮な気持ちになる。
それじゃあまた会おう。あ、そうそう、この窓は開けておいてくれよ?
(何かが羽ばたいていく音)
おーい、開けてくれないかー。おーい……
(窓を開ける音)
やあこんばんは、夜分遅くに窓から失礼する。それじゃ、お邪魔するよっ、と……
ほら、いつまでもそこに突っ立ってると、部屋の中に入れないだろ。どいてくれないか。
どうも。さてと、まずは先日のことについて感謝させてもらおう。
何って、先日のことは先日のことさ。覚えていないのかい? 本当に?
……コウモリだよ。道端でぐったりしていたやつを、わざわざ気にかけてくれたろ。
思い出したかい、それはよかった。私の言いたかったのはそのことだよ。
その節はどうもありがとう。これまで数え切れないほどたくさんの人を見てきたが、きみのようなタイプは実に珍しい。
今夜はその礼をするために、きみのところまでやって来たというわけだ。オーケー?
……よし。飲み込みがいいようで何よりだね。
さあ、それでは早速きみの願いを聞かせてもらおう。可能な限りは叶えてあげるよ。
…………それもそうか。いきなり願いを言え、なんて突拍子のないことだ。
きみが困ってしまうのも仕方ないな、うん。しかし、速やかに返事をもらいたいんだ。
こっちの都合を押しつけるようで悪いが、あまり恩返しに時間をかけられないんだよ。
私はそう、夜に生きているから、夜明け前にはここを去らねばならない。すまないね。
(深刻そうに)
……実を言うと、日光を浴びると、体が灰になって消えてしまう体質……なんだ。
ああ、だから…………ん? なんだ、きみ、今気づいたのか。
コウモリに深い関わりがあり、日光に弱いとなれば……思いつくのはひとつ。
そうさ! 何をかくそう、私はあの誰もが恐れるヴァンパイアなのさ!
というか、それなら今まで私を何だと思ってたんだい?
まさかと思うが、コウモリが人間に化けられるとかメルヘンなこと考えてないだろうね。
(鼻で笑う)なかなかユニークな発想じゃないか。しかし残念、ハズレだよ。
そんな『鶴の恩返し』の猿真似みたいなセンスのないやり方、私ならやらないね。
きみがあの時助けたのは、かわいい私のしもべ……飼いコウモリさ。
飼い主ならその礼くらいキッチリしておかなければ、そうだろう?
すまない、話が少々脱線したね。では改めて問おう、きみの望むものはなんだい?
…………きみなぁ、貪欲なのはいけないことだが、無欲すぎるのも問題だぞ。
本当に、ほんっとうに何もないか? 絞り出せばひとつくらい……ない?
遠慮している様子もないし、本当に何も思いつかないって感じだ…………
困ったな。叶えるのが難しいことを願われるのは予想していたが、まさか願いそのものがないとは思いもしなかった。
よく見れば部屋も質素だし、きみは生まれつきそういう性格なのかもしれないね。
むう……そういうことなら仕方あるまい。私だって、無理強いは好きじゃないさ。
今夜はこのまま帰らせてもらうよ。あくまで今夜は、ね。
ああ。何度でもここに来る。こう見えて私はけっこうムキになるタイプでね。
こうなれば何が何でも願いを聞き出して、それを叶えてやろう。
楽しみだよ、実に楽しみだ。若い人間と話すだけでも新鮮な気持ちになる。
それじゃあまた会おう。あ、そうそう、この窓は開けておいてくれよ?
(何かが羽ばたいていく音)
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