あなたは、とある女の子に仕える執事です。
彼女はとっても難儀な性格をしていて、
あなたは今日も理不尽な事を言われて…？

はぁ…やっと来た。

ねえ、遅いよ。

ボクがコールしたら、10秒以内に来いって、いつも言ってるよね。

夕食を食べてた？

ハア？？？

あのさ、ボクの呼び出しと、お兄さんの夕食、どっちが大事だと思ってんの？

あのね。お兄さんのご主人様は、このボクなの。

なに、その態度。何か文句あるの？

チッ…。（舌打ち）

相変わらず、使えない執事だなぁ。

あぁ、イライラする。もういいや。

コーヒー淹れてよ。コーヒー。

砂糖とミルク２つずつね。ほら、早く！


（少し間を空ける）


うぇ…まっず…

ねえ、どういう淹れ方をしたら、こんなにまずくできるの？

ホンットに、わけわかんないんだけど。

はい、土下座。

いーから、土下座。

ねえ、ボクの言うこと聞けないんだったら…

クビにしちゃうよ…？お兄さん。（耳元で囁く）

困るよねぇ…クビにされたら…（耳元で囁く）

お兄さん、いっぱいある借金、返さなきゃいけないもんねぇ…？（耳元で囁く）

ふふっ…

そうそう…

そこにひざまづいて…


（少し間を空ける）


…あのさ。

今、お兄さんは、ボクに怒られてるって、分かってる？

何で、お腹、ぐーって、情けなく鳴らしちゃってるわけ…？

反省の色が、全く見受けられないんですけど。

…ああ、そっか。

夕飯、まだだったんだっけ…

じゃあ、いいよ、食べて。

ハイ。どうぞ。ボクの足。

何？なんかご不満？

早くしないと…

お兄さんのこと、嫌いになっちゃうよ…？（耳元で囁く）

はい、あーん…

っはは…

はははッ…

なっさけな…

今のお兄さん、情けなさすぎ…！

年下の女の子になすすべなく、いいようにされちゃうなんてさあ…！

あはははははは！！！！

ねえ、もっと、しっかり食べてよ。

指の一本一本まで、しっかりさぁ…！！

お腹減ってるんでしょ！？

いいじゃん、ボクのスベスベの足を食べさせてもらえるんだから、幸せでしょ…？

何…？その手。そんなに足叩かれたら、痛いんだけど。

ああ、息ができないのか…

なんか、つまんな。

もういいよ。離れてくんない。気持ち悪いから。


（少し間を空ける）


…え？

何、これ…

辞表…？

何、で…？

え？何？？？何で？？？

やめるの？？？

どういうこと？？？

だってお兄さんは、お金が必要なんじゃ…


（少し間を空ける）


もう、耐えられない…？

ちがっ…え？

だって…

お、お兄さんは優しいから、ボクのこと、何でも
受け入れてくれると思ったから…

ちっ、違うよ…！

お兄さんのこと、誰よりも信頼してるから…

その、信頼の裏返しと言うか…！

そりゃ、やりすぎちゃったとは思うけど…！

でもでも、お兄さんだったら大丈夫だって思って…！

ごめんなさい！ごめんなさい！

ねえお願い、ボクのこと捨てないで。

今さら無理だよ、お兄さんがいない生活なんて…！

お兄さんがいなくなったら、誰がボクを守ってくれるの…？

この、汚い大人ばっかりが集まる、地獄みたいな家から…！

ボクの周りの大人は、みんな最低だった…！

無駄に大きい、家柄のことばっかり気にして、
ボクのことなんか道具としか思ってない、そんな最低な連中…！

やっと、お兄さんみたいな、心を許せる大人にめぐり会えたのに…！

こんなのってあんまりだよ…！

ごめん…何でもする、何でもするから…！

あっ、そうだ！

ね、ちょっとここに座って。

お兄さんの好きなことやったげる！

だめ。動かないで…（耳元で囁く）


ふーっ…（耳に息を吹きかける）


ね。お兄さん、これ好きでしょ。（耳元で囁く）

ボク、ちゃーんと知ってるよ。（耳元で囁く）


（少し間を空ける）


いっ…！

いったっっ…！！


そっ…

そっか…

ほんとに、出てくんだ…

ははっ…

いいよ…別に…

いいよ、出てけばいいよ、出てけばいいじゃん！！！

お兄さんは、まだ、分かってない…

ボクは、この、薄暗くて、歪で、そのくせお金だけはある、汚い屋敷の、ひとり娘…

お兄さんがどこに行ったって、ボクは必ず探し出す…

どんな手を使ったって…

お兄さんが生きてる限り、地の果てまで、追いかけ続けるから…

だって、こんな、壊れちゃったボクのこと、許してくれるのは…

お兄さんしか、いないんだからね…！！

・台本（ゆるボイ！）
ドSでジト目で歪でヤンデレなボクっ娘ご主人様
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ