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君と生きて会いたかった彼女
written by 白上
  • 告白
  • 人外 / モンスター
  • ボクっ娘
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
1386文字(約 4分38秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
彼女(幽霊)
視聴者役柄
彼氏
場所
指定なし
あらすじ
廃墟の僕っ子幽霊。
音声作品化が難しそう。
本編
(あなたが日々を過ごしている廃墟にて)
……驚いた。僕に、付き合ってほしいだなんてさ。だって僕、これでも幽霊なんだよ? 普通に死んでるのに。

こんな廃墟(はいきょ)に毎日のように通って、僕の話し相手になってくれるなぁ、変なひとだなぁとは思ってたけど。……僕と話してるときだけ生きてる心地がするって、僕死んでるんだけど。……まぁ、気持ちはおんなじだけど。

ほら、今にも崩れそうだよ。不安定な足場が崩れて落っこちちゃったら、打ち所(どころ)が悪かったら死んじゃうね。……? 人生みたい? ……否定できない。

……もし落ちるなら、僕と会う前に、僕と会えるって思いながら落ちて死ぬのと、僕と会って話した後に、またねって言って帰ろうとして落ちて死ぬの、どっちが良いのかな。どっちが幸せかな。……どっちも幸せじゃないか。そっか、幸せじゃないから死んじゃうひともいるんだもんね。

いるっていうか……僕がそうなんだけど。……言うか迷ったけど、言うね?
僕が今ここにいる理由はね、きっと自分で死んじゃったから。生きたくなくて死を選んだのに矛盾してそうだけど、消去法でそうなっただけだから。

生きたくなくても、死にたいわけじゃなかったよ。死にたいって言ってたし思ってたけど、本当に死にたいわけじゃなかった。……ううん、本当に死にたくて、本当は生きたかった。

(次の文章の塊の「死んじゃった」はごまかすように笑いながら)
でも、僕が抱えるには僕の人生は重すぎて、死んじゃった。
細かいことは、もう思い出したくもないからいいよね。……それに、そういう気持ち、たぶん君もわかるでしょ……?

だから僕のことが見えたのかもしれないし。ほら、君がよく言ってる、生きてるのか死んでるのかよくわからないとか、死んでないだけとか、そういうの。……言葉にすると軽く聞こえちゃうかもしれないし、軽く聞こえるように言ってる部分もあるんだと思うけど、君も悩んでるんだもんね。わかるよ。

……でも死なないでね。僕が言えたことじゃないけど。……僕の分まで生きて。僕が代わりに死んどいたからさ。

……で、だよ。話は戻るけど、僕と付き合ってもさ、触れないから手も繋げないし、抱きしめることもできないし、キスも何もできないんだよ、わかってる……? っていうか僕の声しか聞こえない日もあるのに。それでも平気なの……?

(彼に「平気」と即答されて。「幽霊の僕しか~」の部分は自分が選ばれないことを思いながら寂しそうに)
平気って……幽霊の僕しか相手してくれない君じゃないとは思うよ。……べつに寂しそうに言ってない。

でも、じゃあ……後は……君と付き合って幸せになっちゃったら僕、消えないかな。そんなの嫌だよ。死んでもやだ。

(確認する部分は少し幼く、「……なら、」の部分は顔を赤くしながら)
……ほんと? 消えない? ……なら、付き合ってもいいかな……。
なので、付き合います……よろしくお願いします……。

(一文目は表情はあまり変わらない感じで言います。じんわり嬉しい感じ)
……生きてるうちにできなかったのに、死んでから初めての彼氏ができた!
……君と生きて会えてたら、それまで死ななかったら何か変わってたのかな。……なんて、死んだから君と会えたんだもんね。じゃあ、僕は死んで良かったよ。人生が耐えられないくらいに苦しくて良かった。

……君は僕が人生に失望させないけど、でも死んで僕と一緒になるまで満足もしないでね。死んだら終わりなんてそんなの駄目だよ。

死んだら一緒になろう? 死んでも一緒になろうね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
君と生きて会いたかった彼女
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
白上
ライター情報
男性向けフリー台本を書いています。有償のご依頼にもとても憧れがあります…!
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