- 女王様
- 魔王
公開日2022年12月28日 20:55
更新日2022年12月28日 20:55
文字数
1410文字(約 4分42秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
突如現れた新たなる魔王
視聴者役柄
先代魔王を討伐した勇者
場所
魔王城の一室
あらすじ
勇者の手によって悪しき魔王は倒され、世界には平和が訪れた。
それから数か月後、魔族の間で何やら動きがあることを知ったあなた(聞き手)は、勇者として魔王城をひとり訪ねる。
魔王城の玉座にいたのは自らを魔王と呼ぶ魔族。勇者であるあなたは、新たなの魔王と邂逅を果たす。
それから数か月後、魔族の間で何やら動きがあることを知ったあなた(聞き手)は、勇者として魔王城をひとり訪ねる。
魔王城の玉座にいたのは自らを魔王と呼ぶ魔族。勇者であるあなたは、新たなの魔王と邂逅を果たす。
本編
……ああ、それはお前たちに任せる。その程度のこと、わらわが出るまでもない。
ふむ、エルフとの交易は上手くいっておるようだな。何か不都合があれば言うがよい。
そういえば、そろそろあやつが……むっ。
これはこれは、誰かと思えば勇者ではないか。
遠路はるばる我が魔王城を訪ねに来たか。クク……
待っておったぞ! 貴様がわらわの眼前に現れるその時を!
クク……長旅で疲れただろう、客間で休息をとるがよい。
そこで少し、話でもしようではないか。
……ふ~、これでやっと腰を落ち着けて話ができるな。
むっ、どうした? さっきから眉間にしわが寄っているぞ?
はは~ん……さては、わらわの肢体があまりに美しいので、にやけ面になるのを抑えこんでいるのだな。
勇者をも魅了するとは、これも魔王のカリスマというやつか。
……クク、冗談だ。しかし、貴様の考えはわかっている。
「魔王はあの時倒したはず……なら自らを魔王と名乗るコイツは一体?」……どうだ?
クク、図星だな。まあ待て、貴様のために少しばかり教えてやろう。
勇者よ、貴様は確かに魔王を打ち倒し、世界に平和を取り戻した。
だが、もし貴様が敗北したとしても、魔王は倒されたであろう。
そうだ。このわらわが先代の魔王を始末し、新たな魔王として君臨する算段だったのだ。
わらわか、勇者か。どっちみち先代魔王は詰みの状態……まあ、世界を巻き込んだ暴君にはふさわしい結末であったな。
そうして、わらわは魔王となった。どうだ、納得はできたか?
なんだ、まだ腑に落ちないところがあるか。どれ、言ってみるがいい。
ほう、そうか。わらわの目的を知りたい……と来たか。
ククク、そうさな……魔族を統べる王として、我らにとって最良の選択をすることが目的、とでも言ったものか。
ああ、そうだ。そして貴様をこの場に呼んだのも、またひとつの選択。
後々に邪魔が入らぬよう、まずは貴様を始末させてもらおう……!
クク、ククク……冗談だ。ここでやりあったとして、誰も得をせんからな。
わらわが望むのは争いではない。誰ひとり傷つくことのない世の中だ。
しかし、先代魔王の人間へ与えた影響はあまりに大きい。おかげで国交もままならぬ。
そこでだ。勇者よ、貴様にひとつ頼まれてほしいことがあるのだ。
隣国の王に、わらわを紹介してほしい。
我ら魔族にもはや敵対の意思などないということを伝え、国交を回復させるのだ。
貴様が橋渡し役となれば、魔王に対していくらか心を開くかもしれぬであろう?
もしも上手く進めば、さらに他の国々も交渉の席についてくれるやもしれぬ。
……どうだ、貴様にとっても悪い話ではあるまい。
それとも、魔王とはすなわち邪悪と決めつけるか?
わらわを斬りたいのなら、そうするがよい。そうすれば貴様は、二度も魔王を討伐した英雄として語り継がれるだろうな。
剣を抜かぬ……か。それはわらわを信用する、ということだな。
感謝する。正直に言うと、少し不安ではあったのだ。
貴様が勇者の肩書に縛られ、冷静な思考を失っていることも考えられたからな。
もう一度だけ確認しておくが、まことによいのだな?
……うむ、これで準備は整ったな。
さあ、行くがいい勇者よ! 今こそ世界に平和をもたらすのだ!
……む、そうだな。まだ旅の疲労も癒えていないか。
ならば、ここで休むがいい。今まで人間のために命を賭してきたのだ、少しくらい己の体を労わっても構わぬだろう。
(あくび)
ふむ、わらわも少し休むとしよう。何かあれば従者に言え、ではな。
そうだ、改めてひとつ……期待しておるぞ、勇者殿? クク……
(扉が閉まる音)
ふむ、エルフとの交易は上手くいっておるようだな。何か不都合があれば言うがよい。
そういえば、そろそろあやつが……むっ。
これはこれは、誰かと思えば勇者ではないか。
遠路はるばる我が魔王城を訪ねに来たか。クク……
待っておったぞ! 貴様がわらわの眼前に現れるその時を!
クク……長旅で疲れただろう、客間で休息をとるがよい。
そこで少し、話でもしようではないか。
……ふ~、これでやっと腰を落ち着けて話ができるな。
むっ、どうした? さっきから眉間にしわが寄っているぞ?
はは~ん……さては、わらわの肢体があまりに美しいので、にやけ面になるのを抑えこんでいるのだな。
勇者をも魅了するとは、これも魔王のカリスマというやつか。
……クク、冗談だ。しかし、貴様の考えはわかっている。
「魔王はあの時倒したはず……なら自らを魔王と名乗るコイツは一体?」……どうだ?
クク、図星だな。まあ待て、貴様のために少しばかり教えてやろう。
勇者よ、貴様は確かに魔王を打ち倒し、世界に平和を取り戻した。
だが、もし貴様が敗北したとしても、魔王は倒されたであろう。
そうだ。このわらわが先代の魔王を始末し、新たな魔王として君臨する算段だったのだ。
わらわか、勇者か。どっちみち先代魔王は詰みの状態……まあ、世界を巻き込んだ暴君にはふさわしい結末であったな。
そうして、わらわは魔王となった。どうだ、納得はできたか?
なんだ、まだ腑に落ちないところがあるか。どれ、言ってみるがいい。
ほう、そうか。わらわの目的を知りたい……と来たか。
ククク、そうさな……魔族を統べる王として、我らにとって最良の選択をすることが目的、とでも言ったものか。
ああ、そうだ。そして貴様をこの場に呼んだのも、またひとつの選択。
後々に邪魔が入らぬよう、まずは貴様を始末させてもらおう……!
クク、ククク……冗談だ。ここでやりあったとして、誰も得をせんからな。
わらわが望むのは争いではない。誰ひとり傷つくことのない世の中だ。
しかし、先代魔王の人間へ与えた影響はあまりに大きい。おかげで国交もままならぬ。
そこでだ。勇者よ、貴様にひとつ頼まれてほしいことがあるのだ。
隣国の王に、わらわを紹介してほしい。
我ら魔族にもはや敵対の意思などないということを伝え、国交を回復させるのだ。
貴様が橋渡し役となれば、魔王に対していくらか心を開くかもしれぬであろう?
もしも上手く進めば、さらに他の国々も交渉の席についてくれるやもしれぬ。
……どうだ、貴様にとっても悪い話ではあるまい。
それとも、魔王とはすなわち邪悪と決めつけるか?
わらわを斬りたいのなら、そうするがよい。そうすれば貴様は、二度も魔王を討伐した英雄として語り継がれるだろうな。
剣を抜かぬ……か。それはわらわを信用する、ということだな。
感謝する。正直に言うと、少し不安ではあったのだ。
貴様が勇者の肩書に縛られ、冷静な思考を失っていることも考えられたからな。
もう一度だけ確認しておくが、まことによいのだな?
……うむ、これで準備は整ったな。
さあ、行くがいい勇者よ! 今こそ世界に平和をもたらすのだ!
……む、そうだな。まだ旅の疲労も癒えていないか。
ならば、ここで休むがいい。今まで人間のために命を賭してきたのだ、少しくらい己の体を労わっても構わぬだろう。
(あくび)
ふむ、わらわも少し休むとしよう。何かあれば従者に言え、ではな。
そうだ、改めてひとつ……期待しておるぞ、勇者殿? クク……
(扉が閉まる音)
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不定期的に台本を上げます。よろしくお願いします。
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