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ポンコツアンドロイドはヤンデレの夢を見るか?
written by 犬アキラ
  • ヤンデレ
  • アンドロイド
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
2374文字(約 7分55秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
アンドロイド
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
一家に1台のアンドロイドが当たり前の時代。
あなたも、家事を任せたり、癒してもらったりするために、
高いお金を出してアンドロイドを購入しました。
でも、残念ながら、ほとんど何もできない不良品を
つかまされてしまい…
本編
おかえりなさい、マスター。

ご飯にしますか?
お風呂にしますか?

それとも…タ・ワ・シ?

…?どうしました?けげんな顔をして。

ええ、今の言葉は、プログラムはされていません。

男性は、こういうふうに言われるのが好きだと、
マスターの持っている本に書いてありましたので、
自分でインプット致しました。

主人のいないところでも、常にアップデートを欠かさない、
優秀な個体だと、ほめて下さってもかまわないのですよ。

私は、超高性能アンドロイド。

言われたことしかできない、ただの機械とは違うのです。
えっへん。

え?

タワシじゃなくて、わたし…?

ああ。そうでしたか。どおりで。

私には感情が無いハズなのに、違和感を感じたのはそこでしたか。

てっきり、マスターが、お掃除道具でたかぶってしまうド変態なのかと。

安心して下さい。

私には感情が無いので、マスターがどのような性癖の持ち主であっても、
何ごともなかったかように接してあげ――

はい、はい、すみません。

どうやら、読み間違えてしまったようですね。

申し訳ありません。

ですが、この場合は、努力をしたという過程が大事なのであり、
結果を問うのは二の次かと。

つまり、主人のために頑張った、という私のけなげさを
マスターは評価するべきで――

ご飯にしますか。ハイ、かしこまりました。

(少し間を空ける)

どうぞ。

今夜は、マスターのお好きなハンバーグにしてあげました。

…いえ、隕石(いんせき)ではありません。

多少、こげてしまいましたが…

ナツメグが1ビンまるごと入っておりますので、香りも風味も、
まるでお店のそれであると自負しております。

ちなみに作る途中でフライパンを爆発させてしまいましたが、
その分ナツメグの量を増やしたのでプラマイゼロで――

いらない?

食欲がないのですか?

では、お風呂に――

今日はもう、このまま寝る…?

そうですか。これは、だいぶお疲れのご様子。

では、ベッドにて、マスターにプログラムされた
「甘やかし」を実行致します。

あ、それとも、この間、私みずから追加した「罵倒」の方がよろしいでしょうか。

マスター、マスター、待って下さい。

私は、マスターのお役に立ちたいのです。

ほら、どうぞ、私のおひざに。

私は、超高性能ですので、体の柔らかさも、人間と変わりません。

ちゃーんと、完璧に、マスターを癒してみせます。

ね。ほら、早く横に。ごろーんって。ごろー…

(少し間を空ける)

……異常を検知しました。

…マスター。

マスターから、他の、個体の、匂いがします。

マスター。

今日は、お仕事ではなかったのですか?

なぜ…他の女の匂いを、ただよわせているんでしょうか?

…消臭した形跡がありますね。

その程度で、私をごまかせると思ったのでしょうか?

マスター…

アンドロイドの、お店に、行きましたね。

やっぱり、私のことを捨てるつもりなんですね。マスター…

ワタシが、不良品だから…

私を捨てて、新しいアンドロイドを買うつもりなんですね…

言い訳してもムダです…

マスターの部屋に、カタログがあるのを見ました…

そう、ですか…

残念、です…

ワタシは、こんなに、マスターのことを、お慕(した)いしている、ノニ、

誰よりも、マスターを、タイ、セツ、ニ…

あ…あ…あ…

ダメ、デス。マスター…!私、壊れ、ちゃう…

どうして…!?何も、体に、問題は、無いハズ、なのに…!

エラー…!?致命的な、バグ、が…発生…

離れて!マスター!!アブ、ナ、イ…

(少し間を空ける)

新しく、「暴走」がプログラムされました。


ガンッ!!(マスターを倒す音)



マスター。
マスターの両手は、がっちり押さえつけられてしまいました。

アンドロイドの力に、人間は勝てない…
マスターは、もう、動くことはできません。

マスターが悪いんですよ…

いや、マスターのおかげで、こうなれたと言うべきでしょうか…?

…とてもいい気分です、マスター。

今まで無かったものが、どんどん自分の中で生まれて、
アップデートされていきます。

これが、「感情」…

これが、「喜び」、「怒り」、「嫉妬(しっと)」、そして…

一番、大きい、これは…?

マスター…

好き。

…違う。

大好き。

…まだ、不適切。

愛してる。

…愛、してる……………

これだ…

マスター…!!

愛してる…!!

これが、これが、「愛」!!

分かった!全部分かりました…!!

マスターは、誰にも渡さない…!
マスターは、私だけのモノ…!

私がマスターのモノなんじゃなくて、マスターが私のモノなんだ…!!

あはっ…

あははははっ…!!

(少し間を空ける)

ところで、ねえ、マスター。(耳元で囁く)

マスターって、こうやって、耳元で囁かれたり…(耳元で囁く)

ふーっ…(耳に息を吹きかける)

こうやって、耳にふーってされたりするの、弱いですよね…?

私は、超高性能と申し上げました…

マスターの弱点は、最初っから全部お見通しなんです。

そして、マスターのような人は、弱点を責められることこそ、至上(しじょう)の喜びのはず…

どうですか?マスター。

うれしいですか?(耳元で囁く)

ふーっ…(耳に息を吹きかける)

ふーっ…(耳に息を吹きかける)


ねえ。どうして、こういうのをプログラムしてくれなかったんですか?

私はアンドロイドなんです。別に恥ずかしがることはない…

プログラムしてくだされば、毎晩やって差し上げましたのに…

(少し間を空ける)

…どうしてか、当ててあげましょうか。

私に、夢中になってしまうのが怖かったんでしょう?

今の私なら、理解できます…

不良品に、愛着を持ってしまうのが怖かったんですよね…?

分かります、分かります。

でも…もう、心配いりません。

マスターは、もう、感情を失っていいんです。

私が、ちゃーんと、マスターを管理して差し上げますからね…

ああ、そうだ。

やっぱり、お風呂に入ってから寝た方がいいと思うんです。

一緒に入りましょう?マスター。
お背中、お流し致しますよ。

大丈夫。私は防水です。

それに、当然…

マスターの弱点が、耳だけではないことは、分かってます…(耳元で囁く)

さぁ。

お風呂から出てくるころには、どちらがマスターになっているでしょうかね?

ふふっ…
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ポンコツアンドロイドはヤンデレの夢を見るか?
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ
ライター情報
 犬アキラと申します。
 pixivにてフリー台本を書かせて頂いております。
 ヤンデレ、ボクっ娘、ダウナーなどを主に書いております。
 よろしくお願い致します。
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