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元公爵令嬢の耳かきサロンへようこそ
written by ミフジ
  • 耳かき
  • ファンタジー
  • 幼なじみ
  • 悪役令嬢
  • 令嬢
公開日2023年05月10日 00:51 更新日2023年05月11日 00:11
文字数
1742文字(約 5分49秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
悪役令嬢
視聴者役柄
騎士団長の息子(幼馴染)
場所
耳かきサロン
あらすじ
由緒正しき家柄の生まれかつ王国騎士団長の息子であり、将来の騎士団長の座を約束されたあなた。貴族の通う学園に在籍中でありながらも、騎士団としての訓練の一環として他国へ遠征中に、幼い頃より親交のあった令嬢が王都から追放されたことを伝え聞く。帰国後なんとか探し出した彼女は、庶民向けの耳かきサロンを立ち上げていて…
本編
※SEは必須ではありません。


…あら、珍しいお客様ですわね。
ここは貴方のような身分の高い方がいらっしゃるサロンではなくってよ?

その顔は何かしら。
わたくしに何か言いたいことがあるようですが…
あいにく、貴方のお相手をしてられるほど暇を持て余しておりませんの。


…げっ…まじか。
(咳払い)
んん、なんでもありませんわ。

客として来たとおっしゃいましたが、貴方、ここがどういったサロンかご存じ?
もしわたくしがひらいたという情報だけを頼りにいらしたのなら、今すぐお帰りになることをおすすめいたしますわ。

え、ええ、お客様に耳かきをしてさしあげる、庶民向けのサロンですけれど…

(ため息)
その様子ですと、本当にサロンの内容までご存じの上でいらしたのね。
であれば仕方ありません。


こちらに横になってくださる?
…あ、そのいかにも高級そうなおものはお脱ぎになって?
庶民のサロンで汚れたなどと言いがかりをつけられてはたまりませんもの。

[衣擦れの音(上着を脱ぐ、横になる)]

それでは早速、耳かきを始めさせていただきますわ。

(耳かき開始)

…それで、こんなところまで従者じゅうしゃも連れずにいらして、いまさら何の御用ごようかしら。

っ……貴方が謝罪する理由がどこにあるというのです?
騎士団の遠征えんせいで他国にいらした貴方も、帰国後すぐに耳にしたのでしょう?

嫉妬にられておろかな行いをした、公爵令嬢こうしゃくれいじょうの話ですわ。
殿下でんか寵愛ちょうあいを得た彼女をねたみ、うらみ、そして排除はいじょしようと行動に移して失敗した、みじめなわたくしの末路まつろ

わたくしはあの卒業式の日、大勢おおぜい群衆ぐんしゅうの前で婚約破棄こんやくはきをされ、公爵令嬢の身分を剥奪はくだつされたのです。

…確かに、幼少期ようしょうきから親しくしていた貴方があの場にいたなら、わたくしをかばってくださったかもしれませんね。

けれどわたくし、これでよかったと思っているの。
あの頃のわたくしはどうかしておりました。


嫉妬に狂い周りが見えず、自分こそが婚約者にふさわしいのだと、ただただ殿下に執着しゅうちゃくするばかり…
そんな傲慢ごうまんな人間、殿下がお許しくださるはずがありませんわ。
むしろ王都からの追放で済ませてくださった殿下の寛大かんだいな処置に感謝しなければ。


ふふっ…つらくないか、なんて、面白いことを聞くのね。

いいえ?まったく。
このサロンは、わたくしの発案はつあんで立ち上げたものですもの。


…さて、こちらのお耳はそろそろ終わりにしましょうか。
(耳かき終了)

そのまま動かずに…
(耳ふー)
あら、女性慣れしていらっしゃらない貴方には刺激が強かったかしら?

顔を赤くするのもいいけれど、体の向きを変えてくださる?
そう、反対側のお耳が上になるように。
[向きを変える音]

こちらのお耳も失礼いたしますわ。
(耳かき開始)

…そうですわね。
わざわざ訪ねてきてくださった貴方にはお話ししましょうか。

あの日、あの場所で、婚約破棄を言い渡された瞬間…
わたくし、前世の記憶を思い出しましたの。
わたくしのいた世界は、この世界よりも様々な技術が発達していて…
その中で人々の心の安らぎの一つが、耳かきだったのです。

貴族の身分を失い庶民となったわたくしは、ただ毎日を生きるために働き続ける方々がいることを知りました。
そして、その方々に少しでも安らぎをと、このサロンを立ち上げたのです。


…ええ、前世の世界には、貴族や庶民などといった身分の差はなかったわ。
…というか貴方、わたくしの話を信じておりますの?
確かにわたくしは、貴方に嘘をついたことなどありませんが…

あーもう、なんか調子狂うなぁ…
…そ、前世ではみーんな庶民みたいなものだったし、この世界の貴族みたいなおかたい言葉遣いなんてしてなかったの。

だからもうこのしゃべり方でいい?
こちとら前世も合わせたら二十数年と数ヶ月庶民やってんのよ。
貴族の話し方なんてもうまどろっこしくてむーりー。

ま、そんなわけで、こっちの生活も全然苦じゃないし、結構楽しくやってるから。
君もわたしのことなんて忘れてさ、この国や王族を守ることに集中しなきゃ。

わたしは庶民で君は貴族、もう交わることはないの。
だから、会うのは今日で最後、わかった?


んー…よし、こっちもいいかな。
(耳かき終了)

それじゃ、最後に…
(耳ふー)
(そのまま耳元で)
それでももし、逃げ出したくなるくらいつらいことがあったら…またここにおいで。


はい、終わりっ。


それではごきげんよう。
…貴方が立派な騎士としてこの国を守る姿を、わたくしはこの場所から見守っておりますわ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
元公爵令嬢の耳かきサロンへようこそ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ミフジ
ライター情報
主に男性向けシチュエーションボイスの台本を投稿していきます。

◇フリー台本に関して

使用ルール等はありませんので、自由に使っていただいて構いません。

詳細な言葉遣いや言い回し、台本内のセリフの順番など、読みやすいように改変していただくことも問題ありません。性別変更及び、大元の流れが変わらない範囲でのアドリブ等も可能です。
ご使用の際の許可は必要ありませんが、【台本:ミフジ】の記載をお願いいたします。

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