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【女声1名】昭和に死にたかった
written by ニクキューP
  • お嬢様
  • ヤンデレ
  • 友達
  • メンヘラ
  • 清楚
  • 切ない
  • 歴史
公開日2023年10月28日 22:53 更新日2023年10月28日 22:53
文字数
2409文字(約 8分2秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
昭和に生きたかった平成生まれの女子
視聴者役柄
女の子の友達
場所
自分の部屋
あらすじ
私は昭和に死にたかった。
不便な時代に。

令和を、平成を知りたくなかった。
私は、平成と言う時代に生まれ、令和と言う時代に育っている、生かされてしまっていることに、深く激しい嫌悪感を抱いている。

祖母の話を聞いて、不便な時代、昭和に憧れる女の子の話。
本編
 ――タイトル:昭和に死にたかった。
 ――想定:お祖母さんが大好きで冷静沈着な女子高生。(低音気味)
 ――朗読スピード:全体的に、ゆっくり間を取って読んでください。

 ――(本文開始)

私は

 ――(間)

昭和に死にたかった。

 ――(間)

不便な時代に死にたかった。

 ――(間)

何故、私は平成と言う時代に生まれ、令和と言う時代に生きているのか。

全く持って意味が分からない。

 ――(間)

昭和が良かった。
昭和に生まれ、昭和に死にたかった。

常々思っている。

 ――(間)

お祖母《ばあ》様から聞いた昭和という時代。

まだ、スマホが、インターネットが存在しなかった時代。

連絡手段が、手紙、固定電話しか無かった時代。

アニメや漫画で未成年が煙草を吸う描写が
読者に受け入れられていた時代。

もし、今の時代に、少年が、少女が、煙草を吸う描写がアニメや漫画、そして小説に出てきたら……


私の親世代が、「子供に悪影響を及ぼす」と
血相を変えて出版社に乗り込むことだろう。

 ――(間)

いや、それが悪いこととは思っていないし、言ってもいない。

否定はしない。
肯定もしないけれど。

今は、そう言う時代なのだから。

ただ。
ただ、それが私には、とても窮屈に思えるのだ。

 ――(間)

そう考えると、私は昭和に向いていたと思うのだ。

不便に趣《おもむ》きを、美を感じる私の脳は、むしろ昭和向きなのだと。

令和になって、世の中が、どんどん便利になっていく。

それは、とても喜ばしいことなのかもしれないけれど。

 ――(間)

反面、その便利さを悪用し、サイバーテロや、環境問題が発生している事実。

インターネットなんて言葉自体が無かった昭和に、サイバーテロなんて起こる訳が無い。
キャッシング詐欺なんて起こるわけが無い。

X《エックス》や、ユーチューブで炎上して、配信者が自殺することも無い。

 ――(間)


お祖母様は言う。

今は、スマホで少し検索すれば答えが出るけれど
昔は、わからないことがある度に、図書館まで
わざわざ自転車を漕いで調べに行かなければならなかったと。

電話1つかけるにしても、自分の手で、ボールペンで書いたアドレス帳を開いて、電話をかける必要があった。

だから、良く掛ける電話番号は、全て暗記できていたと。

今ならスマホに登録されている名前を指定すれば一発で相手につながるのだ。
便利な時代……脳を使わない時代になったものだ。

 ――(間)

そう言えば、電話の話が出たときに
お祖母様は笑いながら私に教えてくれた。

 ――(間)

それはまだ、お祖母様が女学生と呼ばれる時代まで遡《さかのぼ》る。

 ――(間)

お祖母様が女学生の時、当時の恋人が電話を掛けてくる。

 ――(間)

昔とは言え、お祖母様に、お祖父様《じいさま》以外の恋人が居たなんて、少し違和感を覚える。

少し考えたら当然なことなんだけれど。

 ――(間)

ごめんなさい。
話が少し[[rb:逸 > そ]]れちゃったね。

お祖母様の当時の恋人から電話がかかってくる。

もちろん、自分用の電話なんてない。

恋人が、電話を掛けてくる。
固定電話、家族と共用の電話に。

そう言う時に限って、恋人からの電話に、
お祖母様のお父様、つまり、私の:曾祖父様《ひいおじいさま》が
電話に出てしまって、

「どこぞの馬の骨が」

と一刀両断、電話を切られてしまったことがあるそうだ。

お祖母様は、曾祖父様から、恋人からの電話を切ってやったと言う話を聞いて、
悲しみにくれてベッドの上に平伏せ枕をずぶ濡れにする程に大泣きしたそうだ。

今となっては笑い話だけれど、当時のお祖母様は、大層傷つき悩んだらしい。

 ――(間)

その話を聞いて私は、お祖母様の生きてきた時代を、とても羨ましく思ったものだ。

 ――(間)

私は、お祖母様の昭和の話を聞くのが好きだ。大好きだ。

不便が人を成長させていた時代。

今、令和の時代は頭を使わなくても、まあまあ普通に生きていけるのだ。
頭は使わないと劣化する。

一部の頭の良い人たちが便利な機械を作って、凡人に提供する。

凡人たちは頭の良い人が作った機械を買って、使って、
さも自分が頭が良くなったと、思い違いするのだ。

頭が良いから便利な機械に対応できていると勘違いするのだ。

そうして、凡人の脳は劣化していくのだ。

 ――(間)

私自身劣化している。
ボロボロだ。

毎日死にたいとさえ願っている。

私が昭和に生きていたらどうなっただろう。

やはり死にたいと思う気持ちは変わらないだろうか。

昭和に生きていたら、違う自分になれたと思うのは、単なる思い過ごしだろうか。

都合の良い考えだろうか。

  ――(間)

仮に今、タイムスリップできたとして、便利な令和の時代を知ってしまった私が昭和を生きていけるかと言うと、正直、首を傾げるところもある。

それは認める。

けれど。
平成を知らなかったら、令和を知らなかったら。

それなりに前向きな人生を歩めたのでは無いか。

つくづく思うのだ。

 ――(間)

昭和に生まれ、昭和で死にたかったと。

不便な時代に、スマホを知らない時代に生きたかったと。

 ――(間)

私もお父様から彼氏からの電話を「どこぞの馬の骨」と叱られたのかな。

そう思うと少し微笑ましいなって思える。

もし、私と彼氏が昭和の時代に生きていたら。

 ――(間)

彼氏は私に電話してくれるかな。

お父様が電話に出ないようにドキドキしながら、彼氏が私の家に電話するの。

なんて素敵なのだろう。

現実逃避と言われたら、何も言い返せないけれど。

 ――(間)

私は、お祖母様から昭和の話を聞くのが大好きだ。
お祖母様と顔を合わせた瞬間、私は「昭和の話を聞かせて」とおねだりするのだ。

そして、不便だけれど、幽美《ゆうび》で輝かしい時代をお祖母様と共有する。

お祖母様が空《くう》を見て、懐かしみながら話す様子を見て私は思うのだ。

令和を知りたくなかったと
薄汚い人間達が集まる令和を知りたくなかったと。

 ――(間)

私は思う。

 ――(間)

スマホの無い、
SNSの無い、
インターネットの無い、
電子マネーの無い

そして…...

不便がある

 ――(間)

昭和に生まれて

 ――(間)

昭和に生きて

 ――(間)

死にたかった、と。

 ――(間)

終演:
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【女声1名】昭和に死にたかった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ニクキューP
ライター情報
猫と初音ミクを溺愛しているライターです。
コメディ、日常、メンヘラ、そして百合&ライトBL
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