お互いに本が好きなカップル。
今日は彼女が初めて家に来た。
しかし、最近寝不足なことを見破られてしまう。彼女は帰ろうとするがあなたは引き留める。
すると、彼女は眠れるようにと、落ち着いた声でお話を聞かせてくれた。
というお話。

使用は一切自由です。改変等も自由。
もし読んでくださった場合は一言ください。
唐揚げくらい推します。

お邪魔します。
君の部屋に来るのは初めてだね。
思ってたより綺麗かも。

あ、本棚がある。見てもいいかな？

・・・ふーん。結構いろいろあるね。
『蜘蛛の糸』『金閣寺』『春琴抄（しゅんきんしょう）』『伊豆の踊子』

・・・有名どころにはほとんど手を出した感じ？

お、万葉集なんてのもある。

『君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな』
（きみがため おしからざりし いのちさえ
ながくもがなと おもいけるかな）

・・・今の私の気持ちは、これに近いかな。

・・・あれ？その様子は覚えてないな？
結構勇気出していったんだけどなー。

教養って言えるくらい有名な歌だよ？

意味？あー・・・ちょっと私から言うのは恥ずかしいかも。
後で、自分で調べてみて。

・・・って君、よく見たら目の下にクマできてるよ？
もしかして、あまり寝てない？

あー。来週の発表の資料作成ね。それは大変だ。
じゃあ、ちゃんと休まないと。私は帰るから、しっかり休んでよ。

・・・え？帰らないでほしい？
うーん・・・でも、ちゃんと休んで欲しいし・・・。

そうだ、ちょっとソファ借りるよ。（ソファに座る音）

ほら、こっち来て。いいから。よいしょ・・・っと。
（膝枕する。適切な音）

どう？膝枕。私、結構体温高いから、気持ちいいと思うんだけど。

温かくて柔らかい？・・・うーん。そのレビューはちょっと恥ずかしいかな。

ね・・・頭撫でていい？
うん。じゃあ、撫でるね？（頭を撫でる音ってあるのかな？あったら入れてほしい）

どう？気持ちいい？

・・・ふふ。なんか、かわいいね。

あ、男の子は『かわいい』が嬉しくないんだっけ。

そんなことない？そっか。そりゃ人によるよね。

どう、寝られそう？

・・・え？私の声を聞いていたら寝られそう？

君が落ち着くなら別にいいけど・・・。
でも、一方的な雑談を続けるのは無理だなぁ。

そうだ、本でも朗読して・・・って、この状態じゃ本棚まで行けない。
仕方ない。私の即興の話だけど、聞いてくれる？

わかった。それじゃあ、話すね。

（寝かしつける、眠れるような優しい声で）
あるところに、本が好きな女子高生がいました。
彼女は別にいじめられているわけではありませんでしたが、
人とのコミュニケーションが苦手で、教室から逃げるように、いつも図書館で本を読んでいました。

彼女は学校で孤独でした。

その日も、彼女が図書館で本を読んでいると、一人の男の子が入ってきました。
高校の図書館はあまり人がきません。彼女は、その男の子が気になり、つい目で追ってしまいました。

彼は短時間で数冊の本をパパっと選ぶと、私から少し離れた席に腰掛けました。
そして、一冊の本を手に取って、静かに読み始めました。
そこで私は彼から視線を外し、自身が読んでいる本に集中することにしました。

しばらくたって、読んでいた小説が一段落（いちだんらく）したとき、
私はふと気になって、先ほどの彼に目を向けました。
すると、私の目には、今まで見たことない景色が飛び込んできました。

それは夕日に照らされながら読書をする、君の姿だったのです。
逆光によって見えづらくはありましたが、真剣な表情をしていて。
その目を見れば、君がどれだけ本に向き合っているかが、よくわかりました。

その光景は、私が恋に落ちるのに必要な条件を、十二分に満たしていたのです。

恋に落ちた私は、自分を奮い立たせ、君にたくさん話しかけました。
しっかりと話せた日は喜びが駆け巡り、上がる口角に逆らうことができませんでした。

私は『あなたのためなら死んでもいい』と、この時は本気でそう思っていました。

そして、私の努力の結果もあり、君は振り向いてくれ、付き合うことになりました。
それから、幸せな時間を過ごしていき、私は今、こう思っているのです。

『君と一緒にいるために、なるべく長生きしていたい』と。
（朗読終了）

ねえ。・・・私は君と一緒にいるために、長生きするよ。
だからあなたも、私と長生きするために休むことを忘れないでね。

・・・ああ。『君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな』

これの意味、後でちゃんと調べておいてよ？

眠い？・・・いいよ。
ゆっくり休んでね。

おやすみなさい。

・台本（ゆるボイ！）
落ち着いた声の本好き彼女に膝枕して朗読してもらう
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
ありまびぃばぁ