付き合いたての不良彼女から呼び出しを受けたあなた(聞き手)。
猛獣がごときオーラを放つ彼女は、あなたに疑問を投げかける。

……よォ、来たか。待ってたぜ…

まぁとりあえず座れよ。オレのとなり、空いてンだからさ…

なーに遠慮してんだよ。おら、座れっての。

……ふたりっきりで喋んのは久々だな。

あァ？　あいつらなら、その辺ほっつき歩いてんだろ。オレは知らねー。

つか、そうじゃねェだろ。オレと話してんだから、関係ねェヤツの話すんな。

(ため息)
お前と付き合ってもう…2カ月くらいか？

マジか、もう2カ月？　いつの間に…じゃねェ、それはどーでもいいな。

なあフツーはよ、付き合いはじめて2カ月って……もっとこう、色々とあんだろ。

…あァ！？　悪い、デカい声出ちった。

いやまあ何って、そりゃデートとか…だろ。

うるせェ、オレもよく分からんなりに考えてんだろが。

んでよ。オレら、そーゆーの全ッ然ねーと思ってよ。

だろ？　で、そりゃヤバいだろってことで呼んだんだよ。分かったな？

…いや、オレは別にンなことどーでもいいけどよ。あいつらが、な……

ちっ、ちげェよ！　マジであいつらが言ってきたんだよ！

なんか、よく分かんねーけど『愛情表現が足りてない』とか『飽きられる』とか色々な。

マジであいつら……いらねーコト言いやがって。余計なお世話なんだよ。

でも、そん時はうるせェって思ったけど、今考えると案外間違ってねェかもな。

だって、よく考えてみろよ。付き合う前と後で、なんにも変わってねーじゃねェか。

(少しずつ声が小さくなる)
これじゃ、オレが気合い入れて告白した意味がねェんだろが……

あァッ！？　うるせェッ！　それ以上なんか言ったらぶっ飛ばすぞ！

そうやって見つめんのもやめろ、こっち見んな。

(舌打ち)
……だぁーッ！　わぁッたよ、白状するよ！

オレが不安なんだよ、お前と会えねェと。

最初は、あいつらが騒いできたのがきっかけだった。それはマジだ。

でも、それからずっと胸がざわつくっつーか、もやもやすんだよ。

なァ、オレみたいなのと一緒にいて、お前ホントに楽しいか？

オレなんて口わりィし、頭もわりィし、あと人相？　っつか目つきもわりィし……

もし、万が一ホントに飽きられちまってたら、オレはどうすりゃいいのか分かんねー。

分かってんだろうけどよォ、浮気なんかしやがったらぶちのめしてやっからな！

…まあ、そうだよな。お前がんなコトするわけねーよな。

どっちにしても、浮気なんてさせねェし関係ねーけど。

おいなんだよ、そのあったかい目は。お前がそれすると、ゾッとすんだよ。

んで……何の話だったっけ。お前のせいで忘れちまっただろ。

ああ、そうだった。お前、なんかやってみてェコトとかあるか？

だから…恋人っぽい、なんかだよ。折角だし聞いとかねーと。

あー……今からデートっつってもなァ、お前どっかアテあるか？

だよなあ…けっこうムズいんだな、恋人っぽいことって……

そうだ。おいお前、ちょっと手ェ出せ。ほら、いいから手！

なんで抵抗すんだよ。おとなしくしろ！

(ため息)
…おら、恋人つなぎだぞ。やったことなかっただろ？

手なんて、そういやちゃんと握ったこともなかったっけな。

んん……握り返すな。オレも恥ずかしいんだよ。

どうだ？　これって、けっこうそれっぽい感じじゃねーか？

なんつーか、その、なんだ。わりといいな、こういうの。もっとやっときゃよかった。

今までのぶん、これから取り返してかねェとな。

いつもはオレが振り回してばっかなんだし、たまにはお前もムチャ言ってみろよ。

おう、なんでも…いや、なんでもはダメだ。オレがブチ切れない範囲のヤツで。

オラオラ、早く言ってみろよ！　どうなんだよ！

…あァ～？　なんかあんだろ。遠慮することねーって。

ったく、マジでねーのかよ。しょうがねえなァ、次までに考えとけ。

……まあ色々あったけど、とにかく！　これからもよろしく頼むぜ。

今度こそ、ちゃんとデートすっからな。覚えとけよ！

んじゃ、そろそろ帰っか。お前んちまで送ってやるよ。

どーせなら、帰りも手ェ繋いで…あ？

……てめェら、いつから見てた？　コソコソのぞき見しやがって…

うるせェーッ！　散れ、オレは今からこいつと帰んだよ！

あァッ？　余計なコトばっか言ってんじゃねェ。誰が誰に飽きられるって？

こっからはオレたちでどうにかすんだよ、ほっとけ。それに……

(ささやくように)
オレが、ホレたヤツを手放すワケねーだろ？

・台本（ゆるボイ！）
『圧』の強い不良と相談
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華ノ眼　葉