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好きと言えなくて【ラブストーリー/男声1名】
written by ニクキューP
  • 切ない
  • ダウナー
  • 恋愛
  • ラブストーリー
公開日2023年06月22日 21:19 更新日2023年06月22日 21:19
文字数
2795文字(約 9分19秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
照れ屋で素直になれない男子
彼女に求められても好きと言えない、けど、きっと彼女ならわかってくれる。

=====
「ねえ? 私のこと好き?」
彼女の口癖。
だけれど、僕は、こう答える。
「そんなの……言えないよ。」
言わなくたって、分かってくれる。
彼女なら分かってくれる。
僕のことを分かってくれている。
=====

そんな彼氏の経験談。
本編
★★★★★★★★★★★★
 台本をご覧いただきましてありがとうございます!
 本文中、「――」の記述がありましたら、ト書きですので音声化不要です。
★★★★★★★★★★★★

 ――彼女のセリフ 男声でもOK
「ねえ? 私のこと好き?」

彼女の口癖。

だけれど、僕は、こう答える。

「そんなの……言えないよ。」

言わなくたって、分かってくれる。
彼女なら分かってくれる。
僕のことを分かってくれている。

そう思っていた。

でも、彼女は事も無げに僕に言って見せる。

 ――彼女のセリフ 男声でもOK
「私はキミのこと大好きだよ? 何よりも。命よりも。」

そして、彼女は上目づかいで、僕に聞いたんだ。

 ――彼女のセリフ 男声でもOK
「キミは私のこと、どう思ってる?」

僕は答える。

 ――男のセリフ
「そんなの……言えないよ。」

好きという言葉が照れ臭かった僕は、いつも彼女の「私のこと好き」と言う質問に答えることができなかった。

その度に、彼女は悲しそうな顔をして

 ――彼女のセリフ 男声でもOK
「そっか。」

つぶやいた。

だって、恥ずかしくて言えないよ。
もちろん、彼女のことは大好きだ。

だけれど、どうしても僕の口からは、「彼女が好き」と言う言葉がでなかった。

犬が好き、猫が好き、ケーキが好き。

動物や、食べ物に対しての好きは簡単に言えるけれど、彼女に対しての好きは、どうしても言えなかった。

 ――間を取る

そんなの、恥ずかしくて言えないよ。
彼女だって、僕のことを好きなら僕の気持ちはわかってくれていると思っていた。

 ――間を取る
そして、彼女の誕生日の前日。

 ――男のセリフ
「誕生日プレゼント何がいい?」

って、聞いたんだ。

そしたら、彼女は答えた。

 ――彼女のセリフ 男声でもOK
「好きって言ってくれたらそれで良い。それ以外、何もいらない。」

僕の目を見て言ったんだ。

 ――男のセリフ
「そんなこと言えないよ。」

僕はいつものように答えた。
僕の答えを聞いた彼女は、ああ、やっぱりそうだよね。と、

 ――彼女のセリフ 男声でもOK
「じゃあ、何もいらない……」

彼女は今にも泣きそうな顔で、うつむいて呟《つぶや》いた。

そんなの言わなくてもわかっているじゃないか。

キミは僕のこと好きなんでしょ?
好きだったらわかるでしょ?

だって、いつも彼女のことを何よりも優先しているし、大事にしている。
僕の行動を見ていてくれたなら、彼女への愛情は分かってくれるはず。

汲《く》み取ってくれるはず。

それくらいに思っていた。

思い込んでいた。

 ――間を取る
 
そして、彼女の誕生日。

僕は彼女にシルバーのネックレスをプレゼントした。

彼女のために、一生懸命バイトして、お金を貯めて買ったシルバーのネックレス。
プレゼントを受け取った彼女の喜ぶ顔が頭に浮かんでいた。

だって彼女なら、どれだけ僕が苦労してプレゼントを買ったかわかってくれる。
どれだけ僕が彼女のことを好きなのかわかってくれる。

 ――間を取る

「はい、誕生日プレゼント。気に入ってくれるといいけど」

僕は満面の笑みで、彼女にプレゼントを手渡した。

 ――彼女のセリフ 男声でもOK
「ありがとう……ね、私のこと好き? もう聞かないから、2度と聞かないから、教えて? お願いだから。」

彼女は、僕が渡したネックレスを手に取り言ったんだ。

今にも涙がこぼれそうな瞳で。

だけれど、どうしても好きと言えなくて、僕は言ったんだ。

 ――男のセリフ
「そんなこと恥ずかしくて言えないよ。そのネックレスが僕の気持ちさ」


そしたら彼女は、涙をこらえることができずに、ぼろぼろと大粒の涙を流しながら言ったんだ。

 ――彼女のセリフ 男声でもOK
「そっか……わかった。じゃあ、私、もう行くね。さようなら。」

そう言って、彼女は走り去ってしまったんだ。

 ――男のセリフ
「あ、うん。またね。」

僕の「またね。」が、彼女に届いたかわからない。

 ――間を取る
そして……
少しして僕のスマホに、彼女からメッセージが届いた。

 ――間を取る

 ――彼女のセリフ(メッセージ内容) 男声でもOK
「ごめんね。キミとは、もう会えない。

 毎日が不安だった。

 キミが私のことを好きか、不安で不安で仕方が無かった。

 好きでいてくれるとは思っていたけれど、自信がなかったの。

 だから、キミから直接、ちゃんとした言葉が欲しかった。

 キミも同じことを何回も聞かれて辛かったよね。ごめんね。

 でも、それくらい私はキミからの「好き」が聞きたかったんだ。

 もう我慢でき無くなっちゃった。
 
 待てなくなっちゃった。
 
 ごめんね。

 大好きだったよ。
 次は自分の気持ちがわかってくれる女の子を好きになってね。

 さようなら。」

 ――間を取る
 
意味が分からなかった。
彼女が何を言っているのかわからなかった。

 ――男のセリフ(メッセージ内容)
「ちょっと待ってよ! 僕の気持ち、言わなくても分かってくれているでしょ?!」

急いで彼女にメッセージを返信したけれど、僕の送ったメッセージが、既読になることは無かった。

 ――間を取る
それ以来、彼女は、僕の前から姿を消してしまった。

 ――男のセリフ
「好き」

この言葉を言えなかったがために。

彼女にとって僕からの「好き」と言う言葉は、彼女自身を支える唯一の言葉だったんだ。

そのことを理解出来たのは、それからずっと後のことだった。

 ――間を取る

彼女は、ずっと不安だったんだ。

僕は、「好き」と言う言葉を声に出して言えなかった。

恥ずかしいと言う理由だけで、「好き」と言う言葉を発することができなかった。

ただそれだけのために、彼女を不安にさせてしまった。

彼女の気持ちを考えたら、情けなくて悔しくて、涙が止まらなかった。

ごめん。ごめん。不安にさせてごめん。

枕に顔をうずめて叫ぶことしか出来ない。

 ――彼女のセリフ 男声でもOK
「ねえ? キミは私のこと好き?」

彼女は、どんな気持ちで僕に聞いていたのだろう。

今となっては、彼女に聞くことはできない。
知ることはできない。

ある日、僕の家のポストに彼女からの小包が届いた。

あて名の字は、彼女の筆跡。

考え直してくれたのかと、僕はワクワクしながら、小包をあけた。

中には、僕から送ったシルバーのネックレスだけが入っていた。
彼女からのメッセージを探したけれど、そこには何も入っていなかった。

 ――間を取る(時間経過)
 
数年後の春、風の便りで、彼女は、会社の同僚と結婚したと聞いた。

きっと彼女は、自分のことを好きだと言ってくれる人を見つけたのだろうな。

 ――間を取る

僕は空を見上げて呟いた。

 ――男のセリフ
「僕と一緒に居てくれてありがとう。キミのこと大好きだったよ。さようなら。そして、ごめんね。」

 ――間を取る
僕は、決して彼女に届かない言葉を呟いた。

 ――間を取る
 
終演:

★★★★★★★★★★★★
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ニクキューP (Twitter: @tomox9209)
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クレジット
・台本(ゆるボイ!)
好きと言えなくて【ラブストーリー/男声1名】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ニクキューP
ライター情報
猫と初音ミクを溺愛しているライターです。
コメディ、日常、メンヘラ、そして百合&ライトBL
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