低音で声が可愛くないことを気にしてる後輩に
「声が好きって」言ってみた。
というお話。

ガチャッ（ドアを開ける音）

せんぱーい。
部活やりますよー。

ってヘッドフォンしてて聞こえてないし。

・・・おりゃっ！
（ガタッ、とかゴソゴソみたいな、アクションを起こしたことがわかる音。ヘッドフォンをとる）

先輩。部活動しますよ。

ただでさえ、先輩と私の二人しかいないのに、
何もしなかったら、こんな小さな文化部、すぐに廃部ですよ。

このままじゃ、今度の生徒会に出す活動報告、何も書けないでしょ。

返してって・・・。

わかってます？このままじゃ、この場所も自由に使えなくなっちゃうんですよ？

それに・・・先輩にも会えなくなるし。（ぼそっとつぶやく）

何でもないです。っていうか、一人でニヤニヤしながら、何聴いてたんですか？

ちょっと失礼して・・・。

（カチャッみたいな音。ヘッドフォン付ける。）

うわ・・・なにこれ・・・ASMRってやつ？
これ聴きながらニヤニヤしてたんですか？

・・・っていうか、声すごくかわいいですね。
こういうのが好きなんですか？

・・・いいなぁ。

あ、いや、何でもないです。

いや・・・その・・・私、声が低くて、全然かわいくないから
羨ましいなぁって思ったんです。こういうかわいい声が出せる人。

・・・いい声？

励まさなくていいですよ。先輩が好きなのは、さっきまで聞いてたかわいい声なんでしょ。

私の声が可愛いくないってこと、私が一番わかってますから。

・・・私の声も好き？

・・・ふーん。そうですか。じゃあ

こういうことされると、先輩は嬉しいんですか？（耳元で言う）

・・・うわ、本当にうれしそう。

・・・え？言ってほしいセリフ？

・・・無理です！恥ずかしいですよ！無理無理！

・・・って、いや。そこまで頭下げなくても。

はあ・・・。わかりました。
先輩がそこまでするなら、私も覚悟を決めます。

でも！一回しか言いませんからね！
絶対聞き逃したりしないでくださいよ！

それじゃ・・・行きます。

ねえ、あんたのこと、離さないから。（耳元で言う）

こんな感じですか？

・・・うわ、すごく嬉しそう。
流石にちょっと気持ち悪いですね・・。

ヒッ！気持ち悪いも喜ぶんですか？

先輩、本当に変わってますね。

あー・・・（長めの間）。そうだ、先輩。いいセリフ思いついたので、言ってあげます。
耳貸してください。

行きますよ。

先輩、好きです。一年前、この部室で初めてお話ししてから、ずっと。
（耳元で言う）

・・・どうしたんですか？顔真っ赤にして。

『セリフなんだよな』？

・・・さあ、どうでしょう。

私の声を好きって言いながら、可愛い声のASMRを聴いていた先輩にお仕置きです。

ふふっ。せいぜい、モヤモヤしてくださいね。

・台本（ゆるボイ！）
低音コンプレックスの後輩女子を褒めてみたら・・・
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ありまびぃばぁ