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【ヤンデレ】魔王城を守る獣人門番は、何度も自分に挑んでくる剣士をマーキングしていて…
written by Cybistar
  • ヤンデレ
  • 年上
  • クール
  • 獣人
  • 門番
  • マーキング
  • 剣士
  • ファンタジー
公開日2023年02月18日 21:00 更新日2023年02月18日 23:29
文字数
2194文字(約 7分19秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
魔王城の獣人門番
視聴者役柄
魔王を倒したい剣士
場所
ファンタジー世界
あらすじ
魔王城の門を守る獣人門番と、魔王打倒を目指す剣士のあなた。最初に勝負をした時は門番に手も足も出なかったあなただが、短期間のうちに物凄い速度で成長していき、門番を驚かせる。しかし、実は門番はあなたをマーキングしていて…
本編
【魔王城の門にて】

…止まれ
お前……何の用があってここに来た?

……はぁ
先に忠告しておくが、お前には魔王様を倒すことなどできない
それどころか、門番の私にすら指一本も触れることはできんだろうな
今ならまだ偶々通りがかっただけの冒険者として見逃してやる
さっさと消えろ

……そうか
ならば仕方がない

お前、見た目はまだ若い小僧のようだが…
どのような相手でも、魔王様に敵意を持つ者はこの門から先に通すわけには行かないんでな

……私が少し遊んでやろう
だが案ずるな、私はここを動かないでいてやる
武器も使わん
お前には、この鉤爪だけで十分だ

心の準備はできたか?

…そうか
それなら、早くかかってこい





――――――
【数分後】

……おい、どうした
もう終わりか?
私はまだ右腕しか使っていないが?

……ふっ
威勢だけは一人前だったが……所詮お前はそこら中にいる有象無象の素人剣士に過ぎないということだ
その程度の剣の腕前でどうやって一人でこの門の前まで来たのか、不思議でならないな

……おい、何をしている
用が済んだらさっさと失せろ
私はお前だけの相手をしていられる程暇じゃあないんだ

……はぁ

情けなどかけていない
お前は、トドメを刺すまでもない小物ということだ
見逃した所で、魔王様にとっては何の影響もない

そういうセリフは、実力が伴ってから口にするんだな
どうしてもここが通りたかったら……まずは、ゴブリンの群れを一人で全滅させるくらいのことはして来い
それができたら、私に両腕を使わせるくらいのことはできるかもしれないな

…まあ、お前にはそれも無理だろうがな

はははっ!





――――――
【数十日後】

……おい、お前
そこで止まれ

何の用があってここに……

ん?

どこかで見たような顔だな
お前は何者だ?

……ほう、そうか
以前会ってからまだそう時間は経っていないはずだが、随分と実力を上げたようだな

その手首に光っているのは…ゴブリン族の首長が身に付けるバングルか

……どうやら以前より、少しは私を楽しませてくれるようだな
いいだろう
この短期間で、お前がどれだけ成長したのか確かめてやるとしよう

……さあ、かかってくるがいい!





――――――
【暫く経った後】

はぁっ!!

[SE:あなたの剣が弾かれる]

ふぅ…
最近は実力の無い挑戦者が多かったからか、少し身体が鈍っていたようだ

ついこの間、片手一本で打ちのめしてやったお前に、まさかここまで手こずるとはな

……おい、大丈夫か?
急所は外してある筈だが

……そうか
問題ないようだな

……何?
前にも言ったが、お前に情けをかけたりするわけがないだろう
……心配などしていない
ここまで私を楽しませてくれた相手に、そう簡単に冥界に行かれては退屈で仕方がないというだけだ


……自惚れるんじゃないぞ、小僧
私達獣人の肉体がどれだけ強靭か、数多の魔物と戦ってきたであろうお前なら理解している筈だ
少し剣士と戦ったくらいで、この鋼より硬い鉤爪が傷つくことはない
お前達人間と一緒にするな

だが、お前も以前会った時と比べるとまるで別人のような動きをしていたぞ
顔付きも壮健になった

まだ十分に成長の余地はある

また試したくなったら、いつでもここに来い
……次からは、もう私も手を抜けなくなりそうだな





――――――
【数ヶ月後】

……くっ!
このまま押し切るつもりか

……だが、甘い!

はぁっ!!

[SE:門番があなたを突き飛ばす]

動くな!

……はぁ、はぁ、はぁ…

……今のは危なかったな
お前が私に勝負を挑んできたのは、これが何回目になるかわからないが…

次が最後になるかもしれないな

……いや、お前じゃない
私にとっての最後……になるだろうな

はは……今度こそ、城の中に入ることができるんだ
一刻も早く魔王様を倒したいお前にとっては、どれほど喜ばしいことか
まだ気は早いが……私も、お前に倒されるなら文句はないさ

……どうした?
もう魔王様を倒すつもりはない……だと?

……どういうつもりだ
それじゃあ、ただ私の任務を過酷にしたいがために、お前は何度もここに来ていたとでもいうのか?

……そうか
つまり、剣の腕前が上がるにつれて、周りの奴等がお前から離れていったということか
それで、このまま魔王様を倒すために強くなろうとすることに嫌気がさしてきたというわけだな

……くっ、ふっふっふ
いや、すまない

どうしてそうなったのか…教えてやろうか?
何故、お前が私と勝負を行い強くなっていく度に、周囲の人間が疎外するようになっていったのか……
知りたいよな?

……お前は既に、私にマーキングされているんだよ
私と剣を交えた分だけ深く…な

ふふっ……匂いなんて生易しいものじゃない
毎回お前と戦っている間に、少しずつ私の魔力を注入してやったんだよ

だから今お前の全身には、人間が直に感じ取れるくらい私の魔力が染み付いているんだ
魔物との戦いで感覚の研ぎ澄まされた剣士や冒険者達は勿論、なんの力も持たない村人ですらお前を恐れ、遠ざける程にな

こんな体にされてしまって……私が憎いだろうな
だが、もし仮にお前が私を倒しても……何度も合う度に時間をかけて少しずつ確実に染みつくように注いでやった私の魔力が、お前の体内から消失することはまずない

ふふ……どうする?
ここで怒りに任せて私を斬り捨て、孤独に耐え忍んで魔王撃破の目標へ突き進むのか…
今となってはお前の一番……いや、唯一の理解者である私と行動を共にするか…

どちらでも、お前の悔いが残らない方を選ぶといい
ほら…斬りたいなら斬れ
私は何もしないぞ

………

……そうだな
いくら屈強な剣士でも、一人は寂しいよな

……安心しろ
お前の信念の強さと、血のにじむような努力の日々は、私が誰よりもよく知っている
だから…これからはお前を、眷属として可愛がってやる

私がこの世で最も寵愛する、愛おしい眷属として…な


――END――
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【ヤンデレ】魔王城を守る獣人門番は、何度も自分に挑んでくる剣士をマーキングしていて…
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
Cybistar
ライター情報
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