0
メンヘラガール魔鈴(まりん)ちゃんR~ワタルの場合~【男2女2不問1】
written by ニクキューP
  • からかい
  • 罵倒
  • ヤンデレ
  • メンヘラ
  • サディスト
公開日2023年12月30日 14:20 更新日2023年12月30日 14:20
文字数
9266文字(約 30分54秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
5 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
まりんは貧乳だ。
貧乳だって男にモテるのだ。

あのメンヘラガールまりんが
みんなの期待に応えて帰ってきた!

世の中、情けない男が多すぎる。
貧乳美少女まりん、男を金ヅルとしか思っていない。
今日は、どんな手を使って男から金を奪うのか……!

まりん
星屑《ほしくず》まりん
高校二年生

 まりんは萌え声で男を魅了する。
 だがしかし、あるキッカケでキャラ豹変《ひょうへん》しドスのきいた声に変化《へんげ》する。
 彼女の脳内は、ちょろ男から金を搾り取ることのみである。
 そして、マモルのことが好き……?

ワタル
 グッズのコレクター(社会人)
 コレクションで1部屋埋まり、高額商品が並んでいる。

マモル
 まりんの同級生。絵にかいたような理系メガネ男子。
 理路整然と自信を持って話をする。
 そして、まりんのことが好き……?

リコ
 中学生。なのに巨乳。
 マモルの妹、かつ異常なほどにブラコン。
 ※まりんはリコのことをマモルの彼女だと思っている。

語り部《性別不問》
この物語のストーリーテラー
物語の中での配分が圧倒的に多いです。

リズミカルに面白おかしく解説をお願いします。
この物語を面白くするかどうかは、語り部にかかっているので、できるだけ前読みしてください。
本編
 ――まりんの萌え声からスタート
まりん:うーれーしーいー……にゃん!

 ――大事件が起きた体《てい》で。
語り部:ヤツが……帰ってきた。

まりん:やめてよー、でもありがと。
語り部:ヤツが。

まりん:好きになっちゃいそう……
語り部:帰ってきたのだ。

 ――(間)
語り部:彼女の名前は、星屑《ほしくず》魔鈴《まりん》。
語り部:そのキュートな顔と身体で、数々の男達を魅了する。
語り部:ちなみに、キュートなのは胸も同様。

語り部:そう、星屑まりんは貧乳だ。
語り部:だがしかし、その貧乳を逆手《さかて》に取り、色仕掛《いろじか》けで男達を魅了する。

語り部:金のためなら手段を選ばない。
語り部:それが星屑まりんなのだ。

 ――間
まりん:こんにちはー! まりんだにゃん!

 ――間
語り部:ここは、60階建ての高層マンションのエントランスだ。
語り部:まりんは、カメラ付きのインターフォンに向けて挨拶をしている。

ワタル:やあ、いらっしゃい。今開けるから待ってて。
まりん:ありがとにゃん!

語り部:暫く待つと自動ドアが開いた。
語り部:まりんは、キョロキョロと周りを眺めながら、中に入る。

まりん:こんにちは!
語り部:まりんは、受付に座っているコンシェルジュ、つまり受付嬢に挨拶をしてエレベータに向かう。

まりん:なんだこれ? どれがどれだかわからねーぞ?

語り部:エレベーターは二手《ふたて》に分かれて、それぞれ6基ずつ、併せて12基ある。
語り部:この中から、ワタルの家に続くエレベーターを選択しなければならないのだ。

語り部:だがしかし、機械オンチ、で、かつ方向オンチのまりんは、どのエレベーターに乗って良いのか、さっぱりわからないようだった。

語り部:まりんは、ちょうど近くに来たサラリーマンに萌え声で、問いかけた。

まりん:あのーすみませーん!
まりん:まりんー、60階に行きたいんだけどぉ、どこに行けばいいのかにゃん?

語り部:にゃん?
語り部:何言ってくれちゃってるんだよ!

語り部:目上の人には、敬語を使え!

語り部:お前、マジぶん殴《なぐ》んぞ。

 ――間
語り部:コホン……失礼。

語り部:ところが、当のサラリーマンは怒ることなく、むしろデレデレと鼻の下を伸ばし、右手にあるエレベーターまで、まりんをエスコートする。

語り部:ちなみに、すぐ近くに目的のエレベーターはある。むしろ今見えている。徒歩5秒だ。
語り部:もっと言えば、サラリーマンは指をさすだけで十分なのだ。試合終了なのだ。

語り部:だがしかし、サラリーマンは一緒に行きますよ。
語り部:なんて、下心みえみえで、まりんをエレベーター前まで案内するのだった。

まりん:ありがとうございますぅ! お兄しゃま優しい!
まりん:まりん、まりんー優しい人……しゅき……

 ――叫び気味に。
語り部:で、でたーーー!
語り部:男心をくすぐる舌足《したた》らずな口調!
語り部:「好き」では無い「しゅき」なのである。
語り部:言えてねーじゃねーか!

語り部:なんだそれ、かわいすぎるだろ!

語り部:サラリーマンの顔が、みるみると崩れていく。

語り部:まりんの萌え声に、サラリーマンはメロメロだ。

語り部:大丈夫だ安心しろ。

語り部:お前は、名も無い、ただのモブキャラだ!
語り部:名前なんてつけてやるもんか。

語り部:お前なんて「おっさんA」で十分だ!
語り部:だがしかし、自分の立ち位置を理解していない「おっさんA」は、何か言いたげに挙動不審《きょどうふしん》な態度を取っている。

語り部:どうやら、まりんのことを誘おうとしているようだ。

語り部:何してるんだ、この野郎!
語り部:お前はタダのモブキャラだと言っているだろうが、ナンパしてんじゃねーぞ!
語り部:このロリコンくそおやじが!!

語り部:そんな語り部の声が届く訳もなくサラリーマンの手が、まりんの肩にのびていく。

語り部:おっ、おおおっ!!

語り部:これは、まりんピンチだ!

語り部:まりんの肩まで、30cm、10cm……5cm
語り部:そして、ついに1cm……

語り部:まりん、危ない……!


まりん:あ、エレベーターきたにゃ!
まりん:ありがとにゃん!

語り部:まりんは、サラリーマンの手をすんでのところでスッとかわし、エレベーターに乗り込むと
語り部:くるりと向き直り、サラリーマンの方を笑顔で見ながら、左手で可愛く手を振った。

語り部:サラリーマンも嬉しそうに、だらしない顔で鼻の下を伸ばし手を振り返す。
語り部:きもい。

語り部:カチャカチャカチャカチャ……
語り部:ん、なんだ? この音は。

語り部:まりんは、左手で手を振り、右手では、エレベーターの閉《しまる》ボタンを連打していた。

語り部:さすが、まりん。性格悪いこと、この上ない。

まりん:ったく、おっさんに無駄な愛想を振りまいちまったな。

語り部:まりんは、悪態《あくたい》をつきながら60階のボタンを押す。

り部:ほとんど揺れずにスーッと昇っていくエレベーター。
語り部:さすが最新式だ。

語り部:ノンストップでマンション最上階の60階に到着。

まりん:えーっと、6001号室……どこだよ? めんどくせーな。
まりん:俺がワザワザ来てやってるんだから迎えに来いっての。

語り部:まりんは毒づきながらマンションの案内図を見て、目的の部屋を探した。

まりん:えーっと、6001と。ここか。遠いなー。

語り部:文句を言いながらフロアを進み、6001と表示のある扉の前に、ようやく辿《たど》り着く。

まりん:はあ、来るだけで疲れた。元取らないとやってられねーな。

語り部:まりんは、ドアの横にある表札を確認し、インターホンを押す。

ワタル:はーい。

まりん:ワタルきゅん、お待たせにゃん! まりんだにゃん!

ワタル:オッケー。ちょっと待ってて。

語り部:少ししてカチャリと鍵をあけた音が聞こえ、扉が開いた。

ワタル:やあ、いらっしゃい。良く来たね。

まりん:まりんだって、これくらい出来るよっ! ぷんぷん!

ワタル:はははは! それは失礼したね。さあ、入って入って。

まりん:わーい! お邪魔するにゃん!

語り部:まりんは、マンションのエントランスまで、自分のことを迎えに来なかったワタルに内心イラついていたが、そんなことをおくびにも出さずにニコニコと部屋に入って行く。

語り部:って、ちょっと待ってくれ?!

語り部:見たところワタルは一人暮らし。
語り部:これは明らかに危険なシチュエーションだ。

語り部:一人暮らしの男の部屋に自分から飛び込んでいくなんて、何があっても文句は言えないぞ!

語り部:危ないぞ!
語り部:戻るなら今のうちだ!
語り部:早く引き返すんだ!

ワタル:どうぞ、ゆっくりしていってくれたまえ。

まりん:ありがとにゃん!

語り部:ワタルは、笑いながらドアの鍵を閉める。

語り部:「カチャリ」

語り部:これ、絶対ヤバいヤツである。
語り部:犯罪の匂いしかしない。

まりん:いっぱい部屋があるにゃあ……すごいにゃー。ところで、まりんは、ドコに行けばいいにゃん?

ワタル:まりんちゃんが見たいと言っていた部屋は、奥から2つ目のドアだよ?

まりん:わーい! ワタルくんのコレクションルームだにゃん!

ワタル:はははっ! コレクションと言うほどでは無いよ。ただの物置さ。さあどうぞ。

語り部:ワタルは笑いながら部屋の扉をあけ、まりんの背中を優しく押してエスコートした。

まりん:うわああああああっ! すごいにゃー! これみんなワタルきゅんが集めたの?!

語り部:部屋の中を見て、まりんは驚きの表情を見せる。
語り部:そこには、数え切れないほどのコレクションが並んでいた。
語り部:フィギュアが大半を占め、所狭《ところせま》しと、ひしめき合っている。

まりん:ワタルきゅん、カバンここに置いて良いかにゃー?

ワタル:もちろん良いよ。

まりん:ありがとにゃん!

語り部:まりんは、カバンを床に置き、スマホをカバンのポケットに入れると、すぐショーケースに張りついた。

まりん:これかわいい!

ワタル:あ、それは、ペリキュアのフィギュアだね。手に入れるの苦労したんだよ。

まりん:すごいにゃー。このガラスのプレートに入っているカードはなんにゃ?

――お遊戯王《おゆうぎおう》は誤字ではありません。パロディなので、そのまま読んでください。
ワタル:トレーディングカードだよ。お遊戯王のカードは世界中で人気なんだ。

まりん:そうなんにゃ! ちなみに、おいくらまんえんするのかにゃ?

ワタル:ピンキリだから何とも言えないなあ……

まりん:ふーん……
まりん:それでワタルきゅんのコレクションで一番高いのは、どのくらいの値段にゃのかにゃあ……

ワタル:うーん……ちょっと言えないなあ……まあ、自動車が買えるくらいかな。

――まりん 地声に戻る
まりん:ふーん……

語り部:まりんは、顎《あご》の下に手を当てて、考える素振りそみせた。
語り部:そして、口角をあげてニヤリと笑う。

語り部:ま、まさか、まりん、悪巧《わるだく》みを思いついたのか?
語り部:まりんは、ワタルの正面に立ち、ワタルの顔を覗き込んだ。

まりん:ワタルくんって、すごいんだにゃー。

ワタル:うっ! そ、そうか、な……あはは

語り部:ワタルの視線は、まりんの顔……を通り越し、胸元へ。

語り部:まりんは例によって、、胸元が大きく開いた服を着ている。
語り部:貧乳のくせに……だ。

語り部:いや、貧乳だからこそ、と言うべきか。

語り部:胸元からはピンクのブラが見え隠れする。
語り部:エロい。貧乳のくせにエロい。

語り部:ワタルの手がワナワナと震えている。
語り部:あらゆる欲望を抑えているようだ。

語り部:一方、小悪魔のように微笑《ほほえ》むまりん。

語り部:ワタルは、その微笑みに釘付けになった。

語り部:すると、ワタルの手が、まりんの腰に伸びる。

語り部:が、まりんは振り返り、再び別のコレクションを物色した。
語り部:ワタルの手の行き場が無くなったことなんてお構いなしだ。

語り部:それともまりんの思惑通りの行動か……?

まりん:あ~! あの棚の一番下に置いてあるのは何かにゃあ……?

ワタル:あ、う……えっと、それは、ブリキのおもちゃだね。50年前に販売されたもので、今でも動くんだよ。

まりん:わー! すごいにゃー! どれどれー? よいしょ。

語り部:ショーケースの一番下の棚が見づらいのか、まりんは四つん這いになって、コレクションを眺めた。
ワタル:うっ……!

語り部:思わずうめき声をあげるワタルに、まりんは首を傾《かし》げる。

まりん:どうしたのにゃ? ワタルきゅん。

ワタル:い、いや、なんでもない……よ。

語り部:まりんは、四つん這いのまま、顔だけ振り返り、不思議そうな顔でワタルのことを見つめた。

語り部:一方、ワタルの額からは、脂汗《あぶらあせ》が流れ出る。

語り部:まるで何かと戦っているかのようだ。
語り部:何故か。答えは簡単である。

語り部:今日のまりんのスカートは、フリフリのミニスカート。

語り部:そんなスカートを履《は》いて、四つん這いになられた日にゃあ、チラリチラリとパンツが! パパパ、パンツが! おパンツがっ!

語り部:見え隠れするわけである。

語り部:こんなシチュエーションで動揺しない男の方がおかしい。
語り部:おかしいのだ!

まりん:本当にどうしたのかにゃ? 体調悪いのかにゃあ……?

語り部:まりんは心配そうに、引き続き四つん這いのまま、ワタルの顔を見る。

語り部:いや、お前のせいだろ!
語り部:立ち上がれ! 今すぐ立ち上がれ!

語り部:少なくともそれまでは、ワタルの脂汗は止まらないぞ!
語り部:ワタルが立つとしたら、別の所であ……コホン、失礼。

語り部:ワタルの目が、まりんの顔と、まりんのスカートの間を行ったり来たりしている。

まりん:ワタルきゅん、へーんなの!

語り部:まりんは、再びショーケースの方に向き直った。

まりん:わー! すごーい! これ動くんだー!

語り部:まりんは、すっかりワタルのコレクションに夢中である。
語り部:一方、ワタルの方は、まりんのスカートに夢中である。

語り部:見えそうで見えないチラリズム。

語り部:むしろ、丸見え状態より、人間の本能を煩悩を刺激するのだ。
語り部:そして、タガタと震え出すワタル。

語り部:手を堅《かた》く握《にぎ》り、何かを我慢《がまん》しているようだ。
語り部:手がガタガタと震え、顔がどんどん赤くなっていき……そして、

 ――(間)
ワタル:ま、まりんちゃんっ……!

語り部:なんと、ワタルが、まりんに襲いかかったのだ!

まりん:きゃあ!! やめて! ワタルきゅん!

語り部:後ろから覆いかぶさるワタルに抵抗するまりん。
語り部:いやこれ、本気でヤバいやつだろ。

ワタル:ま、まりんちゃん、ボク、ボク……!

語り部:まりんの背中に顔を埋めるワタル。
語り部:こ、これは、まりんピンチだ!
語り部:だから、男の一人暮らしは気をつけろとあれほど!

――まりん 地声に戻る。
まりん:はーい。そこまでねー。よいしょっと。

ワタル:え、あ、いたたたたた!

語り部:なんと、まりんはワタルの腕を捻《ひね》り関節技を決めたのだ。
語り部:そして、唖然《あぜん》とするワタルを尻目に、すっと立ち上がり、カバンのポケットにしまっていたスマホを取り出した。

語り部:取り出したスマホを器用に操作して、ワタルに画面を見せつける。

まりん:わたるきゅーん。これーおまわりさんに見せたらどう思うかにゃあ……?

ワタル:え、え? まりんちゃん。何で?

まりん:なんか、「たまたま」スマホで動画を撮ってたみたいでー。まりんもびっくりだにゃん!

語り部:そ、そんなことある訳ないだろう!
語り部:スマホに映った動画は、しっかりと、四つん這いの まりん越しにワタルの全身がしっかり映っている。
語り部:カバンのポケットにスマホを入れたのは、犯行の一部始終《いちぶしじゅう》を撮影するためだったのだ!

語り部:まりん捨て身の攻撃、執念に、恐怖すら感じる。
語り部:ワタルは、まりんに懇願《こんがん》する。

ワタル:た、たのむ……削除してくれ!
まりん:ええー、どうしようかにゃー、あはははは!

語り部:まりんは鬼の首を取ったように笑った。
語り部:小悪魔ではない。もうここまできたら悪魔と言っても過言ではない。

ワタル:お願いだ! 何でもする!

――まりんの声が大人っぽく妖艶《ようえん》になる。
まりん:ふーん……何でも、かあ……どうしようかなあ……どうするー? きゃははは!

語り部:まりんの笑い声が部屋中に響き渡る。
語り部:悪魔だ。間違いなく悪魔だ。

ワタル:お願いだ、許してくれ! お願いだ!

まりん:そうだなあ……何だっけ? 自動車買えるくらいコレクションがあるって、言ってたよね。それで手を打ってやるよ。良かったなー? 安いもんだろ。

ワタル:う、それは、勘弁してくれ!

まりん:はあ? このおっさん、何言っちゃってくれてんのかな? 自分の立場わかってるのかなあ……なあ、おっさん?

ワタル:それだけは、何年もかかって苦労して手に入れたコレクションなんだ! 他のならどれでも良い。それだけは勘弁してくれ。

まりん:そうなんだー? そう言われるとぉーまりんー余計に欲しくなっちゃうんだよにゃー。あははっ!

ワタル:お願いだ……

まりん:えっとー。おまわりさんって、電話番号、何番だったかなー? もう少しで思い出せるんだけどなー。えっとーえっとー。いちーいちー……えっとー、ワタルきゅん、なんだっけー?

ワタル:わ、わかった。持って行って良い。
まりん:はあ? 持って行って良いとか何様だよ? はい、もう一回!

ワタル:持って行って……くだ、さい。

――まりん 再び萌え声になる。
まりん:わーい! ワタルきゅん、ありがとう!

語り部:うなだれるワタルを尻目に、まりんはワタルのコレクションをカバンに詰め込む。

まりん:これとーこれとー。あ、これもかわいい!
ワタル:お、おい、ひとつだけだ!

まりん:……は?
ワタル:う……何でもない、です。

語り部:まりんの鋭い眼光を前に、たじろぐワタル。
語り部:まりんは、コレクションをカバンの中に入るだけ目一杯《めいっぱい》詰め込んだ。

まりん:うん! まりんは良い子だから、これで我慢するね! わたるきゅん、もうこんなことしちゃダメだぞ! まりんと約束!

ワタル:う……うう……
まりん:じゃあ、まりん帰るね! ばいばーい!

ワタル:お、おい! 動画を削除してくれ!

語り部:まりんは、自己欲求を満たしたと同時に、背中越しに聞こえるワタルの声を無視してカバンを取り部屋を出た。

語り部:ひどい、むしろワタルは被害者だ。
語り部:脅迫、窃盗罪で訴えても良いくらいである。

語り部:そしてまりんは、エレベーターに乗り恍惚とした表情で、カバン一杯に入っているコレクションを眺めた。

まりん:こいつらは、フリマよりもオークションで売った方が儲《もう》かるか……いくらで売れるか楽しみだ……うふふふふっ
まりん:あはははは。撮った動画も、暫く有効に使わないとな。

語り部:まだワタルから搾《しぼ》り取るつもりか!
語り部:自動車を買える程のコレクションを脅し取っただけでは飽き足らないとは、根っからの極悪人だ!

まりん:おじゃましましたーにゃん!

語り部:まりんは、パンパンに膨らんだカバンを持ち、受付に座っているコンシェルジュに挨拶をして外に出た。

語り部:今のまりんはコレクションが、いくらで売れるかと言うことしか頭に無い。

語り部:大体、まりんは機械オンチだから、オークションの出品方法とかわからないだろう。
語り部:どうせ、また男を騙《だま》くらかして、オークション出品を肩代わりさせるに違いない。

 ――(間)
リコ:まりんちゃーん!

語り部:遠くから、まりんを呼ぶ声が聞こえる。まりんを町中で呼ぶ友達なんて居ないはずなのだが……
語り部:まりんは、目を細めて声のする方向を眺めた。

まりん:あーん……誰だ? カップルなんて知り合いにいないぞ。

語り部:そう、まりんを呼ぶ女は男連れで歩いていた。
語り部:そもそも、まりんには、カップルどころか女友達なんて誰一人居ないのだ。
語り部:こんな性悪女《しょうわるおんな》に友達が居る方がおかしい。

語り部:まりんが信じられるものは金だけなのだ。

まりん:とりあえず……関《かか》わらない方が良さそうだな。

語り部:まりんは、声のした方向とは「逆」方向に歩みを進めた。
語り部:基本、面倒ごとには関わりたくないのだ。

語り部:自分は面倒ごとを何回も起こしているくせに酷《ひど》いやつだ。

語り部:ダダダダダダダッ!

語り部:まりんの後ろから、けたたましく足音が響く!

リコ:まりんちゃーーーんっ! 待ってってばー!

まりん:え、え? なんだなんだ?

語り部:その勢いに激しく狼狽《ろうばい》するまりん。
語り部:恐怖を覚えたまりんはダッシュして逃げる。

まりん:こわいこわいこわい……!

語り部:元々運動が苦手なオタク少女まりんは、あっと言う間に足音の持ち主に、追いつかれてしまった。
語り部:そして、その女は瞬時に、まりんの前に回り込んだ。

リコ:だから、待ってってばぁー。

まりん:ぜぇぜぇぜぇ……お、まえ、だ、れ……だ?

語り部:まだ走って10メートルくらいなのに、フルマラソンを走ったような息使いで膝《ひざ》に手をつき今にも死にそうなまりん。

リコ:だーいじょうぶですかー? せーん、ぱい?

マモル:おい。急に走って行くな。

まりん:え! マモル……きゅんっ?!

語り部:まりんのことを追ってきた女の子は、マモルの妹、リコだった。

語り部:まりんの小さな脳みそでは、女の顔、いや、人間の顔を必要最小限しか判別できない。
語り部:しかも、まりんはリコのことをマモルの彼女だと思い込んでいるのだ。

語り部:マモルに少なからず好意を持っているまりんは、この光景を受け入れられずにいた。

まりん:んぐぐぐぐぐぐ……

語り部:恋心をマモルに悟《さと》られないように、グッと歯を食いしばって下を向くまりん。

リコ:まりんせんぱーい。はじめましてー、リコでぇす!

語り部:リコは、まりんに向かって横ピースをぶちかました。

語り部:この挑発的《ちょうはつてき》な態度が、まりんの怒りを悪化させる。

まりん:はじめまして! リコちゃん、どこかであったのかにゃ? まりん、覚えてないにゃあ……ごめんにゃ。

語り部:まりんは、舞浜駅でマモルと居たリコのことを覚えていたが、知らぬ存《ぞん》ぜぬを決め込むことにしたようだ。

語り部:まあ、直接接触したわけでは無いし、むしろ知っている方がおかしいのだが。

語り部:詳しくは「メンヘラガールまりんちゃん~タケシの場合~」を参照してくれ。

語り部:ああ、宣伝だ。それがどうした。

語り部:さて、何事も無かったかのように話を先に進めよう。
語り部:リコは、まりんに挑発するかのように、マモルの腕に絡みつき、その巨乳を押しつける。

リコ:あ~そっかあ……リコは、まりんちゃんのことを一方的に見ただけなんだっけ~。ウチのマモちゃんがお世話になってます~! リコでぇす!

まりん:あ、ああ! そうなんにゃー。マモルきゅんの……リコちゃん、よろしくにゃ。

語り部:ウチのマモちゃん、確かに間違った表現では無い。

語り部:リコはマモルの妹なのだから、表現は「ウチの」であっている。
語り部:むしろ、それ意外の何物でも無い。

語り部:だがしかし、これで まりんは確実にリコのことをマモルの彼女だと再認識したのだった。

リコ:こちらこそ、よろしくね! これから仲良くしようね!

 ――平静を装うまりん
まりん:そ、そっかーマモルきゅんには、こんなに可愛い彼女がいたんだね!

マモル:星屑《ほしくず》、こいつは俺のいも……

 ――リコ マモルのいも……に声をかぶせる
リコ:そう、彼女!
マモル:おい、リコ!

まりん:やっぱりマモルきゅんも、彼女のことは名前呼びなんだね!
マモル:だから、こいつは俺のいも……

――リコ マモルのいも……に声をかぶせる
リコ:そーなのー! もうラブラブってやつ!

まりん:うう……

語り部:まりんは泣きそうだ。
語り部:もう、まともにマモル達を見れなくなってしまっている。

まりん:用がないなら、まりん行くね。

語り部:まりんは、チカラ無くマモル達の元からトボトボと去って行った。
語り部:ぱんぱんに膨《ふく》らんだカバンを重そうに背負って去って行ったのだった。

マモル:おい、リコお前なあ……!

――リコ マモルを冷やかす
リコ:あ、マモちゃん怒ってるのー?
マモル:そりゃ怒るだろ、何だってあんな嘘をつくんだ?!

リコ:珍しいねー! いつも冷静なマモちゃんが怒るなんて、驚きだよ。
マモル:人をおとしいれるような嘘をつくんじゃない。

リコ:あんな貧乳女、マモちゃんには似合わないよ!
マモル:体型は関係ないだろ。

リコ:いいの! マモちゃんは、リコのものなの! 誰にも渡さない!
マモル:ったく、勘弁してくれ……

リコ:えへへ。マモちゃん、行こう!

語り部:リコは再びマモルの腕に絡みつく。
語り部:どうやら、リコは極度のブラコンらしい。

語り部:どうする? まりん。
語り部:すっかり、リコのことをマモルの彼女だと信じてしまっているぞ。
語り部:このままマモルのことを諦めるのか?

 ――まりん 力なくつぶやく
まりん:お、おぼえて、やがれ……これで……勝ったと、思う、なよ……
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
メンヘラガール魔鈴(まりん)ちゃんR~ワタルの場合~【男2女2不問1】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ニクキューP
ライター情報
猫と初音ミクを溺愛しているライターです。
コメディ、日常、メンヘラ、そして百合&ライトBL
ゆるふわ台本多め
有償販売利用の条件
基本的に当サイトの利用規約に準じます。
クレジットに「ライター:ニクキューP (Twitter: @tomox9209)」の明記をお願いします。
利用実績(最大10件)
ニクキューP の投稿台本(最大10件)