とある小さな喫茶店。
悩みを持つ常連客に、喫茶店のマスターが優しく語り掛けます。

※登場人物の性別は男性を想定して記載しています。
　性別を変更する際は、一人称、語尾等変更して演じてください。
　ただし、内容が変わってしまうような大幅な変更はご遠慮ください。

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　本文中、「――」の記述がありましたら、ト書きですので音声化不要です。
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――場所「とある小さな喫茶店」
――常連の高校生が入店する

やあ、いらっしゃい。
また、浮かない顔をしているね。

溜息《ためいき》なんかついて、何が君を苦しめているんだい？

突っ立ってないで、そこにお座りよ。

いつものキミの席にさ。

それでどうしたんだい？

　――間を取る
　
そうか。
友達から全否定されてしまったのか。

それは、とても悲しい出来事だね。

でも落ち込むことは無い。

全否定と言うことは、つまりキミのやっていること「全て」が誤っていると友達は言っているのだ。

少し考えたら分かることだけれど、安易に人の言動を否定するのは、とても危険なことなんだ。

だって、全部間違ってると言うことは滅多にないことだから。

逆に、全てが正解と言うことも滅多に無い。

もちろん１＋１とか答えがたった１つしかない場合は除くよ？

　――間を取る
　
ルール化されていないところでは、個人の価値観で否定することほど愚《おろ》かなことは無いと断言する。

例えキミの友達が「それは違う」と言いきったとしても、その行動全てが誤っていることは、まず無いだろう。これも断言できる。

キミの行動は、効率の良くないところがあったかもしれない。
けれど、遠回りすることが良いことだって必ずあるんだよ。

例えると、そうだな……

　――間を取る

例えば東京都から福岡県に移動するとしよう。

移動手段として、多くの人が飛行機を選ぶと思う。
これも統計を取ったわけではないから、決めつけになってしまうのだけどね、

そう、飛行機のほかにも、自動車や、新幹線、長距離バスを使って移動する人だって少なからずいるはずだ。

これらの移動手段、どれも間違っていると言い切れるかい？

確かに飛行機を使うことが、一番早いし、効率的かも知れない。
けれど、悪天候によって運行中止、遅延が起こる可能性だってある。

例えば、自動車だったら、長距離運転で大変だけれど、途中サービスエリアに寄って、その土地の名産品とかを楽しむことも出来て、自分のペースで移動ができる。

それに移動ルートを考える楽しみだってあるよね。

新幹線も飛行機とは行かないまでも、ハイスピードで移動できるし自分で運転する必要も無い。

長距離バスは、時間はかかるけれど、安い料金で行けるよね。

　――間を取る
　
どうだい？
目的や状況によって、正解が変わってくるのがわかるだろう？

友達は、ここまで考えて、キミのことを全否定したのかな？

　――間を取る
　
僕は、そう思えない。

意見を全否定する人のほとんどは、物事を上辺だけで判断していると思うんだよ。

そして自分の考えと違うから、「全てが違う」と全否定したのではないかな。

自分の考えが正解だと思う人が、少なからず居るものだ。

もし、また同じようなことがあったら、友達に聞いてごらん？

違うと思うところを、さ。
そして、自分に正しいところは、本当に、全く無いのか。を。

　――間を取る
　
うん。そうだね。
いちいち、そんなやりとりをするのは面倒だと言われそうだね。

けれど。
そのやりとりをしないと、キミの意見は「全て間違っている」ことが確定してしまう。

逆に、友達の言っていることが「全て正しい」ことになる。

それでも良いのかい？

僕は良いとは思わない。

確かに友達は、面倒くさがるかもしれない。

けれど、友達の提案した手段を行ったとしても、失敗することだってある。

そんな時、友達は事もなげに、「まあ、そう言うこともあるよね」で済ましてしまうかもしれない。

キミのことを全否定したにも関わらず、だ。

そして友達は、これに懲りずに、次回もキミのことを全否定するだろう。

その度に、キミは嫌な思いをして、この場所に来るわけだ。

もちろん、ココに来ることは、僕も大歓迎だ。

キミと話すのは楽しいからね。

　――間を取る

だけれど……
なるべくキミには笑顔でいて欲しいんだ。

もちろん、キミの相談にのることは大歓迎さ。

でも同時に、キミには笑っていて欲しいのさ。

うん。そう。
今みたいな笑顔で、ね。

遠回りしたって良いのさ。
ゆっくり進もう。

キミの人生は、始まったばかりなのだから。

例えキミが何回失敗しても、やり直し、再チャレンジできる。

可能性は未知数さ。
失敗は成功の母って言うだろう？

　――間を取る

うん。
またおいで。

待ってるよ。

　――間を取る
　
終演：

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・台本（ゆるボイ！）
こころボックス～全否定されても落ち込むことは無い～【性別不問１名】
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・台本制作者
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