0
魔王軍のヤンデレドS軍師に、なすすべなく敗北する
written by 犬アキラ
  • ファンタジー
  • ヤンデレ
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
3887文字(約 12分58秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
軍師
視聴者役柄
勇者
場所
指定なし
あらすじ
あなたは、魔王を倒す為に育てられた“勇者”です。
長い旅の果て、あなたはついに魔王と対決しますが、
あと一歩のところで負けてしまいました。
捕らわれの身となったあなたの元に、魔王軍の
軍師を名乗る女性がやってきて…?
本編
こんにちは。
目が覚めましたか?勇者様。

椅子に縛り付けて申し訳ありません。
こうしないと、他の者たちがうるさいものですから。

はい、ここは魔王城の地下牢(ちかろう)。

魔王様に負けてしまったあなたは、
こうして囚われの身になってしまったのです。
思い出しましたか?

あぁ、申し遅れました。

私は、魔王軍の最高幹部。
魔王様の右腕で、軍師を務めております。

勇者様とは、お初にお目にかかりますね。
以後、お見知りおきを。

ええ、そうですよ。
あなたを追い詰めたのは、全て私の策略によるもの。

陰ながら魔王軍を動かし、徐々にアナタを追い詰め、捕まえて、
魔王軍を完全勝利に導いた、影の功労者でございます。

ええ、勇者様の動きは、私の能力、“千里眼(せんりがん)”を通して、全部つつ抜けでした。

便利でしょう?遠くで起こってる事も、事細かに全て見えてしまうんですよ。

残念ながら、あなたが勝てる道理は、最初っからなかったんです。

…ふふ、そんな怒った顔で睨まないで下さいよ、勇者様。

しょうがないじゃないですか。
私は別に卑怯な手なんか使わなかったでしょう?

正々堂々戦った結果、勇者様は私の頭脳に及ばなかった。
それだけのこと。

嘆くべきはご自分の実力不足ではないでしょうか?

…あらら、今度は泣きそうな顔になっちゃいましたね。
あぁ、もう、可愛いなぁ…

ほんと、急にそういう不意打ち、やめてくださいよ…

私はちゃんとした勝負で、あなたを負かしたんですよ…?
ずるいじゃないですか。

頭脳じゃ全然私にかなわない、よわよわ勇者様のくせに、

(耳元で囁く)そんな可愛い顔ひとつで、私を負かそうだなんて…

…おや、勇者様、今度は顔が赤くなっていますね。
ちょっと耳元で囁かれただけじゃないですか。

もしかして、敵の軍師に耳元で囁かれて、どきどきしちゃいました…?

…っ、だから、その上目遣い、やめてくださいよ…

あぁ、もう、我慢できない…
すみません、勇者様、ちょっとだけ…

ぎゅうううーっ…
(勇者を抱きしめる)

はあぁ~……思ったとおり、最高の抱き心地です…

ここまで頑張ったかいがありました…

本当は、ちゃんと勇者様とお話をしてから、こうするつもりだったんですけど、
勇者様が、あんまり可愛い顔をするものですから、つい…

あん、顔を動かさないで下さいよ。
息が当たって、くすぐったいです…

ふぅ…失礼しました。

さて、勇者様。今日は、ご提案があってまいりました。

あなたは魔王軍にとっての宿敵。
本来は、こうして捕らえられた時点で、あなたの処刑は揺るぎないものです。

ですが…

もし勇者様が、身も心も、私のものになり、一生私のために尽くすと誓うなら…

無傷でこの縄を解き、私の犬にして差し上げましょう。

大丈夫、天才軍師の私の進言(しんげん)なら、あのチビ魔王は、どんなことでも聞き入れます。

むしろ、あの女も、勇者様のことを狙っているふしがあって、油断できな……

…っと、あまりめったな事を言うものではないですね。

ともかく、私に隷属(れいぞく)を誓えば、絶対に勇者様の命は助かりま…

え?

僕は命乞いなんかしない。
おまえのものになんかならない…?

ふふ…ふふふ…あははっ。
あぁ…その反抗的な目も最高です、勇者様…

ふふ、実に堕としがいがあります…
ええ、もちろん、勇者様がそうおっしゃる事は分かっていましたとも。

ですが…

ごめんなさい。
私、実は、洗脳の魔法が使えちゃうんです。

だから、あなたの意思とは無関係に、あなたを従えられちゃうんですよ。

はい、暴れないで下さい。

仮にも勇者と言われるお人なのですから、少しくらい抵抗できるかもしれませんよ?
どれくらい抵抗できるか、ぜひ、見せてくださいね… それ。

キィィィィン…
(魔法の音のSE)

…さて、勇者様。ご気分はどうですか?
もうすでに、目がとろんとしてきましたね。

…勇者様、すでにお気づきかもしれませんが、
私は、勇者様の事をお慕いしております。

私、本当は、魔王軍とか、国だとか、どうでもいいんです…

あなたを手に入れるためだけに、私は今日まで、知略の限りを尽くしてきました。

何年も前から、千里眼で見ておりました。
魔王を倒すために厳しい修行に明け暮れる、可愛い目をした男の子を。

そして、私は知っています。その男の子が、
師匠である女騎士にぼこぼこにされるうちに、

罵られたり、いじめられたりするのが好きな、
どうしようもない駄犬になってしまったことも。

あははっ…!びっくりした顔…
そうですよね…!
まさかそんなことまでバレてるとは思わなかったですよね…?

なぁんでも知ってますよー。私は天才ですから。(耳元で囁く)

ふーっ…(耳に息を吹きかける)

こんなふうに、優しくいじめられるのも…

あむっ。(耳を甘噛みする)

こんなふうに、ちょっとだけ痛いのも…

ガリッ。(耳を強く噛む)

こんなふうに、乱暴に痛めつけられるのも、ぜーんぶ大好き。

違いますか?違わないよねぇ?

勇者様、私に嘘をつけても、自分の心には嘘はつけません。

ふふ…私のものになれば、いつでも、好きなだけ、
いじめて差し上げられますよ…?

はい、そうです…。好きな時に、好きなだけです。
よーく考えましょうね…
私以上に、あなたを満足させられる女がいるのかどうか…

ほら、
堕ちていく…堕ちていく…

深く、深く…

私なしではいられない…私だけしか愛せない…
そんな体に…

では、改めて問いましょう。
勇者様、私のものになってくれますか?

おや、まだ首を縦に振りませんか。

最高です、勇者様…こんなに抵抗してくれるなんて。
でも…気づいてますか?

だんだん抵抗が弱々しくなっていってます…
目を見たらわかるんですよ…

勇者様は、いま、ぎりぎりで踏みとどまっている。
体はもう、私のものになりたい…

でも、国を裏切る訳にはいかない。
その高潔(こうけつ)な心が、最後のところで、私への隷属 (れいぞく)を拒んでる。

ふふ…そんなところも素敵です、勇者様。

では、とっておきの情報を教えて差し上げましょう。

この魔王討伐の直前、あなたは、
なまじ強くなってしまったばっかりに、
国から、逆に危険分子として疎(うと)まれ、
最後にはなかば放り出されるような形で、
国から追い出されてしまいましたね?

みんなのために頑張ってきたのに、
誰も仲間になってもくれず、
たったひとりで、歯をくいしばって…

魔王を倒せば、みんなきっと、また自分を受け入れてくれる…
それがあなたの、たったひとつの希望だった。

でも、私には千里眼で見えてしまう。
その儚(はかな)い希望は、まったく叶わないことが。

…国のみんなは、こう思っています。

魔王と勇者が、相打ちになれば、最高だと。

そして、あなたがほのかに想いを寄せていた女騎士は、こう言いました。

もし、勇者が勝って、国に戻ってきた場合は…
…すみやかに、殺すべきだと。

理解しましたか?
あなたは、とっくに国に裏切られていたんです…

だから、あなたが国の事を気に病む必要なんて、全くないんですよ…

おやおや、泣いてしまいましたか…

無理もありません。
ずっと心の支えにしてきたものが、崩れ去ったのですから…

でも、安心してください。

ぎゅーーーーっ……(勇者を抱きしめる)

これからは、私を心の支えにすればいい…

私だけは、何があっても勇者様を裏切らない。

私は誰よりも、勇者様が頑張ったことを知ってる。

この城までの道のりも、一人では辛かったことも、
痛くて、悲しくて、夜、たまに一人で泣いていた事も、
全部知ってる…

今までよく頑張りました…勇者様。

これからは、あなたはひとりじゃない。
泣きたくなったら、こうやって、私の胸に飛びこめばいい。

落ち着くでしょう?当たり前です。
あなたは今、愛に包まれているのですから…

ふふ、さっき抱きしめた時は暴れていたのに、
もうすっかり大人しくなっちゃいましたね。

それどころか、私の胸により、深く顔をうずめて…
まるで、小さな子供のようです。

いいですよ。ほら、堕ちてください…

深く…

深く…

心を開いて…二度と引き返せないところまで…


……最後に、もう一度だけ聞きます。

勇者様、私のものになってくれますか?

……ふふっ…嬉しいです、勇者様。

やっと、素直になってくださいましたね…

では、さっそくこれから、魔王軍の総力をもって、
あなたを裏切った国を、滅ぼしに参りましょう。

そしてあの憎き女騎士を殺した後は…そうですね…

元々のあなたの目的、魔王討伐を、ふたりでやってしまいましょうか。
あなたひとりでは勝てませんでしたが、私がいれば無敵です。

ええ、いいんです。言ったでしょう?
魔王軍なんかどうでもいいって。

あとはあのチビさえいなくなれば、
私と勇者様の邪魔をするものは何もない…

そして、新しくふたりで、理想の世界を作りましょう。
ふふ、楽しみですね。

では、縄を解きます。
ひとまず、魔王様に話を通しに行きましょう。
ええ、しばらくは利用価値がありますから。

え?
洗脳の魔法はどうなったのか、ですか?

ふふっ…あははははっ…!!

ねえ、おかしいと思いませんか?

ふふ、気づいてないのなら、教えてあげます。

私は、最初から、洗脳の魔法なんか使えませんよ。

だって、そんなのが使えるんだったら、
さっきの長々としたやりとり、いります?

ただ一言、私のものになれ、って命令すればいいだけでしょ?

ふふ、悪く思わないで下さいね。

嘘とハッタリは、軍師のたしなみ。

それに、洗脳して手に入れた愛なんて、
むなしいだけだと思いませんか?
好きな人の心は、自分の力で堕としてこそです。

つまり、あなたは、洗脳も何も関係なく、
普通に私に堕とされちゃったんですよ、ふふ。

え?何が嘘で何がホントか分からなくなっちゃった?

ふふ、天才軍師相手に、読み合いを挑もうなど、愚の骨頂ですよ。

ひとつだけはっきりしてるのは、
あなたの身も心も、もう私のものだということ。

ふふっ、では、地獄の果てまで共に参りましょうか、勇者様…

いえ…だ・ん・な・さ・ま。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
魔王軍のヤンデレドS軍師に、なすすべなく敗北する
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ
ライター情報
 犬アキラと申します。
 pixivにてフリー台本を書かせて頂いております。
 ヤンデレ、ボクっ娘、ダウナーなどを主に書いております。
 よろしくお願い致します。
有償販売利用の条件
全て有償利用可能です。
利用実績(最大10件)
犬アキラ の投稿台本(最大10件)