あなたは、魔王を倒す為に育てられた“勇者”です。
長い旅の果て、あなたはついに魔王と対決します。
しかし、魔王には全く歯が立ちません。
もう、体力も、魔力もなくなり、万事休す。
もう、魔王の攻撃は、かわせそうにありません…

よくぞここまでたどりついたね。勇者。

正直、びっくりだよ。

たったひとりで、ここまで来れるとは思わなかった。

ボクの精鋭（せいえい）たち相手にね。

特に、軍師…

あいつは、性格は悪いけど、頭脳に関しては天才的だ。

よく、あいつらをくぐり抜けて、ボクの元にたどり着いた。

やっぱり、キミは最高だ。

ボクは、ちゃんとキミと戦いたかったんだ…

良かったよ。キミとちゃんと決着を着けられそうで…

さぁ、戦おう…！！

人間と、魔族の命運をかけて、お互いのすべてをぶつけ合おうよ…！！


（少し間を空ける）


…この程度？

全然効かないなぁ…

キミは、それでも勇者なの？

こんなんじゃ、ボクにはダメージを与えられないよ…？

…もう、疲れちゃったみたいだね。

じゃあ、次は、ボクのターンだね。

あはは、そんな泣きそうな顔すんなよ。

だいじょーぶ。痛いことなんかしないから！

じゃあ、いくよ…


ぎゅーっ…（抱きしめる）

どう？…これがボクの攻撃。

痛くないっしょ？（耳元で囁く）

あはっ…！

思ったとおり、勇者、バツグンの抱き心地だぁ…！

んん～～、すりすり～

ほっぺもスベスベだぁ…

えへへへ…

え？これは攻撃じゃないって？

何言ってんの。

顔真っ赤にして、息も絶（た）え絶（だ）えのクセに。

どう見ても効果バツグンじゃん。

可愛いなぁ～～～、もう。

勇者はね、魔法とかじゃなくて…

こういう色仕掛（いろじか）けに弱いと思うって、軍師が言ってたからさぁ～。

そのとおりだったねぇ？

ほら、頭なでたげる。

なでなで、なでなで。

こら、暴れんなよー。あはは。

しょーがない、暴れるなら、ちょっと痛くする、よっ！！


ドスッ！！！（殴る）



ふふ、やっと静かになってくれたね。

ボク、素直な奴は好きだよ。

おりこーさんだね、勇者。よしよし。

（少し間を空ける）

ねえ、勇者、大事な話があるんだけど。

勇者…ボクに、降伏してくれない…？

うん。ボクは魔王で、キミは人間。

ボクたちは、本来は、相容（あいい）れない存在…

ホントは、キミのこと、すぐにでも、始末しなきゃいけないんだけど…

ボクは、キミのことが、気に入った。

このお城にたどりつこうと、たったひとりで、一生懸命頑張るキミの姿…

たまに、城を抜け出して、こっそり空から見てたよ。

応援しちゃいけないんだけど、がんばれ、がんばれ、って思ってた。

すっごくひたむきで、可愛くて、かっこよくて、もう、絶対に…

ボクのものにしたいって、ずっと思ってた…（耳元で囁く）

ありがとうね…のこのこ、やって来てくれて…

ボクのものに、なりにきてくれて…

降伏してくれれば、キミを始末しなくて済む…

キミのことだけは、助けてあげられる…

もう、何も考える必要はない…

ボクが、ちゃーんと、飼ってあげる…

ね。どう…？


（少し間を空ける）


え…？何…？

は…？

ボクのものに、なってくれない、の…？

ふざけん、なよ…

ボク、魔王なのに…？

こんなに可愛いのに…？

みんなが、ボクにひれ伏すんだよ…

みんなが、ボクを尊敬してる…

みんなが、ボクに憧れてる…

ボクの下僕になりたい奴なんて、腐るほどいるんだ…

そんな中で、キミは、ボクのご指名が入ったんだよ…？

断るなんて、そんなこと、許されない…

許されないんだ…（耳元で、低い声で囁く）

ボクは、欲しいものは全部手に入れてきた…

何も、かも…！！

これからだってそうだ…！！

ボクの手に入らないものなんてない…！！

ボクに手に入れられないものなんかない！！！


（少し間を空ける）


いいよ…

キミは勇者だからね。

大丈夫。ボクだって、一筋縄（ひとすじなわ）でいくとは思ってない…

キミは、これから、ゆっくり時間をかけて、堕（お）としてやる…

絶対に、堕としてやるから…（耳元で、低い声で囁く）

ふーっ…（耳に息を吹きかける）

じゃあ、地下の牢屋に、連れて行くからね…

ボクのものになりたくなったら、いつでも言って…？

どんなに光栄なことか、すぐに、分からせてあげるから…！！

アハハッ…！

アハハハハハッ…！！




to be continued...

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレなボクっ娘魔王は、勇者のことを手に入れたい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ