- メイド
公開日2021年06月05日 18:00
更新日2021年06月05日 18:00
文字数
1440文字(約 4分48秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
メイド
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
不治の病に冒された貴方。次期当主にも関わらず、父親からの仕事の継承を目前にして病に臥せってしまい、お見合いの破談が相次ぐ。そんな中でも、貴方が予てより片想いしていた年上メイドは、いつもと変わらず和やかに奉仕してくれている。今日もまた薬と共に夕食を運んできてくれる。
本編
【ノック音】
失礼します。ご夕食をお持ちしました。
(扉を開く)
入りますよーっと。
まあ、本がこんなに沢山……。
病人なんですから大人しく寝ていなきゃめっ! ですよ。
子供扱いするなって……私(わたくし)からしたらお坊ちゃまは永遠にお坊ちゃまです。
旦那様に拾われてからいうもの、お坊ちゃまに奉仕するのが私の役目であり生きる意味。こうしてお坊ちゃまの好物を運ぶのも……。
あっ、目の色を変えましたね?
今日はお坊ちゃまのお誕生日ですもの。
料理長に頼んでコッソリ作っていただいたんです。
ここのところ、水や薬ばかりでまともな食事じゃありませんでしたし……。
お礼なんていりません。
私はただ、お坊ちゃまの喜ぶお顔が再び見れただけでも――あっ。
(主人公が咳込む)
だ、大丈夫ですか!?
急に咳き込んで……これ、血じゃ…………。
…………。(悲痛な吐息混じりの沈黙)
やはり……通常のお食事にしましょうか。
あまり胃に負担がかかると……ああっ、駄々をこねないで下さい可愛い! ズルいですよ私が逆らえないのをいいことに!
はぁ……仕方ありません……。
では、私が一つ一つ丁寧に切り取ってお口にお運びしましょう。(凛々しく)
その方が安全且つ胃にも優しいと判断した次第です。
いいじゃないですか。昔のようにほら、あ~ん。
んもうっ、口を閉じていては好物が逃げてしまいますよ。
あ~~~ん。
は~い。もぐもぐよく噛んで……っと。
ウフフフ。
私は幸せです。
まるで昔にかえったよう。
出来ることならこんな日々がずっと…………続かない方がいい!(セルフツッコミ)
不謹慎でした! 申し訳ございません!
お坊ちゃまは難病に冒され、お見合い相手にことごとく婚約を破棄されているというのに!
ああっ私ったらお坊ちゃまの前でなんてことを!
……あ。
でも、一人だけいましたね。
お坊ちゃまと年の近い隣町のご令嬢。
足繁くこの屋敷に通っているようですが、万が一にでもお坊ちゃまの病気が悪化したら大変なので……。
ええ勿論丁重に追い返し……コホン、帰ってもらいました。
ですがもし、あの方が本心からお坊ちゃまを想っているのだと分かれば……。
だとしたら、これから大変ですねっ!
あれやこれやとあの方にお坊ちゃまのことをお教えしなくてはっ。
ええ。この私。奥様よりも鬼の姑になる覚悟です!
ん? お坊ちゃま。お口、閉じたままですが……。
う……。
お、お坊ちゃま……。
そんな真剣な眼差しをされても……。
まさかまだ、私のことを……前もいったように私はメイドであって……。
それにあの頃と違って私もそこまで若くは……じゃなくて、年も離れてますし……。
わわわっ。
(ベッドに引き寄せる)
あ……。
お坊ちゃま、温かい……。
良かった。まだこんなにも温かく……。
あーっ!(何かを発見)
お坊ちゃま窓を見て下さい!
キレイな月……その隣には一つ、星がこじんまりと輝きを放って……!
あら、残念そうな顔をしてどうしたんです?
それよりあの小さな星。私は月というお坊ちゃまの隣でああいう存在に……。
え? お前が月だって?
やめてください。月なんてそんな。(照れ)
それに星はすぐに……。(何かに気づく)
…………。
お坊ちゃま。大きく、なられましたね……。
ええ。それはもう昔と比べて……。
…………。
お手を……握っても、よろしいですか。
……ありがとうございます。
もう少しだけ……。
もう少しだけこのままでいさせてください。
お坊ちゃま……私は最期まで、いやその先も永遠に……お傍に……。
ですから今夜は……その……。(言い淀みつつ)
はい……。
メイドではなく、一人の女として貴方をどうか……愛させてください。
失礼します。ご夕食をお持ちしました。
(扉を開く)
入りますよーっと。
まあ、本がこんなに沢山……。
病人なんですから大人しく寝ていなきゃめっ! ですよ。
子供扱いするなって……私(わたくし)からしたらお坊ちゃまは永遠にお坊ちゃまです。
旦那様に拾われてからいうもの、お坊ちゃまに奉仕するのが私の役目であり生きる意味。こうしてお坊ちゃまの好物を運ぶのも……。
あっ、目の色を変えましたね?
今日はお坊ちゃまのお誕生日ですもの。
料理長に頼んでコッソリ作っていただいたんです。
ここのところ、水や薬ばかりでまともな食事じゃありませんでしたし……。
お礼なんていりません。
私はただ、お坊ちゃまの喜ぶお顔が再び見れただけでも――あっ。
(主人公が咳込む)
だ、大丈夫ですか!?
急に咳き込んで……これ、血じゃ…………。
…………。(悲痛な吐息混じりの沈黙)
やはり……通常のお食事にしましょうか。
あまり胃に負担がかかると……ああっ、駄々をこねないで下さい可愛い! ズルいですよ私が逆らえないのをいいことに!
はぁ……仕方ありません……。
では、私が一つ一つ丁寧に切り取ってお口にお運びしましょう。(凛々しく)
その方が安全且つ胃にも優しいと判断した次第です。
いいじゃないですか。昔のようにほら、あ~ん。
んもうっ、口を閉じていては好物が逃げてしまいますよ。
あ~~~ん。
は~い。もぐもぐよく噛んで……っと。
ウフフフ。
私は幸せです。
まるで昔にかえったよう。
出来ることならこんな日々がずっと…………続かない方がいい!(セルフツッコミ)
不謹慎でした! 申し訳ございません!
お坊ちゃまは難病に冒され、お見合い相手にことごとく婚約を破棄されているというのに!
ああっ私ったらお坊ちゃまの前でなんてことを!
……あ。
でも、一人だけいましたね。
お坊ちゃまと年の近い隣町のご令嬢。
足繁くこの屋敷に通っているようですが、万が一にでもお坊ちゃまの病気が悪化したら大変なので……。
ええ勿論丁重に追い返し……コホン、帰ってもらいました。
ですがもし、あの方が本心からお坊ちゃまを想っているのだと分かれば……。
だとしたら、これから大変ですねっ!
あれやこれやとあの方にお坊ちゃまのことをお教えしなくてはっ。
ええ。この私。奥様よりも鬼の姑になる覚悟です!
ん? お坊ちゃま。お口、閉じたままですが……。
う……。
お、お坊ちゃま……。
そんな真剣な眼差しをされても……。
まさかまだ、私のことを……前もいったように私はメイドであって……。
それにあの頃と違って私もそこまで若くは……じゃなくて、年も離れてますし……。
わわわっ。
(ベッドに引き寄せる)
あ……。
お坊ちゃま、温かい……。
良かった。まだこんなにも温かく……。
あーっ!(何かを発見)
お坊ちゃま窓を見て下さい!
キレイな月……その隣には一つ、星がこじんまりと輝きを放って……!
あら、残念そうな顔をしてどうしたんです?
それよりあの小さな星。私は月というお坊ちゃまの隣でああいう存在に……。
え? お前が月だって?
やめてください。月なんてそんな。(照れ)
それに星はすぐに……。(何かに気づく)
…………。
お坊ちゃま。大きく、なられましたね……。
ええ。それはもう昔と比べて……。
…………。
お手を……握っても、よろしいですか。
……ありがとうございます。
もう少しだけ……。
もう少しだけこのままでいさせてください。
お坊ちゃま……私は最期まで、いやその先も永遠に……お傍に……。
ですから今夜は……その……。(言い淀みつつ)
はい……。
メイドではなく、一人の女として貴方をどうか……愛させてください。
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