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さびれた神社の、ヤンデレなお稲荷様
written by 犬アキラ
  • ヤンデレ
  • 人外 / モンスター
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
1987文字(約 6分38秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
お稲荷様
視聴者役柄
参拝者
場所
指定なし
あらすじ
毎年、お正月にお参りしていた、さびれた神社。
今年も、あなたはその神社にやってきました。
今年のお願いは、「彼女が欲しい」。
すると、どこからともなく女の人が現れて…?
本編
ほう。
今年も来たようじゃのう。感心感心。

わしか?

わしは、この神社にまつられている狐の、稲荷(いなり)…

まぁ、言ってしまえば、神様じゃの。

…なんじゃ、そのうさんくさそうな顔は。

こすぷれ…?

違うわ!!この耳もシッポも、まぎれもない本物じゃ!!

おぬし、神様ナメてない!?

おぬしのために、今年は満を持して、わざわざ現れてやったんじゃけど!!

ああ!こら!シッポをモフモフするな!耳を触るな!

もっと崇(あが)めたりとか、感謝したりとかあるじゃろ!このこわっぱ!

わしはおぬしより何千倍も長い時を生きてるんじゃからな!?
偉いんじゃからな!?

え?わしの歳?

あのな…おなごに歳をたずねるとか、失礼にもほどがあるじゃろ。

体は大きくなっても、「でりかしー」は学ばなかったようじゃの。

…ん?そうじゃよ。

わしは、こーんな小さい時から、ずーっとおぬしを見てきたのじゃ。

昔は、よくこの境内(けいだい)で遊んでおったじゃろう?

嬉しいことがあった時も、悲しいことがあった時も、
決まっておぬしはここに来た。

でも、成長するにつれ、おぬしは来なくなっていった…

…寂しかったのじゃぞ。

しかし…まぁ、もう外で遊ぶような歳ではないことくらい、分かっておる。

それからも、毎年、正月のお参りだけは、一度も欠かさなかったからの。

広い心で、許してやるとしよう。


なんで急に、現れたのかって?

ふむ…そうじゃな。

わしは、本来は、こうして現世(うつしよ)に姿を現すことはできぬ…

しかし、今までおぬしが少しずつ積み上げてきた、積もり重なった信仰の力…

そして、今年、おぬしが願った、
「彼女が欲しい」などという、煩悩(ぼんのう)にまみれた願い…

それらが合わさって、わしはこうして姿を現すことができたというわけじゃ。

(少し間を空ける)

…ふふっ。

そうじゃ。察しが良いの。

このわしが、おぬしの彼女になってやろうというわけじゃ。

嬉しかろう?(耳元で囁く)

は?
神様と付き合うなんて怖い…?

阿呆(あほう)。わしが良いといったら良いんじゃ。

まぁ…確かに、前例はない。
神を侍(はべ)らす男など、おぬしくらいのものじゃ…

まさに、神をも恐れぬ所業と言えよう。

くくっ…

動けない?ああ、すまぬな。

神の力で、おぬしが逃げられないように術をかけさせてもらった。

それもこれも、おぬしがこんなに、
わし好みに成長するから悪いのじゃ…(耳元で囁く)

あの泣き虫が、まさか、こんな良い男になるとはの…(耳元で囁く)

さすがのわしも、見抜けなかったぞ。(耳元で囁く)

ふーっ…(耳に息を吹きかける)


うむ…その表情、たまらぬぞ…

気づいておったかの。

おぬしの毎年の願い事、わしがちゃーんと、全部、叶えてやっていたこと。

欲しかったおもちゃも手に入ったじゃろう?

行きたかった学校にも合格できたじゃろう?

そう…おぬしだけのために、わしの力をすべて注いでいたのじゃ…

…気づいてるに決まっておるよな。

願いが叶うことが分かっているからこそ、おぬしは、毎年、
こんなさびれた神社に通っていたのじゃろうが…?

心配するな。今年も、ちゃーんと、叶えてやるぞ…(耳元で囁く)

では…外ではなんじゃ。本堂の方へ行こうぞ。

何でって…おぬしももう子供ではあるまい。

分からぬとは言わせぬ…

人間と神とは言え、中身はただの男と女。

契(ちぎ)りを結ばねば、ならんじゃろう…?(耳元で囁く)

よし…いい子じゃ。


ちなみに、のう…

こんなろくに賽銭(さいせん)もない神社の、神の力など、たかが知れておる…

わしの術、解こうとすれば、いつでも解けるからな?

気づいておらぬとは言わせぬ。

それでも、わしについてきてしまうのは…

それは、もう、おぬしの意思じゃ。

くくっ…まぁ、無理もない。

わしは本来、姿形を持たぬ身。

されば、今のこの体は…この顔は…おぬしの理想を映し出した姿なのじゃ。

ふむ。おぬしはこういう女が好みなのじゃな。

長身で、すらっとして、髪は…そんなに長くないのう。うむ、悪くない。

…しかし、これでは、胸が大きすぎるぞ。
邪魔でしょうがない。

まったく、男というやつは…

…まぁ、よい。
いずれにしても、自分の理想の女に迫られて、我慢できる男などおるまい…

(少し間を空ける)

ここが、本堂じゃ。

ちなみに、もう、ここは、おぬし以外、誰も来なくなって久しい。

おぬしがわしを拒否すれば…おぬしの信仰が無くなれば…

もう、わしは、存在することすらできぬようになり、消滅してしまうじゃろう…

それでも良いのなら…わしが消えて良いのなら…、わしを、拒否するがよい。

さぁ、どうする?

(少し間を空ける)

…拒否せぬのか?

沈黙は、受け入れることと同じじゃぞ。

…くくっ…

だから…人間は、愚かだというのじゃ…

その優しさが、甘さが、身を滅ぼすということを知らぬ。

どうしようもなく愚かで…そして…

どうしようもなく愛(いと)しいぞ。小僧…(耳元で囁く)

(少し間を空ける)

では…いただくとしようかの。

いつものように、五円ぽっちでは足りぬ…

おぬしの体、すべて、捧げてもらうぞ…?

覚悟はよいな…?

ちゅっ。(キスする)
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
さびれた神社の、ヤンデレなお稲荷様
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ
ライター情報
 犬アキラと申します。
 pixivにてフリー台本を書かせて頂いております。
 ヤンデレ、ボクっ娘、ダウナーなどを主に書いております。
 よろしくお願い致します。
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