（本屋さんであなたは彼に声をかけます）
へいお兄さん、今ひとりー？　あは、ナンパみたいって、みたいじゃないよ、ナンパだよ。あ、その小説僕が気になってたやつ！　ねえ、これ読んだらまた貸してよ。

ええ、なんできみが読む前に貸してくれるの。それは悪いよ。買ったのはちゃんと読んで。僕はお下がりで良いの。

……この後は？　どこかに寄るの？　ふうん、そのまま家に帰るんだ。じゃあ僕も家に行っていい？　……なんで駄目って即答なの。
家にはひとりでいるの？　……ひとりなんだ。じゃあやっぱり僕も家に行っても良いって最後まで言う前に駄目って言わないでよ！

……え、もちろん、軽い気持ちで家に行きたいなんて言ってないよ。きみにしか言わないし。……女の子が男の子の家に遊びに行くときにはどんな覚悟が必要かも知ってるよ？　実体験じゃなくて知識として。

ねえなんで駄目なのねーえー。僕に見られたら不味（まず）いものでもあるの？　えっちなやつとか？　心配しなくても勝手に探したり見たりしないよ。ちゃんと許可をとってからするから。
ふーん、こういうのが好きなんだ～じゃあしてあげよっかな、とか思ったりして……ね？

なんでそこまできみに執着（しゅうちゃく）するのかって？　……僕も僕とか言って痛いから、誰も相手してくれなくて……え？　それは嘘って……ほんとのこと言わないと駄目……？

（言わないと駄目と言われて照れながら）
……ん、じゃあ言うよ？　……だって、早くしないときみを誰かに取られちゃうかもしれないから……。……取られないって、そんな保証はどこにもないよ。

（「それともそんなに～」の部分は言うのが苦しそうに言います）
……きみは僕が誰かに取られちゃうかもって不安になったりしないの？　いつもほっといてもきみの周りをうろちょろしてるから大丈夫だと思ってる？　それともそんなに僕に興味ない……？

そんなことないんだ。不安にもなるなら、相思相愛（そうしそうあい）だね？

……僕はね、きみのことが好きだよ？　きみのことを僕が幸せにしてあげたいなって思うし、これでもきみより年上だから、年上のお姉さんの魅力をこれでもかってくらいきみに教えてあげたいよ？

それで心も体も、僕じゃなきゃ駄目になっちゃえばいいのにって思う。駄目にした責任はちゃんととるから。

だから……ねえ、僕じゃ駄目？　僕にしよ……？　……家に行ってもいい？　女の子にここまで言わせて……も駄目なときは駄目なんだろうけど……え、行っても良いんだ……え？　夢……？

ちょっとびっくりしちゃった。まだまだ押して押していつかきっと……って感じだと思ってたから。いっぱい勇気出しておいて良かったぁ。

まだ実感が湧（わ）かないけど、楽しみ……あ、あと帰る前にコンビニにだけ寄ってもいいかな？

・台本（ゆるボイ！）
僕っ子お姉さんが家に来たそうにこちらを見ている
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白上