毒舌家の妻。彼女と貴方は愛の無い政略結婚で結ばれた偽りの夫婦。
の筈なのだが、普通に恋しちゃってるツンデレ敬語妻なのであった。そして今日は結婚記念日⋯⋯みたいなあらすじ。

【扉が開く】

　⋯⋯はぁ。（ため息）

　お帰りなさい。

　ちょうど玄関掃除をしていたんです。
　そしたら貴方が帰ってきて⋯⋯あ。夕食。一応残してありますが。

　そう。食べるんですね。てっきりいらないかと。

　だって。こんな時間になるまで帰ってこないんですもの。
　果たして本当に飲み会があったのか、私の知ったことではないですけれど。（卑屈に嘲り笑いながら）

　そうよ⋯⋯貴方がどこでなにをしていようが私には関係ない⋯⋯。（苛立ちながら自分に言い聞かせるようにして）

　何故なら⋯⋯これは親同士が決めた政略結婚。偽りの夫婦。
　“お互いのプライベートには干渉しない”――って、入籍したその日に決めましたものね。

　ああ、そういえば、確か日付はそう⋯⋯ちょうど一年前の今日でしたっけ？（わざとらしく）

　よく覚えてるじゃないですか。

　私はすっかり忘れてました。なにせ覚える必要がありませんから。

　え。カレンダーにハートマーク⋯⋯？

　あ、あぁ⋯⋯それは美容室の予約です。
　私がどんなマークで書き留めようが貴方には関係ないでしょう。

　そのチキンにお寿司と豪勢な夕食は⋯⋯たまたま特売だったからで、まだ私が手を付けていないのも昼食を食べすぎたせいです。貴方には関係ありません。

　壁の飾り付けも⋯⋯貴方には関係ない⋯⋯。

　この新しく買った服も⋯⋯髪のセットもメイクも⋯⋯。

　貴方が帰ってくるのを⋯⋯玄関でずっと待ってたのも⋯⋯。

　今日が、結婚記念日だから⋯⋯。

　⋯⋯⋯⋯。

　⋯⋯遅い。

　覚えてたなら、もっと早く帰ってきて欲しかった。

　貴方にとってこの日が無価値なんじゃないかと、私ずっと⋯⋯玄関で思って⋯⋯。

　く、9時じゃダメです！　8時でも待てない⋯⋯すぐに日付が変わっちゃう⋯⋯。

　なに笑ってるんですか！　もう！

　じゃあ準備するので、お風呂にでも入って下さい。

　はあ⋯⋯（ため息）。

　ケーキ切って、たくさん食べて、カメラで写真撮って、それから⋯⋯。（嬉しげに）

・台本（ゆるボイ！）
愛の無い政略結婚をした筈が本気になっちゃってるツンデレ敬語妻との結婚記念日
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ゼロフィリアマン