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19世紀倫敦の連続耳かき魔に襲われて耳かきされてしまう話
written by えむおーおー
  • 耳かき
  • 歴史
  • 睡眠導入
  • 敬語
  • 寝落ち
  • お姉さん
  • 清楚
公開日2024年03月24日 20:00 更新日2024年03月24日 20:00
文字数
2742文字(約 9分9秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
貴族婦人に扮装した連続耳かき魔
視聴者役柄
耳かき魔を追っていた刑事
場所
19世紀ロンドンの路地裏
あらすじ
19世紀倫敦、連続耳かき魔「耳かきジャック」が巷を騒がせていた。
耳かき魔の捜査をしていたあなたは、夜の路頭で一人の婦人に声をかけられる。
婦人を家まで送り届けることにしたあなたは、人のいない路地裏で突然後ろから抱きつかれ、婦人に耳かきを始められるのだった。

実はその婦人こそが耳かきジャックだったのだ。
婦人はあなたを耳かきで脅すと、無理やり膝枕に寝かしつけて耳かきをしていく。
その中で婦人は、疲れ果てた夜の人々に安らかな眠りを提供する目的であることを語る。
婦人は最後に指耳かきをしながら犯人が女であることは黙ってほしいと告げると、あなたを眠らせるのだった。
本編
(遠くで鐘の音(ビッグベン的な))

(コツコツと路地を歩く足音)

――もし、そこのお方。身なりから紳士とお見受けしますが、こんな夜にお一人かしら?

実は私も一人でして、もしよろしければ、私のことを家までエスコートしてくださらない?

……いいえ、馬車を使うほどの距離ではありませんし、正直路銀も節約したいので……。

……ありがとうございます。それではこちらのほうへ付いて来てくださいね。

(二人が路地を歩く音)

――つかぬことをお伺い致しますが、貴方はどのようなお仕事を?

……あら、刑事さんでしたのね。

……そうですね。私のような女が夜に一人で出歩くのなんて危険ですね。

――特に最近は「耳かきジャック」なる怪人がこのロンドンを騒がせていますし。

夜の闇に人を襲い、傷つけるでもなく耳かきをして去るなんて。正直な話、少し笑い話のようにも感じてしまいます。

……まあ!その件で捜査を?どうりでお疲れなお顔をされていると……。

……申し訳ありません。街灯だとなかなか表情までは見えづらく。

お仕事中だなんて、他の方にお頼みしたほうがよかったかしら……。

……ご迷惑をおかけしますわ。この区画を抜ければすぐに家に着きますから。

……ええ、暗くて狭い路地でしょう?ですから男性のエスコートがないといつも心細くて。

――なので……申し訳ありませんが、私の先を進んでもらえませんか?

……いえいえ、気遣いが足りなかっただなんてそんな事。

――貴方はとても紳士らしいお方なのですね。

(後ろから抱き着く音)

(声後ろから)

――あら、なぜ抱き着いたのか不思議ですか?

(耳元で囁く)

――もちろん、貴方に耳かきして差し上げるためですわ。


(片耳に耳かきが入り、ゆっくり耳かきが始まる)

(声片側から)

――あらあら、動かないほうがよろしいですわ。

(普通の耳かきの速度になる)

耳かきというのはとっても繊細なんですの。

私としてもこうして抱き着いていないと手元が狂ってしまいます。

――もしここで貴方が暴れたりしたら、この棒の先端が貴方の鼓膜を突き破ってしまいますし、

運が悪ければさらに奥まで刺さってしまうかもしれません。

――私はそんなことしたくありませんし、貴方も望まないでしょう?

……ええ。従っていただいて助かりますわ。

――それでは立ちながら耳かきをするというのもおかしな話ですし、ここに座りましょうか。

(耳かきの速さゆっくりになる)

さあ、ゆっくりと腰を落として。そう。

そのままこちらの耳を上に、私の膝に頭をのせて、寝転がせて差し上げます。

(頭を膝に乗せる音)

(耳かきの速さ元に戻る)

……うふふ。手慣れてるでしょう?

――疲れた紳士の方々を癒して差し上げるためですもの。

雑な仕事は致しません。

――耳をかかれるのは心地いいでしょう?

大人であっても、こうして耳を優しくかりかりとかき続け――

耳の汚れを取って綺麗にして差し上げると、幼子のように眠ってくれるのです。

――ですからそう、緊張せずに。どうか私の耳かきに身を預けてくださいませ。

(耳かき続く)

……ええ、そうですわね。これまでの連続耳かき事件はすべて私の仕業です。

せっかくですし、このままゆったりとお話でも致しましょうか。

――耳かきジャックは男の名前ですが……私はもちろん女です。

――男性のみを狙い、夜の闇に突然襲い掛かると耳かきをしていき、

朝には無残に眠りこける耳かかれ体が発見される――。

ゴシップ誌ではそのような異常な男として紹介されていますわね。

――私としても憤慨したい書き方ですが、耳かきを続けるためには訂正するわけにもいきません。

実際刑事さんも私を見つけられなかったことですし。

私が夜な夜な男性に耳かきをして差し上げ、耳かきをされた男性はそのまま朝まで安らかな眠りを得られる――

というのが、ことの真相です。

……目的、ですか?

――皆様の安らかなる眠り、ですよ。

このロンドンの街は夜な夜な仕事に疲れ果て、独り帰っていく労働者のなんと多いことか……。

私はそんな人々に安らかな癒しと眠りを与えたいと思ったまでです。

――かり……かり……と。

――こうしてお耳から……汚れと疲れを取っていくことで。

(耳かき続く)

(片側耳かき終わり。耳かき棒が抜ける)


――さて、こちらのお耳の掃除は終わってしまいましたわね。

では、体を反対向きに変えますね。

(寝返りで擦れる音)

(声反対側から)

――ふふ。抵抗しても無駄ですよ。


(反対側の耳でゆっくり耳かきが始まる)

――はい。お次はこちらの耳かきです。

(普通の耳かきの速度になる)

……ああ、今の技、気になりますか?

――詳しくはお教えできないのですが、東洋の武術に覚えがありまして。

男性相手に私のような女が手を出すのなら、これくらいは必須でしょう?

……誰かが来れば終わり、ですか?それはどちらがでしょうか?

この光景は傍から見れば、貴方が道端で酔いつぶれて、私に介抱されてるようにしか見えないと思いますが。

あるいは何か、いかがわしい行為をしているようにも見えるかもしれませんね。

刑事の貴方がそんな姿を見られるのは困るのではありませんか?

――ふふ。大丈夫ですよ。この真っ暗な路地には誰も来ません。

耳かきをする場所は全て事前に調べ上げ、誰にも見つからず、ごろつきの類も来ない死角を選んでいます。

寝ている間に盗みにでも遭ったら大変ではありませんか。そんなことは私の耳かきの美学に反します。

……あら、警察の方もこの事はわかっていらっしゃるの?それは大変嬉しいですわ。

――でしたらなおさらわかるでしょう?私に耳かきされた時点で、貴方はこの場所で眠りに落ちるしかないと。

――貴方が眠るまで、私が耳かきを続けて差し上げます。

ですから何一つ心配することなく、このまま安らかに寝てしまってよいのです。

かり……かり……と。耳かきされる心地よさに、身を任せてしまってよいのです。

(耳かき続く)

(反対側耳かき終わり。耳かき棒が抜ける)


――こちらの耳かきも終わりですわ。

――ふふ。すっかり体の力が抜けて、今にも寝てしまいそうな顔をされていますわね。

ですが、まだ眠れてはいない、と。

――ご安心くださいな。耳かきが終わっても眠れない方にはこうして……、

(寝返りで擦れる音)


(両耳で指耳かきが始まる)

(声真ん中から)

――手袋の指先で、眠りに落ちるまで綺麗になった耳の穴をほぐして差し上げます。

――これは刑事の貴方でも知らなかったでしょう?

ああ、もちろんこの手袋は普段使いではない、清潔なものを用意していますのでご安心を。

――こうして指で耳をほぐされるのも、とても気持ちいいのですよ。

――ああ、そうだ。お話が弾んでしまって大事なことをお伝えし忘れてましたわ。

耳かきした皆様にいつもお願いしていることを。

……と言っても、この様子ですともう聴こえていないかしら?

――刑事さん。今夜のことは、どうか秘密にしてくださいね。

私が女であることも。

そうでないと、この街を離れなくてはならなくなってしまいますから。

――ふふ。明日の紙面が楽しみですわ。

―それでは、どうかよい夢を。

(指耳かき続く)

(指耳かき終わる)
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
19世紀倫敦の連続耳かき魔に襲われて耳かきされてしまう話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
えむおーおー
ライター情報
ファンタジー系ASMRが好き。
耳かきしながらずっと話してるタイプの作品が好きなので、文章長くなりがちです。
pixivにも同じ内容で投稿しています。
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