あなたには、幼馴染がいます。
小さい頃からの腐れ縁であり、悪友です。
あなたにとって、頼れる異性と言ったら、その子くらい。
今日は、そんな彼女にあるお願いをしようとして…？

おーい、こっちこっち。

もー、おっそいよー。

え？時間ぴったり？

そーいうことじゃなくて。

待ち合わせの時間自体が遅いって言ってんの！

せっかくこんないい天気なのに、お昼からとか！

朝からでしょ！普通！もったいなくないの？時間が！

あぁはいはい、分かってるよ。

きみは、寝るのが何より好きだもんね。

どうせ、朝に待ち合わせたって、起きれないしね…

長い付き合いだから、もう身に染（し）みたよ。

もう、遅刻しなかっただけで、良しとするよ。ハァ…

でもねぇ、そんなんじゃー、一生、女の子が寄りつかないよ？

私と遊ぶのもいいけどさー。
私だって、いつかは誰かと付き合っちゃうかもしれないわけで。

そしたらどうするの？
きみはずーとひとりぼっちで過ごす気？

お前と付き合いたい男なんかいるのか、って？

はぁ！？
言っとくけどねえ、私、わりとモテるからね！？

きみは、どんなにいい女と一緒にいるか分かってない！

告白だって、もう何回かされてんだから！

まぁ、どの人もピンとこなかったから、オーケーはしてないけど。

なんだかんだで、私もきみといるのが、一番楽だと思っちゃってんだろーね。

まぁ、私の運命の人が現れるまでは、一緒にいてくれたまえよ。

どうせきみはずっと独り身だろうし！

あはは！怒んないでよ！相変わらず、短気なんだから。

(少し間を空ける）

で？今日はどこ行くの？
珍しいじゃん、きみから誘ってくるなんて。

え？

ペンダントを買いに行く？

ペ、ペンダント！？き、きみが！？

い、いや、別にいいんだけど…

きみ、アクセサリーなんか興味なかったのに、急にどしたの。

好きな人でもできた？

（少し間を空ける）

え！？

マジで好きな人できたの！？

そ、そうなんだ…

え、きみ、人を好きになることなんかあるんだ…

い、いや、だってきみ、あんまり感情無いし…

ペンダントをプレゼントして、告白するつもりなの？

へ、へぇ…

で、でも、まだ付き合ってないんだよね？

…そのプレゼント、重くない？大丈夫？

いや、ペンダントは軽いでしょ、じゃなくて！

バカなの！？物理的な話じゃないよ！

付き合ってもないのにそんなの渡して大丈夫かって言ってんの！

で、しかも、何でそれに私が付き合わなくちゃいけないんだよ！

女の子の好みが分からないから、アドバイスしてほしい…？

えぇ～…

なんか、気ぃ乗らないなぁ…

そういうのって、ようは気持ちでしょ？
自分で頑張って選んでこそ、気持ちが伝わるんじゃないの？

一生のお願い？

きみは、困ったらすぐそれ言うね。

もう何回、一生のお願いしたと思ってんの。

ったく…謎のプレゼントに付き合わされるこっちの身にもなってよ…

（少し間を空ける）

…わかった！わぁーーかったよ！

もう来ちゃったから、しょうがない、付き合うよ！

そんかし、夜ゴハンおごりだかんね！

じゃあ、もう、パパっと済ませて、ボウリングでも行こ！ほら、早く！

（少し間を空ける）

う～ん…

思ったより色々あるね…

そういや、好きな子って誰なの？

図書委員の…？

あーーー、あの大人しそうな子かぁ。

きみ、あーいうのがタイプだったのか…ふーん…

（少し間を空ける）

うーん…そうだなぁ…私なら…

あ、これなんかどう？この色、絶対私に似合う…

あ、そっか…私のじゃなかったね。

ゴメン、ゴメン……。

あの子は、私と雰囲気真逆だからね。
これじゃあ、あの子には似合わない、よね…

うん…

えっ？

ごめん、聞いてなかった。なに？

ああ、うん。

いいんじゃない？

それなら、大人っぽいし、あの子に似合いそう。

…私には、似合わないだろうけど…

あ、それ買うの？

そかそか。よかったね、いいのあって。

それなら、告白、も………


……あ、あのさ！！

……ううん、何でもない。

私、外で待ってるよ…。

（少し間を空ける）

あ、買えたんだ。早かったね。

へぇ、きれいな包みだね。

こんなのもらえたら、嬉しいだろうなぁ。

これ、渡すんだ。あの子に。

うん、そりゃ、そうだよね…

そりゃ、渡すに決まって………。


………あのさ。

ごめんなんだけど、ちょっと、こっち来てくれない？

そこの陰に。人に見えないとこに。


ぎゅーっ！！


…いきなり抱きついて、ごめん。

びっくりするよね。

うん、なんかさ…私、イヤだな、やっぱり。

なんていうか、きみがその…他の女に、告白したりするの。

あはは、何言ってんだろね。

………っ。

ゴメン…

ほんとゴメン…！！！

こんなことするつもりじゃなかった…！

こんな…今まで守ってきた線引き、踏み越えるつもりじゃなかった…！

さんざん腐れ縁やってきて、きみは悪友みたいなもんで、
一緒にいて楽しいだけで、お互いに別にそれ以上は望まない、
気楽な関係だったハズなのに…！

これからも、そうしていこうと思ってたのに…！


その、きれいな包みを見た瞬間、なんか、私の中で、弾けちゃった…！


イヤだ！！イヤだ！！きみが他の女のものになるなんてイヤだ！！

ねえ、私、いつの間にか、きみのこと好きになっちゃってたよ！

あの子に嫉妬して、はじめて気づいた…！

ダメだよ、私とずっと一緒にいたのに、これからだって一緒にいたいのに、
今さら他の女にのりかえようだなんて…！

だめ、だめ、ほんとに。やめてほしい。お願い。

お願、い…。

そうだ…

一生の、お願い…

一生のお願い！！私がまだ使ってなかった、一生のお願い！！

今使う！！今ここで使う！！

ねえ、その告白やめて、そのペンダント、私にちょうだい！！

きみのこと、私にちょうだい！！！

絶対に、あの子よりも満足させてあげるから！！！

（少し間を空ける）

…くれない、の？

一生のお願い、なのに…

私、何回も、きみの一生のお願い、叶えて、きたのに…

そういうの、よくないんじゃ、ないかな…

友達を、裏切るんだ。そうやって。

うん、きみが裏切るんなら、私も、もう、きみに容赦しないよ。

どんな手を使ってでも、きみを手に入れる。

私は、きみのこと、何でも知ってる。

きみの家も、きみの個人情報も、なんだって。

きみを陥れようとすれば、なんだってできるよ。

そうやって、全てを失わせて、私しか隣に立つ人がいないようにしてあげるよ…

しょうがないよね、きみが裏切るから悪いんだもん。

（少し間を空ける）

…え？

やっぱり、ネックレスくれるの？

あははっ！！！そっかぁ～～～！ありがとう！！

でもでも、分かってると思うけど、あれだよ？

これをくれるってことは、きみは、私のものになるってことだからね？

そこんとこ、うやむやにしないようにね～。

きみは、その場しのぎが得意だからさ。釘を差しとかないとね～。ふふっ。


どう？似合う？

似合うに決まってるよね！きみが、私のために選んでくれたやつだもん！

色なんか別に、私は何色だって似合っちゃうんだからさぁ！！


…さて、じゃ、行こっか。

ボウリングはこっちじゃない？

ボウリングなんかどうだっていいよ、もう。

ホテル行こ、ホテル。

何でって…？決まってんじゃん…

きみのプレゼントが、その場しのぎじゃないってこと…

ちゃーんと…態度で示してもらわないといけないから、ね…

期待してるよぉ。悪友…

ふーっ。（耳に息を吹きかける）

・台本（ゆるボイ！）
腐れ縁で悪友な幼馴染が、ヤンデレになってしまう
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ