ボクは君より稼いでるんだからさ。
君がボクのお世話をするのは当然でしょ。
は？口答えするの？
ボクがいなきゃ生活できないくせに！
…ごめん。言い過ぎた。
待って、謝るから！行かないで！私を捨てないで！
そういうお話。

「へへっ。今日もうまくいった。
ざっと100万くらい？

今日だけでこんなに利益が出るとは、自分の才能に惚れ惚れしちゃうね～。」

「あ、おかえり。遅かったね。今日も残業？
待ちくたびれちゃったから、早くご飯作ってよ～。

・・・え？仕事で疲れてる？」

「いや、そんなこと言われても、ボクは何も作れないんだから、君が作らなかったらご飯抜きだよ。
ボクが明日飢えて死体で見つかっても知らないよ？」

「え？何それ。家に居たんだからボクが作ればいいってこと？」

「はあ。あのねぇ。ボクだって家で何もしてないわけじゃないんだよ？
世の中の経済状況を常に予測して、最適解を選択し続けないと大失敗するんだから。」

「本当は君が働く必要なんてないんだよ？
君が働いているのは、君がその業界で働きたいと願ったからだろう？
そこで働くのが夢だったからだろう？

それに関してはボクからは何も言わないよ。好きにするといい。」

「でも、それとボクのお世話をするかどうかは別。
疲れてご飯も作れないようなら・・・そんな仕事、やめちゃえば？」

「は？なに？ボク何か間違ったこと言ってるかな？
だって、家のことを蔑ろにするんでしょ？
現時点でそれなら、家庭と仕事の両立は無理だよ。」

「なに？まだ言いたいことがあるの？
・・・（長めの間）。ふーん・・・。言わせておけば。」

「わかってる？君の今の生活は、ボクの収入のお陰で成り立ってるんでしょうが。
この広いマンションも、質のいい食事も、ぜーんぶ。」

「ボクが二人の生活を支えてるんだから、家のことくらいどうにかしろよ！
一人じゃ生きていけないくせに！」

「・・・あ、いや、ごめん。
今のは違うの、本心で言ったわけじゃなくて。

・・・待って、どこ行くの？」

「出てく？そんな、待って、なんで！
・・・証明する？ここから出てって、ボクがいなくても生きていけることを？」

「だから、ごめんって！そんなつもりじゃなかったんだよ！
考え直してよ！
待って、待ってってば！」

（ここからわからせの真骨頂。思いっきり縋ってください！）
「お願い・・・出ていくなんて、言わないでよぉ。
私が悪かったから・・・。」

「君がいてくれるなら、家事だってなんだってするから。
君がいてくれるなら、お金なんていらないから。

こんなところに住まなくても、ボロアパートでも構わないから。
出ていくなんて言わないで・・・。」

「・・・ごめん。私、お金を稼ぐことだけに必死になってた。」

「ほら、昔君の家は貧乏だったでしょ？
そのせいで、君は習い事もできなくて。
服だって、いつもヨレヨレで、ボロボロで。
そんな感じだったから、いつもクラスの子にいじめられてた。」

「食べられるものないくらいになって、君が倒れたとき思ったの。
お金があれば、君を助けられるのにって。
私が大金持ちだったら、君にこんな思いはさせないのにって。」

「それからは、いっぱい勉強した。
お金のこと、経済のこと、経営のこと。
とにかく、お金を稼ぐ術はほとんど学んだ。」

「それで、ようやく君と豊かな生活を送れると思ってたのに・・・。
私ダメだね。いつの間にか、手段と目的が入れ替わっちゃってたみたい。

君を幸せにするはずだったのに、私自身が君を苦しめて。
ごめん、本当にごめんね。」

「今までの稼ぎで、貯金はある。

家のことちゃんとできるように、稼ぎが少なくてもいいからプライベートの時間がとれる仕事を見つける。

だから、お願い。私のこと、捨てないで・・・。」

（しばらくすすり泣く）

「・・・え？本当？捨てない？一緒にいてくれる？
・・・稼げない私だったとしても？」

「・・・ううっ・・・よかった・・・よかったよぉ・・・。
もうおしまいかと思った・・・。
今までの頑張り、全部無駄になっちゃうと思った・・・。」

「ねえ。もう君を苦しめたりしないから、がっかりさせたりしないから。
お願いだから、ボクから離れないでね。絶対だよ。」

・台本（ゆるボイ！）
【わからせ】銭ゲバ彼女のお金より大切なもの
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ありまびぃばぁ