（自分の部屋で、胸で兄を抱きしめながら。なので位置的には兄の頭の上のほうから話しかけています）
大丈夫、大丈夫……お兄ちゃんは悪くないよ。良くないって思うひともいるかもしれないけど、もう大丈夫なんだよ？　頑張ったね、よしよし……。

……お兄ちゃんは間違ってなかったから。みんなが言うから正しいこととは限らないし、自分の気持ちは蔑（ないがし）ろにしちゃだめだから。わたしはお兄ちゃんのことを否定しないよ。

むしろ全肯定しちゃうかも。お兄ちゃんえらいえらい。ぎゅーっ。

……わたしはお兄ちゃんの味方で、お兄ちゃんの敵はわたしの敵だよ。お兄ちゃんは悪くないし、そのことでお兄ちゃんのことを悪く言うひとがいたらそのひとこそ悪いし、そんなひとのことをわたしは許さないし、お兄ちゃんのことはわたしが許してあげる。

もしお兄ちゃんのことを嫌いって言うひとがいたら、そんなの気にならなくなるくらい、わたしがいっぱい大好きって言うから。気にしなくてもいいんだよ……？　みんなに嫌われる必要もないけど、きっとみんなに好かれる必要もないんだよ。

だから……もうそのことで悩まなくてもいいの。自分を責めなくていいんだよ。……終わったことは仕方ないよ。でも、それでお兄ちゃんがずっと元気がないままなのはだめ。

嫌なことはぜんぶ、忘れちゃおう？　忘れられないなら、思い出さないようにしようよ。……代わりに、わたしのことだけ考えて？　わたしに集中して……？

……うん、言うことを聞けて、良い子。良い子良い子……お兄ちゃんは良い子だよ。

他のひとの気持ちを考えすぎないでね。……どうしても他のひとの気持ちを考えたくなったら、代わりにわたしの気持ちを考えてね。例えば今だと……お兄ちゃん好き好きって考えてるよ……？　目指せ内縁（ないえん）の妻……って、ふふ。

そんなこと考えてると思わなかったでしょ？　……だからね、他のひとの気持ちは考えすぎなくていいし、考えすぎたらやっぱりそれは考えすぎなんだよ？

……妹が何でも知ってる……って、何でもは知らないよ？　ただ、お兄ちゃんの背中を見て育ったからね。……うん、そうだよ？　今まで言ったことはぜんぶお兄ちゃんの背中に書いてあったの。ふふ。

（兄のほうから体を離されて。「良かった」はお兄ちゃんが大丈夫になってということです）
……もういいの？　そっか、大丈夫になったんだね。もっといっぱい慰（なぐさ）めてあげようと思ったのに。……良かった。

大丈夫じゃなくなったときはまた教えてね。わたしとの約束だよ？

・台本（ゆるボイ！）
自分の気持ちも大切にしたことで思い悩む兄を慰め導く妹
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・台本制作者
白上