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人間たちを脅かす吸血鬼が、自分を知るヤンデレだった
written by 犬アキラ
  • ヤンデレ
  • 吸血鬼
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
2407文字(約 8分2秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
吸血鬼
視聴者役柄
軍隊長
場所
指定なし
あらすじ
あなたは、陸軍で最強の“エース”です。
今、世界では、人間と、吸血鬼による激しい戦いが繰り広げられています。
噛まれただけで吸血鬼になってしまう、圧倒的不利な状況で、
人類の命運は、エースであるあなたに託されました…
本編
あ~あ…
またこんなにやられちゃって…

これで、この部隊は、アナタ以外全滅ですか…
人間たちも、思いのほかしぶといですねぇ…

私たち吸血鬼は、人間を噛むだけで、相手を吸血鬼にできる。
吸血鬼になってしまったら、人間の血を吸わずには生きられない…

つまり、むこうは、私たちを殺さなければいけないのに対して、
私たちは、噛むだけで勝ちなんですよ。

圧倒的有利なはずなんですけどねぇ…

なんですか…?

人間の軍の隊長が強すぎる…?

言い訳なんか聞いてませんよ。
もういいですから、アナタは、本部に報告を。

黙れ。…さっさと私の視界から失せろ、雑魚。
私は幹部だ。三下(さんした)のお前に意見される筋合いはない。


…さて。

おや、噂をすれば…。

これはこれは…!隊長殿ではないですか!

“この姿”では、お初にお目にかかりますね?

ええ、私は吸血鬼の軍のNo.2…
どうも、私の部下たちを、ずいぶん倒していただいたようで…

いやいや、別に怒ってるわけじゃないんですよ…?
ずっと、アナタのことを探してたんですから…

あのゴミ共を盾にして、私がひとりでフラっと現れれば、
アナタもノコノコひとりで来てくれるって、分かっておりましたとも!

幹部は、できれば1対1で仕留めたいですもんね?

アナタの性格上、強い相手との戦いで、できるだけ、
周りは巻き込みたくないハズですから…

俺のことを分かったように言うな、って?

やだなぁ…私以上にアナタのことを分かってる人間なんか…
いや、吸血鬼なんかいませんよぉ…

(少し間を空ける)

気づかないんですか?

私ですよ。“先輩”。

1年前、アナタをかばって吸血鬼に噛まれた…“副隊長”ですよ。

髪の色も、雰囲気も、人格も変わっちゃったけど…

…私は、アナタの次に強かったからか、
ニンゲンの頃の記憶も、ちゃーんと残っているんです。

それに、強さもそのままだから、なんと、吸血鬼たちのNo.2にまで
のぼり詰めちゃいましたよぉ…


あっはは!!

何ですか、その顔は!?

…先輩って、ホントに学習しないんですね。

あの時だって、先輩がひとりで突っ走ったから、
追いかけていった私が犠牲になったのに。

まぁ、でも、いいんですよ。

私、先輩のこと、だぁーいすきですから…

先輩が生きててくれて、安心しましたぁ…

だって、先輩の血だけはぁ…
誰にも渡したくなかったんですもぉん…

ねぇ、私、人間の血を吸わないと生きていけないので…

先輩の血、もらっちゃいますね…?

…いいですよ?撃っても…

先輩に殺されるなら、本望(ほんもう)です…

でも、優しい先輩に、私を撃てますかね…?

(少し間を空ける)

……今からでも、やり直そう…?

ぷっ…

あはははははっ!!!

…ふざけんなっ!!(怒鳴る)

今さら、何をやり直すっていうんです!?

私は、もう、たくさんのニンゲンを吸血鬼に変えたんですよ!?

しょうがないじゃないですか!!

人間の血を吸わなきゃ、私は生きていけないんですから!!

アナタに分かるんですか!?

人間の時の記憶を持ちながら、人間を噛まなきゃいけない気持ちが!

自分の命をかけてでも守りたかった、大好きだった人に、
ようやく再会できたのに、気づいてもらえなかった気持ちが!

人間が全滅したら、吸える血が無くなるから、結局私たちも死ぬんだって、

それでも、今を生きるために、自(みずか)ら絶望に進んでいかなきゃいけない気持ちが!!

…分かるわけないですよね。

だって、先輩は人間なんですから…

私とは、違うんですから…


ねえ。先輩。

もう、先輩の目の前まで来ちゃいましたよ。

…私のこと、撃てなかったですね。

…噛みますよ、先輩。

……最強のくせに、部下ひとり助けられなかったくらいで、
罪の意識にさいなまれちゃって…

本当に、馬鹿な人…(耳元で囁く)

がぶっ!(噛む)

はあぁぁぁぁ…(恍惚と)

やっぱり、先輩の血、サイッコー…

こんなにおいしいの、初めて…

あはっ…

先輩のカラダ、びくっ、びくってのけぞっちゃってる…

もうちょっと我慢して、先輩…(耳元で囁く)

あはぁ…たかぶってきたぁ…!

先輩…すきぃ…先輩の血、だいすきぃ…

(少し間を空ける)

ふーっ…

ごちそうさま、先輩。

ふふっ…やっぱり、予想通り。

先輩は、噛まれても吸血鬼にはならないみたいですね?

…やっぱり、自分では気づいていなかったみたいですね。

昔、私が噛まれた時、先輩もちょっと噛まれてたように見えたんですよ。

でも、先輩は大丈夫だったから、
もしかして、特殊体質なんじゃないかと思ったんですよね。

思ったとおりでした…

良かったですね、先輩。

これで、先輩が生きている限り、私はこれ以上、他の人間を噛まなくて済みます…

あぁ、安心してください。

他の吸血鬼になんか、間違っても先輩は渡しませんから…

先輩の、馬鹿で、優しくて、そして、部下を盾にして生きながらえた汚い血は…

全部、私だけのモノです…


でもね…今の私は、人間たちから狙われる身です…

いくら先輩の血があっても、撃たれれば死んでしまいます…

…ねえ、“隊長”。

…今度は、ちゃんと守ってくれるんですよね?

可愛い部下のために、人間も、吸血鬼も、何もかも、敵に回して下さるんですよね?

だってぇ、先輩は、私のこと、殺せないんですもん。

そうするしかないじゃないですか?

そうですね…まずは、人間軍を全滅させましょうか。

そうすれば、私が狙われることもなくなり、
吸う血を失った吸血鬼たちも、勝手に死んでいきます。

大丈夫。いつだって、私と先輩が組めば、最強だったじゃないですか。

そうやって、みんないなくなったら…

そうです…

ふたりで、先輩の好きな、「やり直し」ってやつをしましょうよ。

ねえ、先輩。人間と吸血鬼の子供って、どうなるんですかね。

気になりませんか?

ふふっ…謝らないで下さい、先輩。私は、幸せですよ?

吸血鬼になったから、先輩の血でたかぶる感覚を味わえたし、
それに、結局、先輩のことも手に入った…

そう、結果さえ良ければ、過程なんてどうだっていいんです…

それに、先輩。

私に噛まれて、血を吸われる感覚…

ふーっ…(耳に息をふきかける)

ちょっと、クセになっちゃいそうだったんじゃないですか…?

ふふっ…どこまでも、救えない人…

それじゃ、行きましょうか。“隊長”。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
人間たちを脅かす吸血鬼が、自分を知るヤンデレだった
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
犬アキラ
ライター情報
 犬アキラと申します。
 pixivにてフリー台本を書かせて頂いております。
 ヤンデレ、ボクっ娘、ダウナーなどを主に書いております。
 よろしくお願い致します。
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