0
そもそも年の瀬ってなんなのさ【女声2名】
written by ニクキューP
  • 百合
  • からかい
  • 読み聞かせ
  • 雑学
  • 女子高生
公開日2023年12月30日 13:53 更新日2023年12月30日 13:53
文字数
4767文字(約 15分54秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
2 人
演者役柄
女子高生
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
百合シナリオのスピンオフ。

美少女ロボ「みかん」が人間界の言葉『年の瀬』について調べています。双子の姉(と言う設定)のあかねに聞いてみますがわかりません。『年の瀬』の語源とは?

本編「私がロボって言うのは秘密です。そう言う設定にしなさいって博士が言ってた。」のスピンオフ。
僕っ娘百合っ子アンドロイドみかん、腐女子あかね。だからってSFとか全く関係ないし、本編読んでなくても全く問題なっしんぐ!

なんなのさシリーズ
『そもそも百合ってなんなのさ』に続く2作目!

あかね
 胡桃沢《くるみざわ》あかね。高校一年生。
 成績優秀、品行方正、文武両道のパーフェクトな女の子。

 腐女子と言うことが、みかんにバレてしまうが、周囲は言わないと約束してくれた。

 ただし、交換条件で、みかんが住みやすくなる環境づくりを約束させられる。

 ……という設定だけど、今回は全く関係ありません。

みかん(ロボ 語り部兼任)
 突然、マンション5階のあかねの部屋に押し入った美少女アンドロイド
 表情、口調にロボ感は無く、普通の女の子と見分けはつかない。
 そして、話す言葉はアホっぽい

 ……というロボ設定だけど、今回は全く関係ありません。
本編
★★ 文中の「……(カギ括弧)」は会話。
★★ それ以外は、語り(みかん担当)


みかん:人間界じゃ今の時期を『年の瀬』って言うみたいなのだ。
みかん:僕には、よーわからんぽいぽいっ!

みかん:ついこの前までハロウィイイイーーンだーっ!
みかん:仮装して渋谷に乗り込むぜぇえぇ!

みかん:とか騒いでいたくせに、次はクリスマスだぜぇ!
みかん:クリパだぜぇパリピだぜぇ!!

みかん:とか言って世間は浮かれてたよね。

みかん:人間って、ほむとーに節操《せっそう》ってもんがないよなー。
みかん:やれやれだ。

みかん:今は今で、年の瀬だぁ!
みかん:今年もお世話になったじゃん!

みかん:初詣行こーぜーいえいっ!

みかん:なんつって騒いでるしなー。

みかん:人間ってよーわからん。

あかね:「みかんっ! なにブツブツ言ってるのよっ?! うるさいなあ……」

みかん:「おおっ! あかねちん! 僕は今、『人間とは』って哲学を考えていたのだよー」

あかね:「……絶対嘘でしょ。」

みかん:あかねちんは、高校一年生で、いわゆる現役ぴちぴちJKなのだ。

みかん:頭もスゲーいいんだよ!
みかん:それで僕は、あかねちんと二卵性の双子って言う設定なのだ。

みかん:ちな、僕はロボで、僕を作った博士が設定したんだ。

みかん:え、日本語おかしい?
みかん:まあロボだから細かいことは気にしちゃダメだよてへぺろ。

みかん:「時にあかねちん、もうすっかり『年の瀬』だねえ……」

あかね:「えっ……急に何よっ?! みかんらしくもない」
みかん:「いやいや、ことおせ。らいよろ。てへぺろ」

あかね:「こと……おせ、なに?」
みかん:「ええ?! あかねちん、ことおせらいよろ知らないの?! 今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。だよ。」

あかね:「あ、ああ……こちらこそ、お世話になりました。って、そんな言葉聞いたことないわよ。」
みかん:「そうか。最近の女子高生は、ことおせらいよろ使わないのか。さすがアラフォー博士が作ったデーターベースだ。おっさんくさい」

あかね:「(笑いながら)なにそれ?」
みかん:「まあ、おっさんのことは気にしなくていいよ。」

あかね:「自分の生みの親に酷《ひどい》いこと言うわね。ところで急に年の瀬とか言ってどうしたの?」
みかん:「いやさ、人間界って、色んな行事があって大変だなって思ったのだ。はろういんでしょー、くりすますでしょー、あとはお正月!」

あかね:「人間界とか、急にロボ感出すわね。確かに日本は色んな国のイベントを取り込んで節操《せっそう》無いって言えば無いわよね。」
みかん:「節操無いとか、どいひーっ! そこまで僕は言ってないよ。あはははは」
みかん:
あかね:「自分から言わせておいて何よっ! ていっ!」
みかん:「いてっ!」

みかん:あかねちんから、デコピンされた痛い。
みかん:……なんつって、痛いと言っても知識で言ってるだけだけどね。てへぺろ

みかん:「で、繰り返すけれど、時にあかねちん。『年の瀬』って何かね?」
あかね:「その『時に』ってフレーズ気に入ってるの? 年の瀬って、確か年末のことでしょ……?」

みかん:「だったら、そんな遠回しな言い方しないで『年末』って言えば良くね? 4文字ですむやん。『年の瀬』って5文字やん。」

あかね:「そんな私に言われても知らないわよっ! そもそもJKは年の瀬なんて言葉使わないし!」
みかん:「ふおっ! 言い切った!! むしろ開き直った!!!」

みかん:あかねちんに男らしく言い切られてしまったから、しょうがない自分の脳内コンピューターで調べよう。
みかん:最初から自己完結できたのだけれど、あかねちんの見解も知りたかったからね~てへぺろ。

みかん:JKが『年の瀬』って言葉を使わないとは知らなんだ。
みかん:しょうがない。自分で調べるか。

みかん:ぴぴぴぴぴっと
みかん:お。でたでた。さすが僕。

みかん:年の瀬の『瀬』は、『川の瀬』から来ていると。

みかん:ふむふむ。もっとわからなくなったぞ。あはは。

みかん:川の瀬も調べなきゃいけないジャマイカ。めんどくさっ

みかん:ぴぴぴぴろっと
みかん:川の瀬は、くねくねと捻《ね》じ曲がった川の流れが速くて水深が浅いところ……

みかん:ふーむ……
みかん:歩いて進むのが難しい危険な場所。

みかん:で、何で『川の瀬が、年の瀬』に転じたんだろーってことだよにぇ。

みかん:なになに……?
みかん:ほええー!

みかん:江戸時代まで遡《さかのぼ》っちゃうんだっ……!
みかん:35歳の素人童貞クソニートの博士も生まれてない時代からある言葉なのか!

みかん:……ん?
みかん:僕なにか余計なこと言ったかな……ま。いっか。

みかん:えへ。話を戻そう。
みかん:江戸時代は、会計がツケ払い……借金が当り前だったんだって!
みかん:飲み屋さんで博士みたいなおっさんが『じゃあドロンするから、ツケといて。』が常《つね》だったってことかー。

みかん:毎回借金はだめだろー……ご利用は計画的にってヤツだよ!
みかん:借金、ダメ、絶対!

みかん:その江戸時代は、年末が借金の清算《せいさん》時期。
みかん:つーまーりー年末までに借金を支払う必要があると言う。

みかん:だから、今までのツケの清算で一気にお金なくなっちゃうとな。

みかん:この寒い時期に食べるもの、寒さをしのぐものが買えなくなっちゃって、命を落としかねないらぴい。
みかん:ひええ……こええ……

みかん:僕なら、あかねちんの『おっぱい充電』で何とかなるけれど、そこらへん人間って不便だよね。あはは。

みかん:ちな、『立つ瀬がない』の瀬も同じ川の瀬から来てるみたいだよー!

みかん:……ん?
みかん:なになに?

みかん:所説あり。

みかん:先に言ってくれよん!
みかん:まあ……何となくだけれど、年の瀬の意味、わかったからいっか。

あかね:「……かん! みかんっ!!」
みかん:「ほえ……?」

あかね:「ほえって、みかん、目が真っ黒になってたわよ! 大丈夫なの……?!」

みかん:いけねーいけねー。
みかん:あかねちんをほったらかしにしてたの忘れてたよ。

みかん:あかねちんてば、僕の目の前で手をブンブン振ってるし。
みかん:ウケるー。どうやら、僕が故障したのかと心配されたらしい。
みかん:あかねちん優しいなあ……

みかん:「あーうん。ちょっくら『年の瀬』調べるのに脳内さーちしてたもんで。てへぺろ」

あかね:「何よ? 自分で調べられるなら、最初からそうしなさいよねっ!」

みかん:「そりゃそーだ。てへぺろ」

あかね:「まったくもう……! ところで『年の瀬』って何だったのよ。」

みかん:僕は、あかねちんに『年の瀬』の意味をカクカクシカジカとわかりやすく教えてあげたのだ。
みかん:偉いぞ僕。

みかん:あかねちんは、僕からの説明を聞いている間、フンフンと手を顎《あご》にあてて頷《うなず》きながら偉そうに聞いていた。

みかん:まったく、知らなかったくせに何だその態度はああっ!

あかね:「ふーん。なるほどね。今は『すっかり年の瀬ですねー』なんて、気軽に使っているけれど、昔の人は、それこそ命がけってことだったのね。」

みかん:「金の切れ目が縁の切れ目って言うしねーあはは」

あかね:「あなたから、そんな言葉出てくるとは思わなかったわ。」
みかん:「てへへ。なんせ僕を作った博士、アラフォーへのカウントダウン始まっちゃってるからさあ……おっさんの知識が僕の脳内に……ってキモっ!」

みかん:あ、ちなみに僕を作った博士は、御年《おんとし》35歳「彼女居ない歴=《イコール》年齢」の素人童貞クソニートだお。『素人童貞』ってところがまたキモいよね。あはは。

みかん:だから、僕のAIは、おっさんデータが多くインプットされているのだ。
みかん:JK想定の僕からしたら良い迷惑なのだ。迷惑なのだ!
みかん:……なのだ!

みかん:そんなことを考えていたら、あかねちんは溜息《ためいき》をつきながら呆《あき》れるように呟《つぶや》いた。

あかね:「はああ……大晦日《おおみそか》かあ。もう1年終わっちゃうのね。来年は良いことあるとあるといいな。」

みかん:「ふえっ?! 『来年は』だと?! 今年だって良いことあったじゃまいか!」

あかね:「え? 何よ。」
みかん:「もち『僕と出逢えた』ことだよ。これ以上の良いことないない!てへぺろ」

みかん:僕の言葉を聞いて、あかねちんは目を丸くして驚いている。
みかん:そんなにビックリすることを言ったつもりは無いのだけれど……ひでえぜ。あかねちん。

みかん:それで、あかねちんは上を向いて、首を傾《かし》げるように考えてポツリと呟《つぶや》いた。

あかね:「ま、無くは無いか……」
みかん:「おおー! あかねちん大好き!」

みかん:僕は、あかねちんに向けて思いっきり飛びつき、ギュッと抱きしめた。
みかん:何だかんだ言って、あかねちんと僕は相思相愛《そうしそうあい》なんだな。えへへ。

あかね:「まったくね。突然できた大事な双子の妹、大事にしなきゃね」
みかん:「わーい!」

みかん:あかねちんは、僕の頭を優しく撫でてくれたのだ。
みかん:僕は尻尾《しっぽ》を振る仔犬みたいに、あかねちんに抱き着きながら、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。

みかん:そんな僕に向かって呆れたように、でも笑いながら本当のお姉ちゃんみたいに優しく窘《なだ》める。

あかね:「ちょっとー大袈裟《おおげさ》だよっ! 本当に困った妹だわ。」
みかん:「ぷへへ。僕だって、あかねちんと出逢えて嬉しいよ。」

あかね:「はいはい。来年もよろしくね。」
みかん:「うん! 来年もよろしくするよ!」

みかん:あかねちんは顔を赤く染めながら、聞き流すかのように相槌《あいづち》を打ったのだ。
みかん:まったく、素直じゃないなあ……

みかん:博士の気まぐれで出会った僕たち2人……じゃないか、1人1ロボだけれど、博士には感謝してあげよう。
みかん:そして、あかねちんと僕は見つめ合って、顔を少しずつ近づけて……優しくキスを……

あかね:「……しないわよっ!!」
みかん:「なんだよーあかねちん! 連《つ》れないなあ……ぶー」

みかん:僕の頬《ほほ》を手で押して思い切り拒絶するあかねちん。
みかん:ひどいなあ。でもでも、ほんのりと頬《ほほ》が朱《あか》みがかってるのを僕は見逃さないのだ。
みかん:僕のこと大好きなくせに素直じゃないなあ……

みかん:まあ、今日はこれくらいで勘弁してやんよ!

みかん:ゴーン、ゴーン

みかん:お、何やら鐘の音が鳴ってる! こんな夜中に鐘を連打するとか近所迷惑じゃまいか!!

あかね:「あ、除夜《じょや》の鐘《かね》だね!」
みかん:「ほよ……? この鐘は近所迷惑じゃないのかい?」

あかね:「何言ってるのよ! むしろありがたーい鐘なんだよ。でも確かに一部の人は『うるさいからやめろー』と言ってるけどね。私は好きだな」

みかん:「ふーん……」

みかん:わかったような。わからないような……
みかん:本当に人間って面倒なんだなあ……

みかん:博士が引きこもりになったのも、ほんのちょっぴりわかる気がするよ。

お母さん(あかね2役):『おそば出来たわよーっ!』

あかね:「あ、みかん! お母さんが年越しそばが出来たって、呼んでるよ!」
みかん:「年越し……そば……なに?」

あかね:「細く長ーく長生きできますよーに。って願いを込めて食べるんだよ」
みかん:「ふーん……」

みかん:長生きも何も、僕はロボだから関係ないのだけれどな。
みかん:でも僕、おそば好きだからいいや。てへぺろ。

あかね:「ほら! みかん早く!」
みかん:「ほーい」

みかん:あかねちんから手を引っ張られてキッチンに向かう。
みかん:なんか、こう言う何気ない、ひとつひとつのことを、幸せって言うのかな。

みかん:来年も同じように、あかねちんと年越しそば食べられたらいいなあ……

みかん:うん。

みかん:あかねちん!
みかん:来年も、再来年も、再々来年も、ずっとずっとよろしくなっ!

 ――(間)
みかん:おしまい。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
そもそも年の瀬ってなんなのさ【女声2名】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ニクキューP
ライター情報
猫と初音ミクを溺愛しているライターです。
コメディ、日常、メンヘラ、そして百合&ライトBL
ゆるふわ台本多め
有償販売利用の条件
基本的に当サイトの利用規約に準じます。
クレジットに「ライター:ニクキューP (Twitter: @tomox9209)」の明記をお願いします。
利用実績(最大10件)
ニクキューP の投稿台本(最大10件)