（あなたは同級生の好きな男子に手錠（てじょう）をかけ、自分の部屋まで連れ帰ってきました）
同級生の女の子にこんなに簡単に誘拐（ゆうかい）されちゃうなんて、きみはほんとに可愛いなぁ。……？　どうしたの、落ち着かないの？　……ふうん、女の子の家に来るのは今日が初めてなんだ……可愛い。それなのに私がいつも寝てるベッドの上に座らされちゃったんだね。

初めてじゃなかったら手錠外（はず）すのやめちゃおっかなって思ってたけど、ちゃんと外してあげるね。

鍵はここ。……はい、外したよ。……戸惑（とまど）ってる？　でも、ちゃんと外したでしょ？　外したのは片手だけで、外したのを私の右手にかけ直しただけで。

（「痛い」はただの苦痛の訴えで終わらないように、聞き手からしたら嗜虐的な感情や少し性的なものを感じるものであると良いです）
距離、近いね？　肩が触れちゃうし、顔なんてほら、こんなに近いよ？　息がかかりそうなくらい……あっ、痛い、引っ張らないで……？　手錠で繋がってるんだから、離れようとしたらだめだよ？

離れないで話をしようよ。じゃないと帰り道でいきなりきみに手錠をかけて、外してほしかったらうちまで来てってお願いして連れてきた意味がないよ。……おまわりさんが向こうから歩いてきたときは私も焦っちゃった。

ねえ、今日は何の日か知ってる？　……うん、そう、バレンタインだよね。じゃあさ、今日もらったチョコ今ここでぜんぶ出して？　きみがもらったチョコぜんぶ。

（「気持ち悪い」なども吐き捨てるように言うのではなく、可愛さを残しながら嫌悪感を表わす感じのつもりですが解釈は自由です）
義理（ぎり）でも関係ないよ。私以外の女が作った食べ物がきみの体のなかに入るなんて許さない。そんなの許せないよ。気持ち悪い。

ねえ、なんで躊躇（ためら）ってるの？　家に帰りたくないの？　そんなに大事なの？　どうして私の言うこと聞いてくれないの？　私のこと嫌い……？

（「お願い聞いてくれて～」の前に安心したように少し笑う）
……お願い聞いてくれてありがと。きみならそうしてくれるって信じてたよ、だいすき。これは後で燃やしておくね、灰になるまで。

焼きチョコだね。燃やすのはチョコだけにしておいてあげる。
（温度のない声で）
……なーんちゃって♡

今回だけ。特別だよ？

……そんな顔しないで？　私もね、きみのために、きみだけにチョコを用意したの。もちろん本命だよ？　ここで渡して、すぐに食べてもらおうと思って包装（ほうそう）はしてないんだ。手錠も邪魔になると思って。

食べてくれる……？　……え？　どうしてきみのことが好きか？　そんなの、きみがきみだからだよ……？　……歪（ゆが）んでる？　それはそうかも。

でもね、純粋な愛は歪んでるものだよ？　きみだけで、私だけなの。それ以外なんていらないんだよ？　きみならきっとわかってくれるよ。

きみが喜んでくれるかなって思って、失敗したりもしながら一生懸命作ったんだよ？　だから食べて？　ね……？　あーん……。

……美味しい？　美味しいんだ、良かった。食べてくれてありがと。……きみに褒めてもらえて嬉しい。……えへ。

（ぎゅー以後は耳元で。恐らく左耳に）
チョコの甘いにおいで、私の、女の子のにおいも気にならなくなっただろうし、良いよね……ぎゅーっ。……だめ、逃げれないって言ったでしょ？　それに、ほんとに良いの？　今を逃（のが）したらもうぎゅーできないかもしれないよ？　女の子の体のやわらかさを味わわなくてもいいの……？

（抱きしめ返され）
……ふふ、きみもちゃんと男の子なんだ。良いんだよ、正直になっても。私はちゃんと受け止めて愛してあげるから。いっぱいぎゅーしよ？　帰ってからも感触（かんしょく）を思い出せるくらい。

（見つめ合いながら。文末でキスしています）
ね、このままキスしちゃおっか？　きみの初めて、私にちょうだい？　私のもあげるから。……きみからして？　目をつむるから…………ん。んんっ。

……しちゃったね。……どうだった？　……そうだね、私も気持ち良かった。あとチョコの味がした。チョコ食べる度（たび）に思い出しちゃいそう。

……ふふ、きみが私のことすきって言うんだ？　今まで私のこと良く思ってなかったのに。……私もだいすきだよ？　それが気の迷いでも、もっと深くまで連れて行ってあげる。

……実はね、さっききみが食べたチョコのなかに食べたらムラムラしちゃうやつを入れておいたんだ。きみの……頭のなかとかがそうなってるのはそういうこと。それだけじゃないけどね。

私はね、思うんだよ。大事なのは過程じゃなくて結果なんだって。結（むす）ばれちゃえばいいんだって。それをどう意味付（いみづ）けするかは後で考えればいいことなんだよ。

今は私のことで頭がいっぱいなんだから……ね？

勢いに任せるのが怖い？　でも、いけるときにいかないともっと怖いかもしれないよ？

私のことを好きになるのも怖いの……？　怖いのいっぱいだね？　でも大丈夫、怖くないよ。私がきみを愛してあげる。愛してるから。私のことを好きになってくれたら、それから先は怖いなんて思わせないから。

私を信じて。私に溺（おぼ）れて……？

（ベッドに押し倒され）
んっ……性欲を抑えきれなくて私のことを押し倒したきみのことも含めて、きみのぜんぶを愛してあげる。手錠も外していいよ。こうなったときのための用意もしておいたから、きみはきみのままで良いんだよ……？

私だけを愛してね？　いっぱい愛して。

（聞こえるか聞こえないかくらいの小声で）
……ほんとは何も入れてなかったけど。

・台本（ゆるボイ！）
結果的にヤンデレ同級生と結ばれて果てるバレンタイン
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
白上