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ドSでクールで口の悪い護衛が、実はヤンデレだった
written by 犬アキラ
  • ヤンデレ
  • サディスト
  • 罵倒
  • クーデレ
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
3106文字(約 10分22秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
護衛
視聴者役柄
主人
場所
指定なし
あらすじ
あなたは大財閥の跡取りの“ご主人様”です。
危険がつきものなあなたには、優秀でクールな“護衛”がいます。
今日は朝から護衛と鍛錬をする事になっていましたが、
あなたはなかなかベッドから出られません。
すると業を煮やした護衛が、今日は“特別訓練”をすると言い出して…?
本編
コンコン(ドアをノックする音)

(部屋の中に入る)

おはようございます、ご主人様。
起きて下さい。本日の鍛錬(たんれん)の時間になります。

え?休日なんだからもう少し寝かせてくれって?

甘えた声を出さないで下さい。反吐(へど)が出ます、クソご主人様。
…失礼、言葉が過ぎました。

しかしご主人様、休日だからこそ、朝から鍛錬に打ち込めるというものです。

ご主人様は、この大財閥のたった一人の跡取り。
ご主人様の身を狙う不貞(ふてい)の輩が、いつ何どき現れるとも限らないのです。

…はい。もちろん、そういう時の為に、
護衛たる私がご主人様の側に控えております。

しかし、私とて、24時間ご主人様の側にいられる訳ではございません。

もしもお一人の時に襲われたら?
万が一を考え、自分の身は自分で守れるようにならなくてはなりません。

ただでさえポンコツなご主人様は人より身体能力が低い上に、
才能の欠片もない駄犬……

失礼。言葉が過ぎました。

ともかく、質で劣るなら、量でカバーしなければならないのです。
ご理解いただきましたら、早くベッドから降りていただけますでしょうか。

…おや。普段なら、ここまで言えば、のろのろと芋虫(いもむし)のように
ベッドから這い出てくるところなのですが…
今日はここまで言っても、布団の中で情けなくうごめくばかり。

これはいつもと様子が違うご様子。
いかがいたしました、ご主人様?

私も鬼ではありません。体調が優れないのであれば、今日のところは…

別にそういうわけじゃない?ただ、今日はやる気が出ない…

ふむ。私のような、強くて、優しくて、スタイル抜群の美女が、
手ずからご教授差し上げようというのに、やる気が出ないと。

いったい何様なのでしょうか…
聞いているのですか?クソご主人様。駄犬。とーへんぼく。

…はぁ、これでは、訓練場に行くことすらままなりませんね。
分かりました。本日はいつもの鍛錬は中止しましょう。

代わりに、この部屋でもできる、“特別訓練”に変更致します。

あぁ、ご主人様は布団から出る必要はございません。
どうぞそのまま。
少し、端に寄ってくだされば、それで結構。

では、失礼。

(布団の中に入る)

え?何で布団に入ってくるのかって?
ですから、本日は特別訓練と申し上げたはずです。

そんなに大きな声を出さないで下さい。
そんなに元気がおありなら、普通の鍛錬に戻しますよ。

結構です。では、始めます。

ふーっ…。(耳に息を吹きかける)

ですから、クソご主人様、声を上げないで下さい。

次、声を上げたら太ももをつねりますよ。

私は細身ですが、握力はご主人様よりも上である事、ご存じですよね?
私につねられれば、その場所はたたではすみません。

しっかりと、声を我慢していただきますよう。

え?これは何の訓練なのかって?

いいですか、ご主人様。
ご主人様の身にふりかかる危険というのは、
何も暴漢に襲われる事ばかりではございません。

たとえば、ご主人様の事を狙った女性が、あの手この手でご主人様に近づき、
懐に入り込み、ご主人様を篭絡(ろうらく)し、身も心も支配し、堕落させ、乗っ取る。

こういった事が起こる可能性は十分にあります。

残念ながら、気が弱い上に女性に耐性のないご主人様では、
そういった手合いを相手にすれば、数分と持たず、
たやすく堕とされてしまう事は明らかです。

ですから、今日は、そのような状況になっても負けないようにするために、
相手に屈服しない、強い心を養う。そういう訓練になります。

今日は、そうですね。初めてですから、肩慣らしとして、
耳を少し責める程度にしておきましょう。

…何ですか、その絶望的な表情は。
いくらご主人様がどうしようもないヘタレの、駄犬とはいえ、
まさか、耳を吹かれるだけで堕ちてしまうなんて事はありませんよね?

では…

ふーっ…(耳に息を吹きかける)

…声はギリギリ我慢できたようですね。
少しずつでも、成長できる事は良い事です。

しかし、そんなに体をびくっとさせていては、
気持ちいいと白状しているようなもの。

もっと理性を保って、心を落ち着けて下さい。
そして、誘惑を跳ね返すのです。
いきますよ…

ふーっ…(耳に息を吹きかける)

いいですよ、よく我慢できました。しかし、まだです。

その表情はよくないですね。

必死に我慢してる顔、それを敵に見られてしまっては、結局は同じ事です。
それに、そのような可愛い顔を間近で見せられては、私の方が昂ってしま……

いえ、失礼。

では、今一度参ります。心を落ち着けて…そう…

ふーっ…(耳に息を吹きかける)

いいですよ、ご主人様、素晴らしいです。
では、次のステップに参りましょう。

“敵”は、数々の甘い言葉を用いて、ご主人様を篭絡しようとしてきます。

何を言われても、誘いに乗らない。誘惑に屈さない。よろしいですね?

そうですね、たとえば…

(耳元で囁く)ご主人様…好きです。

はい、愛しています…心から。

ですから、どうでしょう…ご主人様。

(耳元で囁く)そろそろ、身も心も、私のものになりませんか?

最近、どうも、ご主人様が、
メイド長にたぶらかされているように感じてなりません…。

ご主人様、彼女は確かに優秀な女性。
しかし、いくら優秀とて、腕力は知れたものです。

あの女では、いざという時にご主人様を守れません。

その点、私なら、何があってもあなたを守れる。

それに、私は長年あなたのお側に控えていましたから、
あなたの考えている事は手を取るように分かります。

最近は、メイド長との事をどうしようか悩まれて、
よく眠れていなかったのでしょう?

ふふ、まだまだ甘いですね。私が気づかないはずがありません。

あとは、そうですね…口では嫌がっていても、あなたは私に…

ふーっ…(耳に息を吹きかける)

こうやって、いじめられたいと思ってる… 支配されたいと思ってる…
ふふ…不意打ちでしたから、体が跳ねてしまいましたね。
でも、よく声を我慢しました。
私の言いつけを守らなければと、体が無意識に頑張ったんですね。

気づいていますか?
あなたの体は、すでに私に逆らえないようになっているんです…

あぁ、そうだ。
きちんと言いつけを守れたご主人様には、ご褒美をあげないといけませんね。
頭をなでてあげましょう。

よしよし…
よく頑張りました…偉いですよ、ご主人様…

そう、あなたは受け身のへたれで、
罵倒されて喜ぶ救いようのない駄犬ですが、それだけじゃない。
時にはこうして甘やかしてほしいとも思ってる…。

どうしようもなくわがままで、馬鹿で、根性なしで…
…っと、失礼。口が過ぎましたか?
ふふ、でも本当の事ですよね。ご主人様…

ほら、私に頭をなでられるたびに、表情がとろんとしていきます。
これは、私だけが知るご主人様の表情ですね。

気づいていますか?
(耳元で囁く)あなたの心も、すでに私のものになっているんですよ…

(少し間を空けて)

はい。
こういった具合に、敵はご主人様の心の内に入り込み、篭絡してこようとします。
こういったものに耐える強い心が、ご主人様には必要不可欠であり……

……おやおや、寝てしまいましたか。

…実に無防備な寝顔ですね。よほど私の事を信頼していると見えます。

ふふっ…。あははっ。
このぶんなら、あと何回か“特別訓練”を繰り返せば、
あなたの身も、心も、私のものにできそうですね?ご主人様。

さて、今日の“訓練”はこれで終わりになりますが、最後にお勉強を一つ。

ご主人様は、「獅子身中(しししんちゅう)の虫」、という言葉をご存じでしょうか?

ご主人様を篭絡しようとする“敵”は、目の前の女かもしれません。
きっとその女は、あなたを手に入れる為なら手段は選ばないことでしょう。

その執着心は、メイド長などの比ではありません。
ゆめゆめ、油断なさいませんよう…

では、ひとまずおやすみなさいませ。我が愛しのご主人様。

――どうぞ、悪い夢を…。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ドSでクールで口の悪い護衛が、実はヤンデレだった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ
ライター情報
 犬アキラと申します。
 pixivにてフリー台本を書かせて頂いております。
 ヤンデレ、ボクっ娘、ダウナーなどを主に書いております。
 よろしくお願い致します。
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