今日は七夕、天の方から女性の声が聞こえてきます。
どうやら、今日の天気を心配しているようです。

声の主は誰もが知っているあの人？のようですが、果たして誰でしょうか。

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もーッ！！
なんなのよ！このハッキリしない天気ぃ？


雨降るんだったら降る！
降らないんだったら降らない！

ハッキリしなさいヨッ!!
ハッキリしないトコロなんて、ほーんと『コボ』みたい。

……え、コボって誰かって？

ワタシのダンナ、だーんーなッ！

……え、コボの名前を教えろ。って？

バッカじゃないの？

ここまで言ってもわからない訳？

そもそもなんで、あんたに教えなきゃいけないのよ！

……まぁいいわ。

アナタ達みたいなオバカさんには一生わからないだろうから、お姉さんが教えてア・ゲ・ル。

コボは、

　――間を取る
　
ヒコボシ

　――間を取る

何よ、その不服そうな顔は。

まだわからないの？
言ったまんまでしょ。バッカじゃないの？

しょうがないわね。
教えてあげるけど今回だけだからね。
特別なんだからね。次は教えないからね。

優しい私。
優しすぎて自分で自分が愛おしいわ。

いい？
ヒ『コボ』シ

わかった？

　――間を取る
　
何よ？

　――間を取る

だって、ヒコボシだから『ヒコちゃん』とか、当たり前すぎてつまらないでしょ？

ヒコちゃんとか、どっかのゆるキャラじゃないんだから、やめてよね。

ホント、あなたも少しはアタマ使いなさい？

　――間を取る
　
ところで、『コボ』って、どっかの４コママンガとか思ったヒトいるでしょ。正直に名乗り出なさい？

　――間を取る
　
……はい、手をおろして良いわよー。

アンタさあ、新聞、『テレビ欄』と『４コママンガ』しか読まないでしょ。バレバレよ？

そもそも新聞自体読んでるかも怪しいところだわ。
スマホばっかりいじってないで、もっと活字読みなさいよね。

って、そもそもアタシは誰かって？

　――間を取る
　
はぁ？！

何アンタッ？！
このアタシのことを知らないくせに、旦那が誰か聞いたわけ？

いやいやいや、ないわー。

　――間を取る
　
うん、ないわー。

だってさ、旦那がヒコボシだって言ってんだからさー。

気づけよ！　……って、話でしょ？

　――間を取る
　――ため息
　
はあ……疲れた

何に疲れたって、アンタの勘の悪さに疲れたって言ってるの！

普通、わかるでしょ？
アナタだって義務教育くらい受けてるでしょ？

学校で、どっかから採ってきた笹に願い事書いた短冊括りつけたっしょ？

まさか、誰に向けて願ってるかわからないまま願い事だけ書いてたの？
どんだけ図々しいのよ？

　――ため息混じり

はあ、ホント疲れる。バカを相手にすると。

もう面倒くさいから教えてあげるわ。

　――間を取る
　
織姫

セレブ織姫

……なによその目は？　文句あんの？

名前に『姫』ついてるくらいだからセレブに決まってるでしょ。

あっ！
そう言えば竜宮城の『乙姫』とアタシがゴッチャになってる人、絶対居るでしょ。

オリヒメオトヒメ、どっちがどっちかわからない的な。知らなくても生きていける的な。

全然違うからね！
ワタシの方が圧倒的に可愛いからね！

圧勝だからね！
優勝だからね！

そーれーに。
ワタシは相手を玉手箱でジジイになんてしないしー。
おとしいれたりしないしー。『オト』しいれる『オト』ヒメなんてシャレにもならないわ。

　――間を取る
は？
ダジャレ？とか言う目で見ないでくれる？
だからシャレにもならないって言ってるでしょ！

　――間を取る
まぁいいわ。

今日は『７月７日』。
ダンナとの記念日だから、アナタの無礼は許してあげる。

こう見えて、私は物凄く心が広いのよ。

今日はね。
一年に一度、唯一ダンナと逢うことを許された日。

でもね。
ダレが決めたんだか知らないけれど、『晴れてなきゃ逢えない』んだって。

信じられないでしょ？

梅雨の真っ最中に、『晴れ』なんて、どんだけの確率なのよ！バカなの？バカでしょ。バカだわ。

ホントある意味、サマージャンボ宝くじ当てるより確率低いわ！

……うそ。
それは嘘。
オリ言いすぎた。ハンセー。

そこまで確率低くない。オリ知ってる。

晴れの時しか逢えない。曇りでもダメ。

どうせこんなバカなこと言い出したのは、どっかのヘンクツジジィだと思うけれどね。
やぁねえ、年寄りの僻《ひが》みって。勘弁して欲しいわ、まったくもう。

大体さー
七夕は７月７日と言っても、旧暦だからね？
旧暦７月７日は、今の暦だと８月４日。夏真っ盛り、真夏だっつーの。

暦を変えるんだったら、七夕の日付も今の暦に変えろって言う話よ。

　――間を取る
そもそもさーあ？
アタシは天にいるんだからさ、天気に影響される訳ないじゃない。

いつだって晴れてるってば。そもそも天気なんて概念自体ないわよ。

下々の者が勝手に『今日は七夕なのに曇ってるから織姫彦星逢えてないよねーかわいそー』とか、自分の都合で決めつけてるだけでしょ。

あんたらが見えてないだけで、毎年普通に逢ってるっつーの。ラブラブだっつーの。アホか。

あとさあ、７月７日、下界じゃ勝手に『七夕』呼んでるらしいけどさ？

チョー迷惑。チョーウゼー

言うのは勝手なんだけどさ、短冊に願いごとはマジ勘弁。マジ卍《まんじ》。

『サトシと永遠に一緒にいれますように』

　――間を取る

サトシと一緒に『三途の川』に流してやろうか？

自分のレンアイで、イッパイイッパイだっつーの。あんたらも分かってるでしょ？

　――間を取る

……あ。
キャッ！
なんか今、一瞬晴れたっぽい！

とりま天の川まで行ってくるね！
それじゃ、あなた達も上手くやんなさいよ？

来年は、ダブルデートでもしましょうね！

それじゃあね、ばいばい！

　――間を取る

終演：

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・台本（ゆるボイ！）
【ヤンデレ風／女声１名】七夕の夜に★彡～梅雨空の憂鬱☆織姫Ver.～
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