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電波系ヤンデレ
  • 純愛
  • ヤンデレ
公開日2021年07月12日 21:58 更新日2021年07月12日 22:00
文字数
1954文字(約 6分31秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
毎晩のように公園で謎の儀式をする自称宇宙人の女。貴方はそんな宇宙人と交流を深めていくものの、聞けばどうやら地球を今すぐにでも脱出したいらしい。宇宙人の頭上に銀河はるばる宇宙船が来るその時まで、貴方は今夜も宇宙人に会いに行く⋯⋯みたいなあらすじ。
本編
 ピー⋯⋯ぱらりろ、ぱらりろ⋯⋯。

 ププッ、プー⋯⋯れかぴか、れかぴか⋯⋯。

 あーあー。こちらオリオン腕恒星系わんこうせいけい。地球より高らかにSOS。わたしの声は届いていますか?

 星間分子雲せいかんぶんしうんの重力崩壊から46億年。

 この星の文明も終わりを告げようとしています。

 わたしを創った二人はシュバルツシルト面の解明に旅立ってしまいました。

 もう限界です。わたしは常に監視されています。FBI、CIA、あらゆる目という目がこちらを向く。

 それだけではありません。

 地球そのものがわたしを拒絶しつつあるのです。空気は重く、肌はシビれてカユくなり、時たま味覚までもを失うなどなど⋯⋯。

 至急、迎えのポッドを二台お願いします。

 一台はわたし。もう一台は地球人サンプルとして。

 彼はわたしに対してとても友好的なので、研究が終われば酸素コロニー住民として登録しても、さほど問題はないかと。

 ええ。それでは。

 ピー⋯⋯ぱ⋯⋯ぱぱ⋯⋯ぱらっぽ⋯⋯。

 ぱ⋯⋯ぱぱ⋯⋯ぱらっ、ぽぅ⋯⋯う?

 こんばんは。

 いつからそこにいたの?

 うん。今ね、Mエム47星雲せいうんの同胞にSOSしてたの。

 言ったでしょ。この公園で夜、毎日してるよ。そうしないと意味がないから。

 びりびり。わからない? びりびり。びりびり。あのね、日本はアメリカと手を組んで悪い電波を出してるの。びりびり。

 わたしのSOSがまだ届いていないのはそのせいなんだ。

 だから、どんなに小さくかすれても、SOSをキャッチしてもらうために毎日する。

 そして来たのは、宇宙船じゃなくてあなただった。

 ふぅ⋯⋯。

 疲れたからきゅーけい。

 今日はびびっとした気がしたんだけどなぁ。

 難しいね。やっぱり一人じゃダメなのかなぁ。

 あなたは協力してくれないの?

 そっか。応援だけなんだ。そっかぁ⋯⋯そっかぁ⋯⋯。

 あ、ごめんね。せっかく応援して来てくれたのに。今日のSOSは終わっちゃった。

 うん。今の時間はね、お星を見る時間だよ。

 わーっ! お菓子とサイダーだ。ありがとう。いただきます。

 わたし免疫力無いから。この星の細菌に順応して無いから。お菓子とサイダーしか食べられないんだぁ。

 ううっ⋯⋯ウルサイな。わかってるもん。

 栄養がどーとか、あの人達と同じこと言わないで。

 それより楽しいお話をしよう? 

 そうだ。上を見て。あなたには教えてあげるね。

 わたしの生まれた星はずーっとあそこ。みえる? ちょっとだけ光ってるでしょ。きらーって。きらきらーって。

 いつかあそこに帰るんだ。わたし。

 その時がきたら、あなたも一緒に来てくれるよね?

 わたし知ってるよ。あなたもこの星をイヤがってた。こんな星にいたくないって顔してた。

 だから一緒に――

 ⋯⋯え?

 来て、くれないの?

 お勉強も、お仕事も、悪い人もいないのに。

 どうしてかな。良いことだらけなのに。どうして来てくれないんだろう。

 ね、ねえ⋯⋯! 

 わたしと、行こ⋯⋯?

 ⋯⋯⋯⋯。(間)

 は⋯⋯なん、で⋯⋯。

 なんでよ⋯⋯なんであなたまで、わたしから⋯⋯。

 あ、あぁ⋯⋯そっかぁ⋯⋯!

 奴らにチップを⋯⋯脳内に埋め込まれたんだぁ⋯⋯!

 よく聞いて。あなたは洗脳されているんだよ。わたしに近いから奴らに狙われたの。

 許せない⋯⋯今すぐ取り除かないと⋯⋯早く取り除かないと⋯⋯許せない⋯⋯許せない許せない許せないッ!

 ダメ! 落ち着いて! 暴れないでっ!

 どうしよう⋯⋯脳に衝撃を与えれば、あるいは電気系統で⋯⋯!

 きゃっ!?

 どうして⋯⋯?

 それが本心だって言いたいの⋯⋯?

 なんで⋯⋯じゃあ、この星にまだ居たいってコト⋯⋯?!

 おかしいよ。こんな痛みと苦しみと、そして寂しい気持ちにしかならない星に⋯⋯居たいって、思うなんて⋯⋯。

 どこがいいの⋯⋯。

 他の星にないものがこんなところにあるわけっ⋯⋯。

 な、なにその指。

 ⋯⋯え。

 ⋯⋯わた、し?

 わたしがいるから?

 でも、わたしはこの星の住人じゃない⋯⋯!

 さっきも言ったのに。もっと遠い遠い星から来たって。いずれわたしは、あの星に⋯⋯! あの星に⋯⋯⋯⋯。

 あなたのいない星に帰っても⋯⋯なにもないや⋯⋯。

 ⋯⋯⋯⋯。(間)

 そうだ⋯⋯。

 本当に飛んで行きたかったのは⋯⋯もっと、ちっぽけな場所⋯⋯。

 それが、あなたの隣だった。

 ⋯⋯ごめん。

 もう少し、このまま、一緒にいててほしい⋯⋯。

 あなたにこうして捕まってないと⋯⋯わたしにかかる重力が、おかしくなりそうなの⋯⋯⋯⋯。



 ピーーー。

 ぱらりろ⋯⋯ぱらりろ⋯⋯。

 プ、プーッ⋯⋯れかぴか⋯⋯れかぴか⋯⋯。

 こちらオリオン腕恒星系わんこうせいけい。地球より高らかに経過報告。わたしの声は届いていますか?

 現在。問題ナシ。

 引き続きこの星を⋯⋯⋯⋯彼と共に、調査し続けます。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
電波系ヤンデレ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ゼロフィリアマン
ライター情報
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