意味も無く涙が頬を伝う。
生きる意味を日々繰り返し考えているけれど決して答えが出てくることはない。救われない女の子の寂しい話。
淡々と無感情に誰にともなく呟くように、ゆっくりと演じて頂けたらと思います。

悲しくなんてない。

寂しくなんてない。

苦しくなんてない。

辛くなんてない。

そして……

　――(間)

切なくなんて無い

　――(間)

なのに

　――(間)

涙が流れるのは何故だろう。

涙が頬を伝うのは何故だろう。

涙が止まらないのは何故だろう。

そして

　――(間)

死にたくなるのは

　――(間)

何故だろう。

　――(間)

今すぐにでも

死にたい。

今死にたい。

だけれど。

理由が無い。

死ぬ理由が何もない。

だけれど死にたい。

　――(間)

だから、今すぐにでもベランダから飛び降りたい。

自分でも何故だかわからない。

なのに。
今すぐこの１５階にある自分の部屋のベランダの柵を乗り越え、軽やかに飛び越えたい衝動に駆られるのは何故だろう。

何故なのだろう。

頭から地面に向けて垂直落下で地面に叩きつけられたい。

この貧相な頭を、身体を叩きつけたい。

そして、一瞬にして、粉々に飛び散りたい。

そうなったら、きっと清々しい気分になれるのではないか。

思うのだ。

この世から居なくなりたい。
今すぐに。

私が、この世に存在する理由が分からないから、この世から居なくなりたい。

そう、わからない。

自分がわからない。

自分の感情がわからない。

自分で自分がわからない。

自分の気持ちがわからない。

こんな状況で他人に自分のことを分かってもらえる訳がない。

でも、こんな状況を他人に分かってもらおうとも思わない。

けれど。
どこかに自分のことを理解して欲しいと思っている自分もいる。

何故だろう。
矛盾している。

矛盾しまくりだ。

ただ、わかっていることは、自分の脳内が矛盾で溢れかえっていること。

それだけだ。

笑えてしまうほどに自分がわからない。

何故、自分が此処にいるのかわからない。存在意義がわからない。

いや、別に私の存在意義なんて、そんなもの無くても私的には全然構わないのだけれど。

だけれど思うのだ。
満天の星空の下、こんな中途半端な気持ちの私が生きていて良いものか。

星空を眺めていると、星達が見窄《みすぼ》らしい私のことを見下しているように思えてくる。

何の救いも無い。

けれど。
救ってもらおうとも思わない。

やはり矛盾している。

だから、自分を傷つけることでしか、自分の存在を認識することが出来ないのだ。

たから、今日も自分で自分を傷つける。
流れゆく鮮血を何の感情も無く眺めることで、心を落ち着かせる。

細（ささや）かな痛みから感じることができる。

自分は生きているのだと。

自分は生かされているのだと。

嫌々生かされているのだと。

嫌々生きてゆかねばならないのだと。

私の物語に終わりはあるのだろうか。

私の物語に終わりはないのだろうか。

自分のことを私の彼氏と呼ぶ男が、ありきたりの言葉で私を慰める。

けれど。
私は、内心イラっとしながら大丈夫と言う言葉を機械的に吐き、そして、さも彼に救われたような演技で、ありがとうと言う言葉を嬉しそうに演じて出力する。

そして自分のことを私の彼氏と呼ぶ男は、満足気に電話を切るのだ。

まるでこれが決められたルーティンワークのように度々繰り返される。

満足気に電話を切る彼のことを羨ましく、そして 妬（ねた）ましく思いながら。

きっと私は明日も生きている。

きっと明日と言う日は変わらずにやってくる。

私はもう十分に生きた。
満足だ。

きっと私は明日も死にたいと思っている。

きっと私は明後日も死にたいと思っている。

ずっと私は死にたいと思っている。


出口のふさがれた迷路を彷徨（さまよ）いながら。

ﾆｸｷｭｰP
初恋
昭和に死にたかった
眠りの世界への誘い【睡眠導入ASMR風：女性キャスト向け】

・台本（ゆるボイ！）
●涙が止まらない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ﾆｸｷｭｰP