あなたは、とある普通の男の子です。
普通に学校生活を送っていたはずなのに、
気がつくといつの間にか不良に目をつけられ、
日常的にカツアゲをされてしまっていました…

あ、お兄さんじゃーん。

どうしたの？こんなとこで、こそこそして。

もしかして、僕に会わないように、こっそり裏口から帰ろうとしてた？

あはは、甘いなぁ、お兄さん。

お兄さんの考えてる事なんて、僕には手に取るように分かっちゃうんだから。

不良だからって、頭が回んないなんて思われちゃあ心外だな。


さてさて、じゃあ、お兄さん。

今って、お金持ってない？

ちょーっと僕、お金がたくさん必要でさぁ。

やっぱり、こういう時って、年上の人に頼るのが一番じゃん？

だから、頼りがいのあるお兄さんから、
ちょっと、お金分けてもらおうかなー、なんて。

ってワケでさぁ…

…ちょっと、ジャンプしてみてよ。（耳元で囁く）

今日はお金は持ってない？

あははは、すーぐ嘘つくんだから。

いーから、早くジャンプしろよ…（低い声で）

口でなら、何とでも言えるだろ…

こっちは、その情けない口なんか1ミリも信用してないの。

だから、直接体に聞いてやろうってワケ。

ねぇ。早くしないと…

痛いことするよ。（耳元で、低い声で囁く）


（少し間を空ける）


はーい、よくできましたぁー。

ふむ。確かにお金の音はしないねぇ…

あぁ、ちょっと待った。

いやいや、お兄さん、お金って、小銭だけじゃないから。

分かってるんだよ？

今日は、お兄さんの好きなゲームの発売日。

お札、持ってないワケないよねぇ…？

どこに隠してんの？

はーい、ボディーチェックしまーす。

あ、こら！

逃げんなって、言ってんだ、ろっ！


ドスッ！（お腹を殴る）


あーあ。僕の事怒らせたから、動けなくなっちゃったね。

とはいえ…後輩の、しかも女の子に殴られて、うずくまっちゃうって、
男として情けなくないの？

そんなに力入れてないだろ。ほら、しゃきっと立って。


（少し間を空ける）


う～ん？

財布はカラッポ。

ズボンのポケットはなし…

ワイシャツの胸ポケットもなし、か…

いや、でも今日は絶対持ってるハズ…

あ…

さては、さらにその奥のインナーの中とか…？

甘いな、お兄さん。

僕が、そこには手を出せないと思ったら、大まちが…


…何？

距離が、近い…？

密着してんだから、当たり前じゃん、そんなの。

とうとう、おかしくなっちゃったの？おにいさ…


…あ…

もしかして、お兄さん…

僕がこんなに近くにいるから、ドキドキしてんの…？


あはっ…

あはははははっ！！！

お兄さん、バカじゃないの！？

お兄さん、今、脅（おど）されてるんだよ！？

どーいう胆力（たんりょく）だよ…逆に見習いたいわ。

実は僕より度胸あんじゃないの、お兄さん。


まぁ…そーいうことなら…

そうだねぇ…

ちょっと、攻め方を変えてみようかな？


ふーっ…（耳に息を吹きかける）


はは…体、ビクっとなっちゃったねぇ。

お兄さんの口は嘘つきだけど、やっぱり、体は正直だ…

じゃあ、次は…

たまには後輩らしく、可愛くおねだりしてみようかな？


ねぇ…せんぱぁい…

僕、先輩のお金、欲しいなぁ…

他の人のじゃダメなの…

先輩のがいい…

だって僕、先輩のこと、大好きだから…（耳元で囁く）


…どう？

どーせこういうのが好きなんでしょ？お兄さん。

ごまかしてもムダムダ。

僕はなーんでも知ってる…

お兄さんは、僕にはどうやったってかなわない…

ほら、早く言っちゃいなよ…

どこに隠してるの？お・か・ね。（耳元で囁く）


…ふーん、一瞬、足元に目線向けたねぇ？

なるほど。靴下の中か。

考えたじゃーん。お兄さんのクセに。

あやうく見逃すトコだったよ。

じゃ、靴と靴下脱がしちゃお…

おっと…おとなしくしてな…（耳元で囁く）


あむっ。（耳を噛む）


ふふっ…殴ったり蹴ったりするより、こっちの方がよっぽど効果的じゃん…

お兄さんの、ざーこ…（耳元で囁く）


（少し間を空ける）


はーい、毎度ありー。

ありがとねー。お兄さん。

これでまた、大切な貯金がちょっと増えたよぉ。

え？

カツアゲするなんて、人として最低だって…？

やだなぁ、お兄さん。

僕は、カツアゲなんて、ただの一度もしたことないよ。

僕は不良だけど、不良には不良なりの美学がある。

他人のお金に手を出すなんて、そんなのは、不良なんかじゃなくて、ただのクズだ。


え？

何言ってんの？お兄さんと僕は、他人なんかじゃないじゃん？

これは、お兄さんと僕の、大切な結婚資金。

お金づかいの荒いお兄さんに代わって、僕がちゃーんと管理してあげてるだーけ。

安心して？お兄さんからもらったお金は、すぐに貯金箱に入れて、
一円たりとも使ったことなんてないから。

まったく、お兄さんはしょうがないんだから。

ゲームなんて買うお金があるなら、僕と、一日でも早く結婚しよ？

…何を言われてるか、分かってないって顔してるね。

ま、別に、理解する必要なんかないよ。

欲しくなったものは、必ず手に入れる。

僕のものは、僕のもの…

そして…

お兄さんも、僕のもの…（耳元で囁く）

それが、不良のやり方ってワケ。

さっき言ったじゃん？

先輩のこと、大好きだって。

演技なんかじゃないよ。

僕は、噓なんかつかない。

誰かさんと違って、ね…。

あ、ちなみに、まだまだ全然、結婚費用には足りてないからね？

明日は、もっといーっぱい、持ってきてね。

うん…？まぁ、そうだね。

本当に持ってこなかったら、さすがの僕も、管理できない…

でもね…

お兄さんは、持ってくる…

だって、もう、心が、僕に負けちゃってるから…

僕に管理されたいって、思っちゃってるから…

普通の人は、カン違いしがちだけどねぇ…

何も、ケンカで負けることだけが、敗北じゃないんだよ。

じゃあね、お兄さん。

明日も、期待してるよ。ふふっ。

・台本（ゆるボイ！）
ボーイッシュでヤンデレな不良の僕っ子にカツアゲされる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ